聖闘士星矢Ω第94話感想
一応、まとめまで書き上がった。しかし……めちゃくちゃ嬉しい反面、
評価にすごく悩む回でもあった。
声の出演
光牙 緑川光
サターン 水島裕
と、こっちは少ない。
シャイナ 小山茉美
市 小野坂昌也
檄 梁田清之
那智 島田敏
蛮 稲田徹
翔 中原茂
潮 大塚芳忠
大地 中村大樹
羅喜 前田愛
邪武 草尾毅
エマ 藤井ゆきよ
こっちが本命。もうこの陣容だけで私に感涙せよと言っている。
エーギル 真殿光昭
ミラー うえだゆうじ
エウロパ 二叉一成
サターン兵長 松本大督
サターン兵 根本幸多
井野優
前田邦彦
阿座上洋平
松本氏ら、
長くここまでパラサイト兵たちを支えてこられた方々も
サターン兵へと変身。
脚本 伊藤イツキ
小山真
今回も二人がかり。さあ、期待しますぞ!
やばい、提供だけで小宇宙が燃え上がりそうだ。
上空のサターン城へ飛翔している光牙たち。
光牙のモノローグが
(聖闘士は希望の闘士、最後まで戦い抜くぞ!)
さて、佳境に来ているらしい前線基地では。
壁がぶち抜かれた横を那智が最前線で立っており、
その横の壁の名残の陰に蛮が控えている。
城門跡らしいところを挟んで反対側の壁の陰には
エマさんが座っていて、うむ、前回のご指摘に従い確認すると
なるほど確かに、右肩と腰はケリー先輩の鋼鉄聖衣パーツを流用、
左レッグパーツと左アームパーツはオレンジ色の、多分別の鋼鉄聖闘士のパーツを流用。
隣で座っている別の鋼鉄聖闘士も、レッグパーツは別の色だ。
この友軍のパーツを流用できるシステムは
なかなかよいドラマと演出を産んでくれたと思う。
疲れ果てたように座しながら、エマさんの瞳は
上空へと飛んでいく七つの光を追っている。
「あの輝きは、人類に残された最後の希望……
負けられない。私たちも……!」
というところでタイトル。
「希望の闘士!聖闘士の絆!」
武器を持って迫ってきた三体のパラサイト兵をそれぞれ一撃ずつで倒すシャイナさん。
だが、仮面の右三分の一は破壊されており、
全身には打撲傷が無数に刻まれている。
「シャイナの姉御、大丈夫ざんすかぁ?」
と手を伸ばしたのは、こちらも聖衣に汚れこそあれまだ元気そうな市さん。
「はっ、大きなお世話だよ」
弱気になっていた自分に気づいたのか、すぐに立ち上がって答える。「私たちでこの地上を守らなきゃ、あいつらに顔向け出来ないからね」
横には檄の手当てをしている羅喜。
「みんな、行ってしまったのだ……」
「そうだ、な……」
檄先生は弟子達の突入に何を思う。
「光牙……みんな……どうか……」
市さんとともに祈るように天を見上げるシャイナさんである。
場面転換して。
「ふっははははは!無理無理!もう何をやっても無駄なんだよ!」
とミラーさんの高笑い。
「君たちだって気づいているんだろう?
この城を取り巻く現状を」
と、氷河と瞬、そしてその後ろで沙織とパラスを守っているハービンジャー、タイタンに対峙しながら、
エウロパさんともども余裕の表情。
エウロパさんは爪に火を灯し……じゃなかった、
指先に炎を灯し、その炎に城外の様子を映し出す。
ざっざっざと歩くサターン兵たちの姿が。
「城の周りには、新たにサターン様の優秀なしもべたちが集結してきています。
これにて、War is Over。戦いは、もう終わりです」
と、慇懃無礼に一礼。このあたりはかわっていない。
さて、那智と蛮、エマたちに鋼鉄聖闘士たちが守る城門跡前に
サターン兵たちが大集結。
いやだから彼らは人間なのか土星人あたりなのか、なんなのだろう。
兵達は盾を持っている者も多く、スピアを手にして、
背中にはトンボの羽根のように展開される六方向の飾りが。
突撃してくるサターン兵たちにスチールボルトアローで応戦する鋼鉄聖闘士たち。
これに対して、弓兵も控えているサターン兵。
充実してるのう。
「サターン直属の兵たちだと!?
まさか、この期に及んでこんな連中が現れるとは……!」
と毒づく蛮。
あれ?ということはこの状況を蛮はどこからか
情報を得ているということになる。
というよりも、先ほどのエウロパさんのセリフを聞いているとしか思えないセリフは、
おそらく、瞬が鋼鉄聖衣を通じて連絡できる通信機を所有しているのではなかろうか。
「パラサイト兵たちとはレベルが違うみたいだな……!」
応戦した感触を告げる那智の顔にも余裕はない。
」
指揮する兵長。
「ゆけえ!我らが神サターン様がお姿を現された以上、
いかなる抵抗も無意味!
アテナとパラス!二人の女神を抹殺すれば、この戦いは終わるのだ!!」
という掛け声の下で突っ込んで行く兵達。
あ、ここって城門前というか、光牙がぶち破った刻の門の真ん前なんだ。
ということは、前線基地は既に突破されており、
アテナを守るために、今度は敵居城まで退却してきたということになる。
むう、ややこしい構図。
エマさんの左右にいる同僚が倒され、
エマさんのアームパーツも限界が近い。
「もう駄目だあ……」
と諦めて尻餅をついている別の同僚を尻目に、
エマさんは倒されたばかりの同僚のアームパーツを奪うように装着する。
そしてそのまま、壁を乗り越えてきたサターン兵を、奪ったばかりのパーツからのスチールボルトアローで撃墜。
強いぜ、エマさん。
一撃で胴体を撃ち抜かれて、尻餅ついてた鋼鉄聖闘士の上に落ちてくるサターン兵。
呆然と受け止める童顔の同僚に対して
「戦いなさい!」
と叱咤激励するエマさんがめちゃ格好いいです。
「エマ……」
「この地上のために!そして、貴方の愛する人たちのために!
私は最後まで、自分に出来ることを果たしてみせる!!」
言ってる間に次々とサターン兵を打ち倒していくエマさん。
「わかったよ……ううりゃああああ!」
感化された鋼鉄聖闘士も立ち直って射撃に付く。
「見たか、今の」
「ああ、泣き虫エマが立派になって」
と那智と蛮のティーチャーズが顔を見合わせて笑う。
鋼鉄聖闘士養成所では当然この二人が指導していたわけで、
これだけでいろんな状況を説明してくれるよいセリフ。
だけでなく、二人とエマとの過去まで概ね推測がつくという。
さて、射撃の応酬が続いていたが、
不意にサターン兵が攻撃をやめて中央から陣を分けていく。
「どうしたんだ……?連中、引いていくぞ……!?」
いぶかる那智。
「いつまで無駄なあがきを。
神々の戦いにもはやお前達に出る幕はないのだ」
サターン兵が別れた戦場の中央に、
禍々しくも燃え上がる小宇宙が立ち上る。
「なんだ、あの巨大な小宇宙は……?」
蛮が見据えるその前で、姿が露わになっていく。
「ま、まさか……そんな!?」
その姿に覚えがある那智が驚愕する。
「超爆殺……ファントム・バースト!!」
人影が放った小宇宙の衝撃によって、ティーチャーズ二人が一撃で吹っ飛ばされる。
「教官!!」
驚いたエマが声をあげる。ああ、教官、って呼ぶあたりがいいわわ。
そして現れたのは、次回予告だけで巷の噂の的になった……
「おまえは……」
「まさか……」
体勢を立て直して立ち上がる蛮と那智だが、
目の前にいる姿が変わるわけではない。
「エーギル!!」
上半身のクロノテクターは全て失われてアンダースーツだけとなり、
辛うじて右腕のガントレットだけを残した姿で、
そのガントレットすらヒビだらけである。
だが、その姿がなおさら、意地と誇りで駆けつけた感が出ていて、
なんかえらく好感度高いぞ。
「いかにも。我が名はエーギル!」
ガントレットを大きく振り、その顔を露わにするようにして名乗り挙げる。
「二級パラサイトにしてガントレット使い。
ファントムアームのエーギル!!」
「そんな、馬鹿な!!」
生きているはずがないとばかりに叫ぶ蛮である。
「教官!一体何者なんですか……!?」
「あの男は……」
絶句する蛮を引き継いで
「かつて天秤座の玄武をも破った、二級パラサイト……
だが、光牙達が倒したはずなのに……」
那智が説明する。
玄武に聖剣を突き立てたシーンと、光牙に倒されたシーンが
回想として入る。
このときにガントレットも宝玉らしい部分は破壊されており、
吹っ飛ばされているところが描かれている。
「じゃあ、なぜここに……」
「私が青銅聖闘士如きの攻撃で命を落とすはずがなかろう」
確かに、玄武に倒されたのではなく、光牙に倒されているので、
このセリフは間違ってない。
というか、その光牙に対する意識でこの男は生き延びてきた感がある。
そして、そのガントレットの手の中には、小さな、小さな破片が。
それは、彼が預かっておきながら破損させてしまった、
天地崩滅斬の欠片!
って、先週頂いたレスが思いっきり的中ですな。
「だが、私がこの戦場に来るのを待たずに、
ハイペリオン様は逝ってしまわれたのだな……」
寂しそうな顔でうなだれるエーギルさん。
主君から預かったものを返さんがために、この男は
満身創痍の身体でここまで帰ってきたというのか。
いやもうほんと、第二期を通じて、ハイペリオン様ほど
見事に高められた男もそうそうおるまいよ。
エーギルさんには心から慕われていたのだと思うと、
部下に対する面倒見の良さとか、あれこれと思い出されてならない。
……そのハイペリオン様を葬ったサターンの罪は重いぞ。
「さすれば……この手であの御方の望みどおり、
我らが神、サターン様の世を作る!」
決心するように天地崩滅斬の欠片を握り締めて
聖闘士たちに突きつけるエーギルさん。
ってことはこの人は元々、パラスのためではなく、
サターン直属であることを認識して活動していたと。
うむ、二級以上は最初から知っていたということかな?
やはり、三級から二級には最初からあがれなかったのかなあ。
誰とは言わないが某氏が可哀相に。
そして輝きの中で再生されるエーギルさんのクロノテクター。
いやさ、見ればガントレットは、
ハイペリオンのデストラクションテクターと同色で
同様の輝きを放っている!
「見よ!我が武器はハイペリオン様の残された聖剣の力により至高のものとなった!」
「その名も、ファントムアーム・オブ・ハイペリオン!!」
どんだけハイペリオン様は慕われていたんですか。
その高らかに告げられた名前とともに、
来ました、ファントムアームの重力荷重が
周辺全域を恐るべき規模で覆い尽くす。
「みんな!耐えるんだ!!!」
「あらん限りの小宇宙を振り絞れえ!!」
蛮と那智の号令以下、なんとかこらえようとするが
一同、身動きが取れなくなる。
一人、また一人と膝を突き、付いてしまえばもうその重みで立ち上がれなくなる。
「ハイペリオン様……、奴等の絶望の叫びこそ、
貴方様へのレクイエム……!」
今回だけ聞いてるとホントに素晴らしいのだ。
これで、ハイペリオン様の最期があんなだと知っていなければ!!!
「あれは……!?」
エマさんが見つめる先に、ファントムアームオブハイペリオンに
何らかの力が集まっているような……
「まだまだ、希望を捨てるな……!
希望は、最後まで諦めぬ者の所にやってくるのだ!」
那智と蛮のティーチャーズはさすがにまだ膝を突かずに堪えている。
いや、戦闘意欲を失わずに、エーギルを見据える。
「希望だと?そんなもの、この私が全て叩き潰してくれる」
「天地崩滅・グレート・デストラクション!!」
上を向いていたファントムアームオブハイペリオンを那智たちへと向けて、
重力場を展開しながらさらに止めのように天地崩滅斬さながらの小宇宙を叩きつけんとする。
強すぎだろをい。
絶体絶命のピンチ、というところで、
那智たちの前に、不意に赤い影が降り立ち、
アームに込められていたエネルギー吸収装置を全開にする!!
きたああああああああああああああああああ!!!
「コスモキャンセラー!!」
恐るべきにさらに恐るべき。
あの天地崩滅斬の欠片の威力が、全てそのアームパーツに吸い込まれた!!
「なんだと!?」
驚愕するエーギルさんへ向かって、
上空から飛来した二つの影!
青い影の蹴りと、黄色い影の拳が繰り出され、エーギルさんはこれをファントムアームオブハイペリオンで受け止める。
この交錯でさしものエーギルさんも集中がとぎれ、
重力場が解かれて那智たちは動けるようになる。
不本意な表情で、闖入者を見据えるエーギルさん。
「来てくれたのか!」
喜びを満面に浮かべた蛮ティーチャー。
「おまえたち、何者だ……!」
三人揃ってエーギルさんの前に立ちはだかるその姿はもちろん、
「フッ、名乗るほどの者じゃないが……
スカイクロスの翔!!」
「マリンクロスの潮!!」
「ランドクロスの大地!!」
『我ら、オリジナル鋼鉄聖闘士!!!!』
いいやっほおおおおおおおおおおおおお!!
ここに来てこの三人がそろい踏み!
次回予告でわかっていてもなお、嬉しくて仕方がない。
「オリジナル鋼鉄聖闘士……?」
と言う反応からみて、エマさんは初代のことを知らない様子。
「フッ、間に合ってよかったぜ」
ニヒルに瞳だけで振りかえる翔だが、その左腕からは
黒煙が昇っている。
「スチールクロスが……!」
驚くエマだが、
「フッ、受け止めた小宇宙が巨大すぎたか」
これくらいは想定の範囲内だという様子の翔。
「よう、まさかくたばるんじゃないだろうな。
ここが勝負の分かれ目だぞ」
と一同を叱咤する潮。
「ここで倒れたら、わざわざ俺たちが戦場に来た意味が無くなっちまうからな」
と、意味深なことを言う大地。
ん?麻森博士の命令が明かされるか?
「さあ。最後の悪あがきといこうぜ!」
号令を掛ける翔とともにポーズをつけるこのシーンが、
敵城たる刻の門の前に立ちはだかり、アテナとパラスを守る構図になっているのが、色々な意味で感慨深いシーン。
「フン、人間は滅ぶべき下らん生き物だと、
ハイペリオン様は常々仰っていた……
ろくな力も持たぬくせに、どこまでも諦めが悪い」
見渡すと、他の鋼鉄聖闘士たちも立ち上がってきている。
「おまえたちのその生意気な目を見ていると、虫酸が走るわ!!」
ということは、二級以上は人間じゃなかったと。
「私たちを……!人間を舐めないで!!」
エーギルさんの言葉を聞きとがめたエマが、
翔たちより前にまで進み出て、エーギルさん相手に盛大な啖呵を切る。
おお、とばかりに驚いてエマさんを見つめる一同。
「フッ、勇ましい嬢ちゃんだな」
翔が満足げに笑みを見せる。
「しかし、ここは俺たちに任せな」
再び進み出た三人が、しゅたっと跳び上がる。
「たかが鋼鉄聖闘士ごときに何が出来る」
ファントムアームオブハイペリオンを構えるエーギルさんだが、
空中を幾重にもフェイントを掛けて迫る三人を捉えきれず、
まず潮のドリルキックを受け止めきれずによろめき、
直後に足元の石畳を破って地中から現れた大地の拳を食らって吹き飛ばされ、
その動きにピタリとタイミングを合わせた翔が上空から飛来し、
全体重を載せた拳をエーギルさんの顔面に叩き込んで撃ち落とす。
素晴らしい連携になんかもう、色々と感涙を禁じ得ない。
「すごい!あれがオリジナル鋼鉄聖闘士の力!」
エマさん、大喜び。
「さあいくぞ!」
と肩を組み、円陣から声を合わせた三人が、
「スチールハリケーン!」
三位一体となって嵐を巻き起こす。
「な、何……!?うああああああああああああ!!」
地面に転がっていたエーギルさんはこれを避けきれず
竜巻に巻き込まれて盛大に吹き飛ばされる。
「見たか!スチールハリケーンの力!」
「おれたちの渦は、一度飲み込んだら離しゃしないぜ!」
「宇宙の彼方までふっとばしてやらあ!」
「鋼鉄聖闘士の分際で……うあああああああ!!」
体勢を整えようとするエーギルさんだが、それすらままならない。
「勝ったわ!二級パラサイトに!」
地上で見上げるエマさんがガッツポーズ。
一同から歓声が上がる。
「俺たちの勝利だ!!」
と翔が叫ぶが、それは、あかん。
直後に、手を取り合っていた三人の手が引き離されて
竜巻が空中分解する。
「そんな!?スチールハリケーンが!?」
驚愕するエマさん。
鋼鉄聖闘士三人は盛大な車田落ちを喫するも、
エーギルさんもまた尻餅をついて身体を起こすところで
なぜスチールハリケーンが破られた?
「くそっ、がらくたどもが……!」
というところでCM。
見どころありすぎてなかなか感想が進まない。
気を取り直して立ち上がるエーギルさん。
「はっはっはっは。
このエーギルを倒す最大のチャンスを逸したようだな」
「どうして、スチールハリケーンが……」
呆然となるエマさんだが、
「あのときと一緒だ……」
暗い表情でつぶやく蛮は事態の原因を知っている模様。
「彼らとは、過去にも戦いを共にしたことがあるが……
幾たびか、戦線から途中で姿を消したことがあった」
思い出すように語る那智。
って、それはつまり、前テレビシリーズのことかああああ!?
そして、星矢たちが聖域へ乗り込むジェット機の前で、
何故かスタッフとともに沙織たちを見送っている
鋼鉄聖闘士三人の姿が描かれている。
そう、何故彼らはあのとき、一緒に聖域へと突入しなかったのか。
直前にレダとの一戦があったとはいえ、
これは当時からどうも突っ込まれていたっぽい。
裏事情はあれとかこれとかそういうことなのだけど……
「彼らのオリジナルスチールクロスは、おれたちのそれより
大きな力を発揮することが出来る。
だが、その代償も大きい」
沙織たちのジェット機を見送った直後に、
その場で倒れ伏してしまう三人の姿が、数十年の時を経て今語られる。
ええええええええええええええええええええええええええ!!!??
その場にいる麻森博士が驚いていない所を見ると、
これは予想された事態であるらしい。
那智の説明を引き継いで蛮が続ける。
「身体に係る負担が大きすぎるんだ」
「おそらく、今のスチールハリケーンは、彼らの身体を限界まで追い込んでしまったに違いない……」
いやー……まさか、まさか、
活躍してくれるとは予告でわかっていたけど、
よもや、前テレビシリーズに入ったツッコミへの
最終回答をこんなところで明かされるとは予想だにしなかった。
鋼鉄聖闘士ファンとして、なんというかもう、
言葉に出来ない感動を覚えている。
聖闘士星矢の続編であろうとした第二期の
まさしく総決算の一つではなかろうか。
これが小山さん脚本であるということも含めて、
世代を超えた物語であるという思いがつのる。
ということは、麻森博士が渋ったのは
既に彼らの身体が限界に近いということだったのか。
倒れて身動きすらままならない鋼鉄聖闘士たちに近寄ってくるエーギルさん。
「フッ、苦しいか。
儚き人間の分際で神々の戦いに首を突っ込むからだ。」
その言葉に怒りが燃え上がった翔が、
拳を握り締め、再び立ち上がる。
「だが……、まだ、終わりじゃない!!」
大地と潮もそれに続く。
「まだ戦うつもりか」
わずかに気圧されたエーギルさんだが、
「愚かしい。小宇宙もろくに使えぬ貴様らに、一体何が出来るというのだ!」
立ち上がったとはいえ、三人の呼吸は荒く
もはや立っているだけでもやっとであろうに。
「確かに俺たちには、小宇宙は使えない……
だが、人間の力はそれだけじゃない……!
知恵、勇気、努力……そして友情!
それこそが希望の力!
希望がある限り、人間は負けねえんだよ!!」
覚悟を秘めた瞳とともに翔が吼える。
素晴らしい。
もう、完璧なまでにジャンプマンガの主人公である。
友情と努力を以て勝利せよ!!
「翔さん……!」
エマさん、翔に惚れてません?
ニヒルなところがケリー先輩と似てるような気もしないではない。
「フッ、くだらん。
ならば、全てを失って死ぬがいい!」
「させない!
あなたに、この人たちは殺させない!」
それが人間の力であると、今し方告げられた言葉を体現するかのように、
エマが翔たちの前に進み出て、エーギルに正対して大きく手を広げ、立ちはだかる。
「お前、何を……」
驚く翔だが
「貴様、ボロボロのスチール一人でこの私に逆らうつもりか」
「一人じゃないぜえ!」
さきほどサターン兵からエマに救われた鋼鉄聖闘士が立ち上がり
声を張り上げる。
続いて、同じく養成所のころから共に戦ってきたのであろう
現代の鋼鉄聖闘士たちが次々と立ち上がる。
「フッ、なんのつもりだ」
生き残っていた現代鋼鉄聖闘士たちが揃って駆け寄ってくる。
「や、やめろ、何をしている!逃げるんだ!」
その意図を察したらしい翔が慌てて叫ぶ。
「そうだ!おまえらの敵う相手じゃない!」
その、潮が言った言葉は、
かつて、彼ら自身が、最も言われたくなかった言葉ではあるまいか。
「ここで死ぬのは俺たちだけで十分だ!」
大地の言葉が、ただの憐憫や同情などではなく決死の覚悟を思わせるが、
「いいえ!逃げません!」
これを真っ直ぐに拒絶するエマさん。
今週の主人公ですな。
ケリー先輩の墓前に報告したくなるよ…………
「私たち人間は、一人では弱い……
でも、みんながひとつになれば、大きな力を生み出せる。
貴方たちが今、その力で教えてくれたんです……!」
エマさんの言葉に絶句する翔。
というかこれってつまり、オメガというかΩ第二期のテーマなのね。
エーギルさんはエマさんに気圧されたというか
思わぬ事態に戸惑っているようだが
「ハッ、ガキが、生意気言ってくれるぜ」
「言い面構えじゃねえか」
潮と大地が賞賛する言葉には、あるいはかつての自分たちを見ていたのかもしれない。
「いいだろう。ならばお前達、俺たちととことん付き合って貰うぜ!」
立ち並ぶ後輩達をまとめ上げるように呼びかける翔。
エーギルさんに背を向けているのだけど、
「貴様ら……」
ここで攻撃しないあたり、エーギルさんってば
ハイペリオン様と同様に紳士でいらっしゃる。
「おいおい、俺たちを忘れて貰っちゃ困るな」
「教え子だけにいい格好させるわけにはいかんからな」
と、ティーチャーズもこの輪に加わる。
「いくぞ!」
という翔の号令の下、一斉に攻撃に転じる一同。
うむ、エーギルさん一人だけに、
他のサターン兵はちょっとは援護してあげようよ、
と思わないでもない。
が、まあエーギルさんとしては
これに部下の手を借りるわけにはいかんのだろう。
「はっ!儚き人間共がいくら束になろうとも同じこと……!」
高く跳び上がり、ファントムアームオブハイペリオンから
ハイペリオン様ばりの小宇宙の球を放つ。
「天地崩滅・レッド・デストラクション!!」
そこから展開される半球状の空間で
その場にいた聖闘士全員を捕捉して重力環境に捉えるのだから
この人、実際たいしたものだと思う。
……ハイペリオン様よりもアイガイオンさんに
属性が近すぎるので、
なんか過去に四天王間で異動とかあったのかなとか
あれこれ考えると面白い。
「フン、所詮は儚き弱者の夢。
私の、そしてハイペリオン様の力の前に、
地上の全ては滅びるのだ!!」
静止させようとするサターンの目標よりも
行動がど派手になってます、エーギルさん。
天地崩滅斬使いとしての自信から、
そもそもハイペリオン様がそういう傾向にあったので
今の彼にとってはサターンの意志よりも
ハイペリオン様の跡を継いで地上を破壊するという
意識が全開なのだろう。
……ほんと部下に慕われているハイペリオン様だこと。
「いいえ!」
ラスボスみたいな発言のエーギルさんを押しとどめるエマさんマジ今回のヒロインというかヒーロー。
「知恵、努力、勇気、友情……
そして!希望がある限り私たちは……
人間は……!負けない!!!」
エマの叫びに触発されるように、
一人、また一人と、鋼鉄聖闘士たちの身体から
黄金色の……「小宇宙が」立ち上る。
え?
ちょ、これって……
「まさか、これは、オメガの片鱗……!?」
ってエーギルさんの解説きたーーーーーーーーーーーー!?
なんだってえーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?
エーギルさんがオメガを把握していたことも驚きだけど、
それ以上に、この場この時この状況で
オメガを見せつけたのが超絶驚きなんだけど
正直なこといえば、先にやられてすっげえ悔しい(苦笑)
鋼鉄聖闘士がオメガの片鱗を!って
拙作の終盤でやろうとしていたのになあ。
星矢たちさえ到達できなかった境地に
新時代の聖闘士達が至るのは
ユズリハの心なり、
あるいは、次の世代の聖闘士は前の世代よりも強くなければならないといった
第二期を通じてのテーマによるものだろう。
前世代において繰り返されたエクスクラメーションと、
今世代においてついに到達したオメガによって
世代全体が引き上げられているということになるのかな。
「小宇宙さえまともに使えぬスチールが、まさかオメガを……!?」
驚愕するエーギルさんの目の前で、
エマが、蛮が、那智が、
光牙たちがそうであったように
黄金色の輝きを共に放って咆吼している。
そのオメガの片鱗たる叫びが、ファントムアームオブハイペリオンによる
巨大重力場を粉々に打ち砕き、
「はあああああ!」
オメガの小宇宙を纏ったエマさんの拳が、
エーギルさんのボディ部分を正面から撃ち抜いた。
「き……さ、ま……!」
「これが、人間の力よ!」
驚愕に身動きできないエーギルさんの隙を突くように、
クロノテクターに拳を当てたゼロ距離で
「スチールボルトアロー!スチールボルトアロー!
スチールボルトアロー!」
と容赦無く連発するエマさん、あんた主人公や・・
十数発は叩き込んだだろうか。
連続コンボ状態でこのままではやられるという表情のエーギルさんだったが、
この酷使に鋼鉄聖衣のアームがついに耐えきれずに
火花を散らして動きを止めてしまう。
覚悟を決めていたところで逆転の目が出て来たエーギルさんの
ほっとした顔といったらまあ。
「攻撃の途中で力尽きたか……」
「ふははははははは!!
何が希望だ!何が人間の力だ!」
一瞬で気を取り直して元の名調子を取り戻し、
エマさんの眼前で顔芸を炸裂させてのたまうエーギルさん、
顔近いです。
そのままガントレットでエマさんの腰を掴んで軽々と持ち上げてしまう。
「人間の分際で私を脅かした罰だ。
希望と共に、貴様ら全員握りつぶしてくれる……!
まずはお前からだ!」
今まさにエマの身体が握りつぶされようとしたその時、
高らかに、馬のいななきが響き渡った!_
きたああああああああああああああああああああああ!!
またも驚愕するエーギルさん。
そして、何者かの攻撃で、ガントレットから力が抜けて
エマさんの身体が解放されて転がる。
見れば、チェストパーツにはなおヒビ一つない。
ケリー先輩の鋼鉄聖衣が最後までエマさんを守ったと思うと
なかなか胸が熱くなる。
「誰だ!」
太陽を見上げたその場所に、一人の男が立っている。
「あーあ、
人間のくせにとか、脅かしたとか、細かいことをごちゃごちゃと。
肝の小っせえ野郎だ」
テンガロンハット(今度は間違えずに)に、
似合いすぎのコートをまとったその背中。
「なんだと!?
貴様、何者だ!」」
「俺か?
俺の名は……」
ばさりと、風に帽子を舞い上がらせ、
コートを脱ぎ捨てたその下からは!!
「ユニコーン、邪武!!」
いいやっほおおおおおおおおおおおおおおおお!!
次回予告でわかっていても胸が熱くなる登場シーンである。
「邪武!!」
見上げていた翔達や那智、蛮からも喜びの声が上がる。
「おせえぞ、今頃来やがって!」
蛮が待ちかねたぞという笑顔で当然抱いているツッコミをするが、
「悪いな。世界中のパラサイトを倒すために
少々時間がかかっちまってよ」
な。
なんだってえええええええええええ!
というかそういう纏め方で来たか!!
なるほど、確かに世界中で人々の時間を止めていたパラサイトが
暴れ回っていたのに
聖闘士の大半がパラスベルダ攻略に取られていたら
そりゃ誰かが潰して回らないといかんわ。
「ユ、ユニコーン……」
「ま、まさか……」
「世界各地で我らの部隊を壊滅させていたという、
あのパラサイト狩りのユニコーンか……!」
サターン兵たちが邪武を前に絶句してるううう!?
そして物凄い異名がついているうううううううう!?
でもって、やはりサターン兵たちも
基本的にはパラサイト兵の同僚で、最精鋭部隊が
サターン兵として温存されていたということなのかな。
パラサイト兵を見下すのではなく、
パラサイト狩りの邪武を恐怖の的として捉えているあたりから。
それにしても、まさか全部が全部一般兵だけだったわけではあるまいに。
少なく見積もっても数人、ことによったら十数人の三級はぶちのめしていたことが推測される。
「あとこの地上に残っているのは、この街に残っている奴等のみ」
なにそれすごい。
この辺りの把握は麻森博士とか、鋼鉄聖闘士ネットワークを使って
把握した上で各個撃破したものと伺える。
「サターン直属だかなんだか知らないが、
かかってきな!」
最精鋭部隊のサターン兵が、完全に腰が引けて物陰に隠れているぜ。
その彼らを庇うように邪武の前に立ちはだかるあたり、
エーギルさんの部下思いはハイペリオン様譲りらしい。
「ユニコーンだろうとなんだろうと、所詮はスチール!
食らえ、グレートデストラクション!!」
先ほど全面展開した重力場形成の範囲集中版が
邪武を中心にして展開される。
「みたか!ファントムアームオブハイペリオンの力!
お前達がいくらあがこうと、希望はここで潰えるのだ!」
このままエーギルさんが押し切るか、と思われたが、
「へっ、全然分かってねえな」
重力場の中で、邪武は不敵に笑ってみせる。
「何っ!?」
「おまえらが何をしようが無くならねえんだよ……」
そう告げる邪武の背にオメガのマクロ小宇宙さながらの
宇宙空間が広がり、そこにこの場に集う仲間達の小宇宙が
次々と現れていく。
「知恵も、勇気も、努力も、友情も……そして希望も!
まして俺たちは希望の闘士、聖闘士!!
俺たちがいる限り、希望は生まれ続ける!!
駆け抜けろ!俺の小宇宙!!!
集結したマクロ小宇宙の前にはさしもの天地崩滅斬といえども
その力を抑えきれず、重力場が三度破壊される。
「……!」
額に戴く一角獣の角が輝き、
「天よ聞け!地を駆ける一角獣の嘶きを!!」
天空高く、ペガサスにも劣らぬほどに高く高く跳躍した後
「ユニコーン・ギャロップ!!」
一角獣の角のような一筋の光となって落下する邪武の蹴りが、
先ほどエマさんがスチールボルトアローを連発して脆弱化した
エーギルさんのクロノテクターの腹部に
流星拳ならぬ流星脚として幾重にも叩き込まれる。
「馬鹿な……鋼鉄聖闘士ごときに、なぜ……」
呆然となるエーギルさんを駆け抜けて、
その背後に立った邪武は
「俺が来た時には、お前はもう負けていた」
「なに?」
「お前のクロノテクターは既に破壊されていたんだよ。
諦めず、希望を持ち続けていたあいつらのちからでな」
がっくりと力尽きたエーギルさんが膝を突き、
ファントムアームオブハイペリオンが砕け散り、
まるでハイペリオン様の最後の名残のような、
牡牛座の角と思われるパーツもまた砕け落ちて、
エーギルさんはその場に倒れ伏す。
「き、ぼう……」
最後の力で呟いたのは、主君の名ではなく、
自らを倒した力の名だった。
「や、やばいぞ……」
「逃げろ!」
「体勢を立て直すぞ!」
エーギルさんの敗北を見たサターン兵たちは我先に逃亡し始める。
あらら。
って、これ放置しておいていいのかな?
多分このあと追いかけて全滅させるんだろうけど。
ひとまず、アテナを守るという当面の目的は達したからかな。
そして、いそいそとエマさんがやってきて
「あの、邪武さん、ありがとうございます!」
と一礼。できた子です。
それに対する邪武の返答は、
「礼は、仲間に言ってやんな。
力を貸してくれた、掛け替えのない仲間にな」
かっけええええええええええ!!
そうして、アテナの小宇宙が感じられるのだろう、
パラス城の屋上を見上げる邪武だが
「沙織お嬢さん……」
様々な思いを込めた呟きを漏らす。
その彼を気遣うように、翔達三人と那智、蛮という
かつての仲間達が集まる。
「邪武、アテナの下へ行きたいか?」
これを気兼ねなく問えるのは蛮の人徳だろう。
だが、邪武はゆっくりと首を横に振る。
「傍に行かなくても小宇宙を感じる」
その言葉が、決して軽々しく出たものではなく、
今も彼は、お嬢様の傍に馳せ参じたくてたまらないのであろう。
己を抑えるように、その身体は細かく震えている。
「どんな状況に陥っているとしても、今も沙織お嬢さんは戦っている……」
その邪武を気遣うように、翔がその肩に手を置く。
「よく言った。
星矢は……あいつらは、翼を広げ、次の戦地へ向かって飛び進んでいる」
サターン城へと向かう七つの光を見上げながら。
「しかし、俺たちの戦う場所は、ここだ」
邪武を励ますかのように、
あるいは己に翼がない悔しさを振り払うように、那智が告げる。
「拳が砕けようと、足が折れようと……」
大地の言葉は比喩でも何でもあるまい。
「すべての小宇宙を燃やして、アテナとこの地上を守るんだ!」
潮が同意する言葉には、実は大きな謎があり、
そして、同人SS書きとしてはこの言葉にニヤリとしてしまう。
かつて、潮は小宇宙を燃やしたことがある、と。
その言葉に、一同笑顔で頷く。
「いくぜ!地上に残っている雑魚どもを片付けるぞ!!」
邪武の号令以下、一同は最後の仕事とばかりに駆けだしていく。
「おお!!!」
と、これで終わるかと思いきや。
土星を背景に宙に浮かぶサターン城の玉座に神は座す。
「なるほど。
人間共は最後まで抵抗を試みるか……」
かつて師と仰いでいた蛮たちの戦いを、彼はどんな思いで見ていたのか。
「しかし、神の意志の前には無力……!」
どれほど望まぬ未来でも、それは、受け入れねばならんのだ」
なんだろう、何か言葉に違和感を覚える。
まるで、確かめるように。
自らの意志が砕けることを予感させるように。
「愚かなり、人間たちよ」
裏返せば、その神の意志を砕けば、人間が愚かではないと
認めざるを得ないことを、彼は果たして気づいているのか。
あるいは、それを望むように待っているのか。
己の狙いどおりに運ばなかった地上を捨て置き、
来るべき者を待つサターンの行動は、
やはり一貫性を著しく欠いている。
というところで、つづく。
次回予告
あれ?星矢が一人でサターンと戦うの?
「神を越えろ!星矢の小宇宙!」
あああ、展開が目に見えてしまう。
一方でミラーとエウロパが二人の女神に迫る。
……どうなるかなあ。未だにこの二人が真のラスボスではないかと思っているんだけど。
さて、きっとこれまた賛否両論激しそうな回だった。
結局玄武の戦果が色々な意味で台無しにされてしまったため、
玄武好きとしてはいささか、忸怩たるものが残る。
いかにエーギルさんを倒したのが光牙と言っても、
ハイペリオンさんがA!で倒れなかったことが
ここまで色々と効いてきている上に、その破片でパワーアップというのは流石に悲しい。
これについては何らかのフォローが欲しかった。
が、そのことがあってなお、今回はよくぞよくぞよくぞやってくれた!!
ともうひたすら絶賛したくなるネタが目白押しだった。
まずはエーギルさんが復活したおかげで、暴落していたハイペリオンさんの株がまた上がって、
第二期を通じた悪役である彼の復権に伴い、
第二期全体の印象がよくなったという効果すらある。
ほんと、部下思いで部下にも慕われていたハイペリオンさんが
サターンに倒されたという悲しい事実は
エーギルさんが知らなくてよかった、と言うべきだろう。
そして……
語るべきことが多すぎるのでもう一日続く!!!
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追記が遅くなって済みません。
年度末でプライベートが無茶苦茶忙しいので
今週はお返事がどこまでできるかどうか……
※サターン兵とパラサイト兵について。
一応、パラサイト兵の中でもサターン直属の部隊が
サターン兵ということになるみたい。
ということは、最初からサターン配下にあるということを
理解してるグループが最初から控えていたということになる。
しかし、それならばなおさらに、
パラサイト兵たちのパラスへの忠誠はどういうことなのだろう。
元々彼らはどういう趣旨で集められた存在なのかが
やはり未だに分からない。
そして、地上の人間のほとんどを静止させているのに
自分の部下達だけは動かしていたサターンの意図としては
やはり地上を征圧したかったのか、という低レベルな印象を受ける。
一方で、おそらくエーギルさんは言動から見て
純粋な人間(地球人類)では無いようだ。
ハイペリオン様への絶対無比の忠誠からみても、
ハイペリオン様と同種族なのではないか、といった推測ができる。
ちょっと別格扱いだった二級パラサイトは人間ではなく、
パラサイト兵から昇格したのであろう三級パラサイトとは
そもそも扱いが違っていたのかも知れない。
……でもサターン兵はサターン直属であることを知っていたしなあ……。
駄目だ。二日考えたけど納得のいく説明が思いつかなかった。
※地上の状況について
サターン復活の状況などが既に鋼鉄聖闘士たちにまで伝達されているので、
上述したように、瞬か氷河あたりから連絡が行っているものと推測する。
あるいは栄斗あたりがこっそり連絡したのかもしれない。
このあたりは色々連絡手段があった、と考えておくに留めておくのがよさそう。
でもって、パラスとアテナが和解したことで
二人纏めて守らなければならない状況になっている。
……が、そもそもサターンは何故にアテナとパラスを放って城へ行ったのだろう。
そのくせ自分の直属の配下を城外から攻め込ませて全体の抹殺を図り、
アテナとパラスには後からエウロパとミラーを差し向けている。
……何がしたいのかさっぱりわからない。
やっぱりサターンは操り人形のような気がしてならない。
しかし多少の自我が残っているため、アテナを殺さず、
昴として憧れていた光牙を待ち受けるべく待っているとか。
ともあれ、地上ほぼ全てが時間停止を食らっている状況で、
アテナとパラスを守るためにパラス城を守るという対戦構図は面白い。
しかもその最前線がかつて全力を注いで突破した刻の門、という構図は正直って大好きだ。
これは多分、嘆きの壁の前に紫龍が立ちはだかったネタのオマージュではないかと思う。
※今回最大のネタ・鋼鉄聖闘士の謎解決
……実は物足りなかったりする。
もちろん、二十年近く経って、あの頃の大人の事情で登場し、
大人の事情で退場した彼らの扱いについて
メタではなくそれ相応の解説を入れて謎解きをしたこと、
これについてはもう心の底から大絶賛したい。
よくぞよくぞやってくれたと思う。
皆さんが既に書いているように、小山氏にとっては
父親が書かれた脚本についての拭いきれない思いを
果たそうという強烈な意志があったのだろう。
こんなの地上で誰も期待していなかったのではないかとか、
誰得と言われようが、私が得をする。
鋼鉄聖闘士という存在を忘れることなく、
私たちの青春時代の名残に、ああいう形でも決着を付けてくれた小山氏に
感謝してもしきれない。
でもってその理由もそれなりに納得はしている。
確かにこの第二期で鋼鉄聖闘士がずっと出張っている割には、
オリジナル鋼鉄聖闘士とはコンセプトが根本的に異なっているのだ。
大地、潮、翔の三人には完全カスタマイズ版であるのに
第二期では汎用の量産品になっているあたりに
オリジナル版にはどうしようもない弱点があったことが
当然の推論として行き着くことになる。
当時の資料によればマイクロブラックホールを内蔵しているという
オリジナル鋼鉄聖闘士の聖衣には
それを操る者にそりゃ相応の負担がかかるというのも納得である。
で、そこまではいいんだけど。
麻森博士がその弱点を持っていて、限界がわかっているこの三人を
あえて戦場に派遣した理由が結局語られなかったのが
不満なのである。
鋼鉄聖闘士は青銅聖闘士のサポート役ということで
青銅聖闘士に出来ないことをやるというところに誇りがあったと思っている。
なのでやはり情報収集とか、サターン城の在処の判別とか
あるいは地味なところでも、パラサイト狩りの邪武への情報供与とか、
なにか、彼らをあえて派遣する理由があって欲しかったなと思う。
まあでもこれは欲張りすぎる。
スチールハリケーンで二級パラサイトのエーギルさんを
あと一歩の所まで追い込んだだけでも
かつての扱いを思えば、十二分過ぎるだろう。
※那智、蛮の扱いについて
グレートティーチャーズとしてはかなりの存在感を示してくれたのだけど
どうしても肉弾戦らしいところが見えずに
スチールボルトアローに終始していたのは
やはり、彼らが引退した理由と関わるのだろうかと思う。
小宇宙を燃やさなければ聖衣を着ていられないが、
彼らはここまでの戦いで、十分に小宇宙を燃やすことができなくなっており、
青銅聖衣をまとって戦うことができなくなってきているが故に
引退という扱いになり、鋼鉄聖衣を代わりに纏うことになったのではないか、
という推論に至った。
……と思ったんだけど、邪武がきっちり戦ってるよなあ。
何を以て引退だったのかはよくわからなくなってしまった。
それから、やはり蛮には昴を殴りに行ってほしかった。
何故サターンが鋼鉄聖闘士の練習所に行ったのかは
未だによく分かっていないところなのだけど
(あの説明で納得しきれない)
昴という人格を形成するにあたり、
蛮と那智は極めて重要な役目を負っていたはずなのである。
その昴が結局サターンに飲み込まれると言う物語において、
この二人をサターンの演出において差し置くというのは
あまりに勿体ないことではないか。
それが出来る状況ではないのはわかっているので、
蛮が、昴が覚醒したサターンという事実を知った上で、
星矢か光牙に、己の役目を託すような、わずかの演出が欲しかった、
というのは贅沢だろうか。……贅沢だな。
※邪武の扱いについて
天界編序奏のどうしようもないあの展開は
とりあえず無かったことにしてよいようだ。
むしろ、あれの尻ぬぐいをするほどの義理はあるまい。
沙織さんへの思いを捨てきれずに抱きながら
星矢との差を思い知って、身を引きながらもお嬢様のために戦う、
あの身体を震わせるシーンの演出、よくぞやってくれたと思う。
パラサイト狩りの邪武、という異名についてはもう最高だぜ!
ここまで登場してこなかった理由を解説すると共に、
パラスベルダへの一極集中で地上の愛と正義を守る前線活動はどうしたという
ツッコミをも解消してしまった。
もう完璧。
ただ、沙織が幽閉されていた第一期において西部劇生活をしていたことについては
多少の発想の飛躍が必要ではないかと思う。
パラサイト狩り、という今回の方針は一朝一夕のものではなく、
実のところ彼は、マーシアンに対しても同じように活動していて、
当時の聖域の意志に反すると分かっていながら、
真のアテナである沙織さんならばこうしろと言うはずだ、
という信念の下に、マーシアンを倒して回っていたのではないだろうか。
当然、居場所がバレるグラード財団に戻るわけにはいかず、
聖域に戻るわけにも行かない彼としては隠れ家が必要であり、
蒼摩と会ったのはその隠れ家ではないか、
という推論が成り立つ。
※エマさんについて
今回の主人公。
ケリー先輩についての思い出語りの一つも無かった代わりに、
ケリー先輩の聖衣を纏っている、というこの演出がもう素晴らしい。
従って、彼女が出しゃばりすぎだということではなく、
蒼摩、ケリー先輩、そして今代の鋼鉄聖闘士たちという流れを受けて、
受け継いできたものを開花させようとする
第二期のメインテーマにも合致していたのだろう。
※オメガの片鱗覚醒について
……これ、どう評価したものか。
いや、ほんとに物凄く悩むんですよ。
間違い無くやり過ぎではある。
何故星矢たちが到達できなかったのか、という謎が解けないままで
ここでオメガの片鱗をやっちゃうのか、と思うと、
さすがにこれまでの物語とか、アテナエクスクラメーションでの片鱗とか
もう色々と台無し感が拭えない。
ただ、光牙たちが到達したことで、
オメガというものが人の手に委ねられた、
と解釈することはできなくはない。
誰かが手にした技術は、一人ではなく、人間全てで共有されるというところか。
そんでもって、誰かを思う力、というオメガの基本設定からは
確かにずれていないのだ。
鋼鉄聖闘士が小宇宙の究極であるオメガに到達したのはおかしい、
ということはないと思う。
本来、小宇宙とは誰もが持っているはずのものだった。
それを現代に至るまでに失われてしまったが
本来ならば誰もが「取り戻せる」はずのものなのだ。
むしろ、何故あれほどに修行して、聖闘士と肩を並べて戦っていた
オリジナル鋼鉄聖闘士たちが小宇宙に目覚めていないのか、
が不思議なくらいなのである。
これについては私も未だにわからないのでそのままにしているが、
一応後々でネタにしようとは思ってる。
今代の鋼鉄聖闘士が小宇宙に目覚めたことについては
別に不思議でも何でもない。
今代の鋼鉄聖闘士は元々青銅聖闘士予備軍であり、
小宇宙に目覚めて青銅聖闘士になることを想定して修行しており
元々そう言う素養がある人間を集めているはずなので、
最も小宇宙をわかったティーチャーズを筆頭に、
マクロ小宇宙を形成するにあたって彼らが小宇宙を燃やしたとしても
それはそれで納得がいくのである。
むしろ、オメガの片鱗を見せながら、
エーギルさんを倒せなかった展開の方が、ちょっとやだなと思った。
もっとも、ここは邪武のセリフでフォローされているけど。
エーギルさんだけでなく、スルトか時貞もこの場にいれば
オメガでエーギルさんを倒し、
邪武がスルトを倒してくれれば
それでよかったのかもしれないが、一話で終わらないな、これでは。
というわけで、煮え切らないまとめで申し訳無いけど、
オメガの片鱗については五分五分の評価。
そもそも自分でオリジナル鋼鉄聖闘士三人が
××××戦に炸裂させるシーンでオメガを初観測してイルピトアに説明させる
なんて展開を夢想していたくらいなので、人のことを言えた義理ではないのであった。