2015年10月01日

聖闘士星矢「黄金魂」完結後感想1「時間経過についての考察」

実に楽しかった黄金魂。
紛う事なき販促アニメということで神聖衣のバーゲンセールかよ、
などと思っていましたが、
実際に最終話で見せられたら格好いいと言うしかないじゃないですか。

とはいえ、本当は26話で作りたかった話を13話に詰め込むために
>参考:http://nikkan-spa.jp/944797
神闘士たちの掘り下げは黄金の指輪篇に比べるとかなり少なくなってしまい
大変もったいない企画でもありました。
黄金の指輪篇の神闘士はPS4版最新作でも登場するくらい根強い人気があるのですが、
今作の神闘士はそこまではいかんでしょうなあ。
シグムントとか実に美味しい役所なんですが。

キャラクターについては語れたら語るということで(多分時間無い)、
とりあえず泡沫同人者としてはどうすれば取り込めるか気になるところ。
いや、時系列上冥界篇の後になる拙作アスガルド篇でもう矛盾生じまくっていますが
後々で補填する手が思いつくかもしれないから。


とりあえず拙作が頑張って取り込むのにあたって考えねばならん疑問としては
「いつの話?」
「なんで神闘士を復活させなかったの?」
ということが挙げられる。


まずは時系列から検証してみる。

黄金魂の時系列上間違いない事実は
「嘆きの壁破壊の後」
「タナトス戦にポセイドンが黄金聖衣を届けるまで」
となる。
……おい、26巻と27巻の分の時間しかないぞ。
しかもこのとき、グレイテストエクリップスは現在進行形で進行中。
一方、黄金魂ではアイオリアが目を覚ましてリフィアが逃げてデスマスクがロマンスしてだのと、どう圧縮しても数日の時間は経過していると思われる(要検証)。
さあ大変だ。並の方法では整合性が取れないぞ。


グレイテストエクリップス進行中である事実は動かしようがない。
聖域で太陽が欠け始めるのを邪武や魔鈴が観測した後に黄金聖衣は聖域を飛び立っている。
この後に、双子座の聖衣の到着を経て、嘆きの壁は破壊される。
従って、嘆きの壁の破壊時点で既にかなりグレイテストエクリップスは進行しているということになるのだ。

ジュデッカでのハーデスの台詞を考える限り、グレイテストエクリップスの完成まではどんなに時間をかけたとしても数時間がいいところだろう。
実際には一時間も無かったかもしれない。

一方、黄金魂第一話でグレイテストエクリップス進行中の太陽を見たアイオリアが
「太陽があの状態になってからどれくらい経つ?」
とリフィアに尋ねると
「一週間ほどでしょうか」
と答えている。

つまり、アスガルドから見ると、グレイテストエクリップスは進行せずに一週間ほども止まっている。
となれば結論は一つしか考えられない。

「黄金魂の間、アスガルドの時間は外界から切り離されていた」

これは多分間違いない。
では何故そうなったかだ。

もちろん、そんなことができるのは神しかいない。
ハーデスは知ったこっちゃないので除外。
アスガルドに影響のありそうなポセイドンは封印中でそこまでの力はなさそう。
ロキかオーディーンかの二択であろう。

で、そもそも黄金魂のメインストーリーは、邪神ロキがユグドラシルを育てることでグングニルの槍を手中に収めようとするのを、止めるというものだ。
グングニルの槍を手にすれば地上を支配することができる。
が、先にハーデスに地上を滅ぼされてしまうと、邪神ロキとしてもどうしようもなくなってしまう。
ロキはグレイテストエクリップスが完成するまでに、なんとしてもユグドラシルを育てなければならなかった。
そのため、ロキがグレイテストエクリップスの発動を確認した時点で、アスガルドの時間を外界から切り離し、アスガルドの時間だけが先に経過するようにする必要があった。

ということで時間における矛盾は解決したと思う。


次の疑問、「なんで神闘士を復活させなかったの?」
こっちは、本作最大の疑問でなかなか案がまとまらないので次回まわし。
posted by 夢織時代 at 02:04| Comment(0) | TrackBack(1) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月04日

聖闘士星矢同人小説「夢の二十九巻」更新しました

間に二年間Ωの感想を挟んだこともありますが、実に三年半かかりました。
第二十九話「天秤宮の弟子」ということで、本ブログでの検討が多少影響しています。
http://www3.osk.3web.ne.jp/~jidai/saint/29/29_029.htm
posted by 夢織時代 at 01:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月04日

聖闘士星矢Legend of sanctuary感想

見て来ました。

完全に内容のネタバレになりますので
未見の方はここで引き返して下さい。




























五点満点で付けるならばいいとこ二点がやっとのダメ映画。
伏線も感動もろくにない酷いストーリーで、
聖闘士星矢を知らない人間にはとてもじゃないけど勧められたものではない。

だが、聖闘士星矢を分かっている人間にとっては
笑い所とツッコミ所と激熱所だらけのめちゃくちゃに密度の濃い映画で、
見ていて終始変な笑いがこみ上げてきて、声を抑えるのがやっと。
見に行ったことをカケラも後悔しなかった。
なんだこの映画。



ストーリーがダメ過ぎるのは間違い無いのだけど、
じゃあ脚本がダメなのかというとそうではない。
むしろ脚本についてはGoodJobを通り越してGodJobの出来だと思っている。
十二宮編どころか13年前(16年前だけど)から始めて
アテナ覚醒、アイオリア強襲までを30分で片付け、
十二宮編を60分で仕上げたあの纏め方はとてもじゃないが真似できるものじゃない。
何がわるいかというと90分でやろうとしたことがそもそも大間違いだと思う。

真紅が75分なのでこれでも贅沢な時間なのだけど
以前のアニメ版は星矢達の事情については端折って敵登場から描けるので
時間に余裕があったわけで。
さすがにプレストーリーから描くのに90分というはあまりに無茶過ぎたと思う。
このため星矢たちの過去とかは台詞ですっ飛ばしまくっているから
まるっきり感情移入できない。
とりあえず星矢たちは原作から名前を借りてきた別人集団として
おおざっぱに認識しながら見ることになる。
一輝兄さん以外は性格が原形を留めていないのでここは開き直った方がよい。
しかしここまで各キャラが薄っぺらくなるくらいならば
説明抜きで12宮編に突っ込んだ方がよかったんじゃないかと思う。
ただそれだと星矢たちを原作から外れた性格にするわけにいかないので
ここは仕方がなかったところかもしれない。

聖衣の質感は間違い無く凄かった。
あれだけ光沢をガンガン示してやるとさすがに格好いい。
マスクというか面頬の変形はさすがに違和感がある。
実は鎧の防御力としては顔面付近を完全開放している原作の方が有り得ない構造で
顔面完全防御から展開できるこの仕組みはむしろ納得の内容。
……なのだが。
映画開始前に延々と見させられる他映画宣伝で仮面ライダー鎧武を見せられた後では
もうあのデザインは仮面ライダーの親戚にしか見えないという
映画ならではの大問題があるのであった。

冒頭から聖闘士が空を飛んでいるのはΩを見た後では
まあもう今更言っても仕方がないかという印象。
むしろその後でヒマラヤとか遺跡とか発掘してる光政様と辰巳さんとか
もうツッコミどころが多すぎて腹痛い。

辰巳さんは今作で二番目にいい味出している名演だったと思う。
声優を見たら島田さんだったのでそれも納得。
でも辰巳さん、そんな大事な話を自動車の中で走りながらするなよ、説得力zeroだよ。
この後の襲撃に繋げるためとわかっているけどこれはもうギャグ。

クロストーンみたいなペンダントもΩの後ではまあいいかという印象。

開き直ったのは聖域のマッチョな像群を見た瞬間。
ああ、これはもう、ど派手に原作を魔改造してぶっちぎった内容を
どこまで楽しめるかの勝負なんだとあれで開き直れた。
あれはあれですごい。
むしろ星矢を原作にしてあの聖域の巨像群のデザインが出たのは凄い。

サガがばけている教皇はどこかで見たことがあるデザインだと思ったら、
あれだ。さよなら銀河鉄道999の黒騎士ファウストだ。

そして今作でも最大の功労者は矢座のトレミー。
相変わらずアテナを相手にこの精度は半端ない。

沙織さんのキャラ付け改変は思ったより悪くなかった。
むしろ周りがぶっ飛びすぎていて気にならなくなったというか。
銀河戦争無しに話を進めるならああなるかという感じ。
最大の懸念材料だったアイドルから出張してきた声役さんは
覚悟していたよりはずいぶんマシだった。
おそらく相当に努力されたものと見受ける。
それでも最後まで違和感は残ったのだけど、
今作にはラストで味わうべき余韻とか感動とかいった要素が
そもそも無いので、それによって作品をぶち壊しにされる、
などというおそれは杞憂であったことになる。
……それでいいのか。

黄金聖衣を持ってきた辰巳さんがなにげにすごい功労者。
こういう下支えに強い辰巳さんは好きです。

十二宮のデザインのぶっ飛びっぷりはもうこの辺まで来ると
惚れ惚れしてしまう領域だった。

各宮デザインが超絶豪華になったのはCG映画の演出としては
よいのではないかと思う。
なお、個人的に宮内演出最高は宝瓶宮。あれは凄い。
思わず見惚れた。
あれができるなら海底神殿も見たいね。

ムウのクリスタルウォールがすげえ格好いい。
それよりも何よりも眼鏡だという説もあるが。
存外に似合ってた。

アルデバランは原作からの乖離が一番少ないキャラで
実によかったのではないだろうか。
元よりわかった上で腕試し、というのは原作よりさらにいいキャラに。

双児宮のすっ飛ばしは原作を知っていればわかるだろうと言わんばかり。
この分のショートカットを巨蟹宮のデスマスクに担当させたのは脚本の妙技。

デスマスクは今作最大のイイ味出しすぎてる名演というか怪演だった。
いやもう、あの巨蟹宮のひっぷほっぷというのかなんというのか
あの演出に加えてデスマスクのキャラが
確かにデスマスクではあると開き直れる上に
まあくどいくらいに極悪キャラを貫いてしかもシーンが長いという
実は今作で一番活躍したキャラではなかろうか。
そして脇毛ですよ脇毛!
もう見てて腹抱えてお腹痛かった。
さらに最後はブリーフとかもう、スタッフはとことん遊びまくったな(褒め言葉)

宝瓶宮の対決は氷河のキャラが薄かったとはいえ
原作を見た上で見るとやはりオーロラ・エクスキューション対決まで
きっちりやってくれる激熱の内容で大満足。
すぐに氷河が復活するけどね。

獅子宮から処女宮をああ纏めるか、という点も見事という他ない。
あれでアイオリアVSシャカを善悪入れ替えて行うという原作リスペクトだし。

ミロの女性化については、違和感がなさ過ぎた……
シュラともども人馬宮で勝負をしかけて伝言に繋げるあたり、
もう脚本家様が神に思えてきた。
この辺りでは対戦関係が入り交じってるのをよくぞ纏めたものだ。

アフロディーテ……。
アフロディーテ……………………。
これについては本作最大の貧乏くじである。

サガとのバトルは光弾ではなく肉弾戦をぶちかましてくれて
もうこれはすんごく私好みだった。
やはり地に足を付けて肉弾戦やってこその聖闘士だよ!

鬼岩城をシュラがエクスカリバーで胴切り一刀両断してくれたので
山羊座の私は超満足。

と思ったらサガが鬼岩城と合体して大魔王バーンになった。
何を言っているのかわからねーと思うが(略
星矢が射手座を纏うというお約束をきっちり果たしてくれるあたりは
もう満点の出来であろう。
それなのに星矢がケンタウロスモードになっていたので
格好いいシーンなのに笑いを堪えるのに苦労した。
これがシリアスな笑いというやつか。

エンディングは多少沙織さんに棒読みの気が残るものの、
ここまで感動するより笑ってきたので大して気にならなかった。

エンディング後のパートはあからさまに外しを狙った意図的な蛇足だろうか。


結論としてあれだけ全力で色々改造しているのに、
間違い無くこれは聖闘士星矢という作品だ、
と思えてしまう内容だったのは本気で凄かった。
タグ:聖闘士星矢
posted by 夢織時代 at 01:12| Comment(10) | TrackBack(0) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月04日

(SS)大湊警備府少将のサンシャイン牧場規制話

サン牧が話題になっているので、
>数年ぶりにmixiのサンシャイン牧場見た結果
http://kaishaku01.hatenablog.com/entry/2014/06/04/111806

>Twitter / totsuno: 数年ぶりにmixiの「サンシャイン農場」のぞいたら、謎の女が ..
https://twitter.com/totsuno/status/473125003685158913/photo/1

便乗して去年11月のtwitterからミニSSを再録。
艦これとサンシャイン牧場のクロスSSです。
*********************************


鉄底海峡が終わった俺提督、ふと思い立って休暇を取り故郷のサンシャイン牧場に数年ぶりに帰ろうとしたらまず道が分からなくなって迷う。さらになんとか到達した牧場は幻獣が跋扈する動物園になっていた。何を言っているかわからねーと思うが、俺も何が起こっているのかわからねえ。

星の種が氾濫し女神が跋扈して魔法のスティックが散らばり聖なる星の塔が立っていた。俺の故郷だったのどかなサンシャイン牧場はどこにも見えない。いや、もしかしてそこに到達するまでの森が開拓されたのか。どこまで行けば私の家にたどりつけるのか、森よりも果てしない迷路に迷う。

ああ、やっと故郷の家と畑が見えてきた。数年放っていた畑には、最後の年に植えたパプリカとナツメが実をつけていた。周りから聞こえる声はひどく騒がしいが、昔のように収穫しようと思ったらなかなか実が採れない。ああ、収穫の仕方すら私は忘れてしまっていたのか。

パプリカを収穫するとなぜか調味料図鑑が現れた。どうやら業者が玄関先に置いていったもののようだ。こんな田舎にも農業コングロマリッドの営業が来ていることに驚嘆する。

どうやら私は植物学生徒と認定されているらしい。数年前は農場を切り盛りしていた私が植物学生とは、農業の進化に驚嘆する。大湊で少将をしている私が植物学生になっていたという話を秘書艦の電にしたら大笑いしてくれることだろう。

牧場新聞なるものも届いていた。ここ数年の農業の進化を把握していなかった私には、まったく頭が付いていかない。警備府で深海棲艦の攻略を考えている方が当然と思えてくる私は変わってしまったのだろう。

諸々の情報は頭から追い出して、久々にスコップを手にしてみる。ひどく手にしっくり来た。収穫の終わった畑を耕していると昔の感覚が戻ってくる。いつもは駆逐艦を率いる天龍らに補給を頼んでばかりの私が、今は食材一つを作るために畑を耕している。それもまたよかろう。

種袋の中には懐かしい品種とともに初めて見る種も入っていた。業者の営業に感心してしまう。しかしいつ帰ってこれるかも分からないのだから、せめて分かっているものを植えるべきだろうか。畑の外れには桜を植えよう。いつか咲いてくれることを願って。

畑の手入れを終えて、行くのを避けようとしていた山向こうの牧場に足を伸ばす。ああ、懐かしい動物たちが私の姿を見た途端に、もう働けない、引退したいと口々に言ってきた。牧場で数年過ごした彼らはひどく年老いていたが、逃げなかったのだ。済まない、君たちを放置していた私の罪だ。

昔なじみのトラック業者を呼び出し、座り込んでいた孔雀を連れて行ってもらう。ああ、世話になったな。羊たちは毛を刈ってやると見違えるように若返った。牛も元気になったようだ。水場に水を入れて牧場を整える。

畑と牧場の手入れを終えて汗を拭う。ここで培った経験が大湊警備府での私の活動の原点であることを改めて思い出した。ひとときの休暇を終えて私は再び深海棲艦との戦いに戻る。今の私には艦娘たちが待っているのだ。だがいずれまた戻る時もあろう、我が故郷サンシャイン牧場よ。俺提督帰省話END


**********************************
……火を入れたままのセルフィレストランを見るのが怖い。
タグ:艦これ SS
posted by 夢織時代 at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月12日

お返事の予定

年度替わりしてからプライベートと仕事とあれやこれやが
思いっきり重なりまして、お返事が滞りまくっておりますがm(_ _)m
予定では5月18日以降にまとまった時間が取れるようになる……はずです。
お返事はその後、順次書かせて頂きます。

その後総括の続き予定です。いつになるんだろう
posted by 夢織時代 at 00:57| Comment(7) | TrackBack(0) | 徒然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月02日

聖闘士星矢Ω第二期総括

聖闘士星矢Ω第二期総括

(6月23日更新再開)

もどかしかった。
一言でいえばこれに尽きる。

各所にて名場面はあった。
まさかのオリジナル鋼鉄聖闘士復活や
邪武の面目躍如など、絶賛するしかないシーンも多々あった。
だから、聖闘士星矢Ωという作品を二期に亘って放送してくれたことには
感謝してもしきれない。

でも、とにかく、もどかしかった。
足りなかったのだ。
根本的に。

よりによって、面白く無い方向に舵を切ることがあまりにも多かった。
なぜ、どうして、そういう「面白く無い」ことをするのかと。
脚本が分業であるがゆえの意思統一の無さが一因であることはわかる。
また、途中で当初計画を上回る長さに引き延ばしを強いられたであろうことについては
もはや確信を抱いている。
そういう理由があるのはわかるのだが、
それだけでは済まない、根本的なシリーズ全体についての問題が
かなり根深くあった。


まず、やるだけやって無駄でした、というケースがとても多かった。
最たるものは紫龍貴鬼フドウのアテナエクスクラメーションだが
ラスト2における蒼摩たちの最終必殺技もしかり、
何度やっても「何故か」逃亡されてなかなか倒せない三級パラサイトたちとか、
全力で何かを投じたものが報われないのは現実だけでいいです。
せめて何か、目に見える戦果を出してやれと。
ことごとく、キャラの行動をバカにするかのように何の意味もありませんでした
と終わらせるケースがあまりにも多かったのだ。

それはつまり、「活躍しない」という印象となって
第二期を通じてひたすらに欲求不満が蓄積されていく。
神聖闘士が活躍しない、
蒼摩たちが活躍しない、
登場しているのにひたすらにこういう無念が積み重なっていく。



そして、「何故」という疑問に答えてくれないという大問題があった。
これは興味をそそる「謎」ならばいいのであるが、
そうではなく、「合理的な理由が示されないゆえの疑問」が多々あった。
最たるものは、話の根本にしてラスボスたるサターンの行動。
未だに彼の動機がまったくわからない。
そもそも、永劫の存在であるはずの彼が何故人間を見ようと思ったのか。
まずそのきっかけが何も語られていない。
そして、人間を見るにしては、鋼鉄聖闘士養成所に潜り込むという
まったくもって訳の分からない選択をしている。
ハイペリオンさんを筆頭に、何故か彼の手で倒されるパラサイトたち。
腹心の部下たちを自分で殺していれば世話はない。
人間が愚かで永遠の静寂をとか言ってるので、人間全てを止めるのかと思いきや、
サターン兵はしっかり残していた。
やってることが根本的に矛盾だらけで、何も納得できなかった。

彼の復活に関するあたりでそれらの動機が明かされるかと思ったが、
時貞による時の狭間への到達と、
アイガイオンたちの暗躍し始めた時期(=一輝が内偵していた時期)と
彼がパラスに関与した時期と、
昴となって鋼鉄聖闘士養成所に現れた時期、
これらがてんでばらばらで、まったく理解できない。
おそらく
アイガイオンの暗躍→時貞の時の狭間への到達→鋼鉄聖闘士養成所に出現→パラス復活
の順番なのだろうが、
そもそもアイガイオンたちはどういう経緯で、何を目的に活動していたのだろう?
時貞はサターンの復活に関与したのか、単に接触しただけなのか。
何故鋼鉄聖闘士というものになろう、などという戦略を取ったのか。
……アプスを倒した光牙に接触するのであれば、そもそも鋼鉄聖闘士になるというのは
かなりの回り道で、記憶を無くした状態では接触できるかどうかも怪しかったのに……
最後に、パラスを復活させた理由だ。
神々同士をぶつからせて滅ぼす……までもない。
サターンが復活すればそんなことをするまでも無く二人の女神を瀕死に追い込めたのだ。
エウロパさんがいうように、アテナ抹殺をするだけなら
パラス無しでもなんとかなりそうなのである。

それでも、昴が光牙を追いかけようとする理由が
神になる男だから神殺しを追いかけるとか
そもそもの切っ掛けからサターン様は矛盾だらけだ。
その昴が人間に触れて感化されていく……
のかと思ったら、いったりきたりで結局生意気なだけのガキという印象ばかり
積み重なってしまい、まるで感情移入できなかった。
光牙の弟分というにもイベントが思い出せない。
さらにはエルナの死後やケリー先輩の死後にそれがほとんど活かされていなかったのは
致命的と言って良い。
辛うじてケレリスの死後は聖衣が変わったこともあって若干の変化はあったが
人間に感化されるのならば、第一期のアリアのように世界旅行をすべきなのだが
さすがに二番煎じになってしまうのでこれは出来なかったのだろう。
この点で昴との絆がどうのこうのという終盤への伏線は
中盤の時点で破綻していたと思う。
辛うじて思い出せるのは栄斗とのたき火シーンくらいか。

子馬座の聖衣を着せたのも最終回のための伏線であるのはわかるのだが
サターン復活時に盛大にぶち壊してくれたので
それもなんだか感動できないのである。
結局サターンを翻心させたのは人間の素晴らしさでも
仲間との絆でもなく、
光牙との肉体を駆使したバトルだったのだから、
第二期を通じての物語の意義はなんだったのだろうということになってしまう。


そのくせ、第二期最大の悪役として立場を確立したハイペリオンさんも
サターンが自らの肉体で倒しているのだから始末が悪い。




徒労感の蓄積と、合理性の欠落。
これらが、第二期を通じてひたすらに残った無念さに寄与する
最も大きな要素ではないかと私は考える。
これらは、青銅一軍が活躍しなかったとか、
鋼鉄聖闘士なんか描いてる場合か、とかいった
個々のファンの趣味の問題ではなく、
もっと根本的に、そもそも作品自体を「面白く無い」ものにしてしまう
エンターテイメントとして失格の構成だったと言わざるを得ない。


ただもちろん、聖闘士星矢Ω第二期という作品が無価値であったわけではない。
名シーンと呼べるところも点在しており、
個別で見るといいシーンは結構あったのだ。
少なくとも私はひたすら見続けてきたこの一年間、意義は十二分にあったと思っている。
玄武が後を託す闘いとその存在感、
ハイペリオンさんという珠玉の悪役の完成、
まさかのオリジナル鋼鉄聖闘士の登場と20余年越しの伏線回収、
第一期で無視され続けた青銅聖闘士たちの活躍シーン、
とうとう教皇にまで上り詰めたハービンジャーさん実はいい人、
と、個々で見るとすごく面白い回はあった。
これは間違い無い。
ログを振り返って見ると、私はこれで結構楽しんでいる。
各シーンではエンターテイメントに徹している回は確かにある。
ただ、それが第二期を通じての一連の物語の中で生きてこなかったり、
……エーギルさんは再登場するわ、AEとセットでやっと聖剣を折るだけだわ、
他の部分を台無しにしていたりと、
……タイタンと互角のハービンジャーに対して、ハイペリオンさんは黄金三人撃破とか
どうにもこうにも没頭しきれず、熱中しきれず、
「もどかしい」という感想に行き着くのである。



以下予定。
プライベートがあたふたしてまして、多分また数日かかります。


★パラサイトとは?
★パラサイトについて
サターンにとっては一体パラサイトとは何だったのか、
そもそも人間を見下していたパラサイトはなんだったのか
結局何もわからないため、違和感だらけで残ってしまった。

Ω第二期で私が一番気に入らなかったことが何かと振り返ると、
場つなぎのために使い捨てられる雑魚パラサイトの無尽蔵の消耗ではないかと思う。
自分で書いたブログを読み返すと毎回のように愚痴っていた。
本編冷遇キャラのSSを書いている偏執的ファンなもので、
そうやって使い捨てられるキャラというのが不憫でならない。

それに加えて、彼らの立ち位置と補給とかが気になってしょうがないのだ。
聖闘士の雑兵は聖闘士候補生を兼ねた世界中から掻き集められた人間である。
海闘士の一般兵は、ポセイドンの小宇宙によって呼び集められた
新たなる時代に生き残るための人間であり、
穢れた地上を憎み、新たなる理想郷のためにポセイドンに忠誠を誓う者たちだった。
冥闘士の一般兵についてはマルキーノという超例外がいるので多少悩むところだが、
冥闘士の成り立ちから見ると、通常の人間に
冥闘士としての魂が発現して、つまりは冥闘士の魂が人間の身体を乗っ取って
冥闘士の雑兵になっているのではないかと思われる。
冥界で暮らしているらしいマルキーノを見る限り、
その魂も神話の時代から続いているのではないかという推察ができるのだが。

アスガルドの兵はオーディーンの地上代行者に従う一群だった。これはわかりやすい。

……第一期の火星士(マーシアン)は結局なんだったのだろう?
マルスの直属の配下であったことは間違い無い。
区分上、ソニアしか確認されていないハイマーシアンというものがあり、
かつ、マーシアンに入るかどうかわからない「マルス四天王」がいた。
纏っている鎧は全て昆虫がモチーフだが
ソニアがハイマーシアンになっているところを見ると
別に「火星人種」であるというわけではないらしい。
火星には現住民族がいたような形跡もなかったし。

アプスの力を使った配下という見方も考えられる。
マルスが聖域の大教皇という立場で聖闘士を統括するのならば
メディアが自らの配下としてアプスの力を使った部下を作ることを
考えていたのかもしれない。
だがそれだと指揮系統は違和感ばりばりである。
マルス四天王とソニアを除く三人の名前有りマーシアンは一応闇属性っぽくて、
闇の神アプスとの繋がりがあるような気がしなくもない。

結局マーシアンが聖域にほいほい出入りしていたため、
線も引きようがなかった気がする。


さてパラサイトとサターン兵だが……(6月23日ここまで)


★エウロパさんとミラーさんについて

★パラスベルダについて

★玄武について

★ハイペリオンについて

★アテナエクスクラメーションについて

★四天王の実力差について

★三級の不死身ぶりとクラス分けについて


posted by 夢織時代 at 01:30| Comment(66) | TrackBack(0) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月31日

聖闘士星矢Ω第97話最終回感想

聖闘士星矢Ω第97話最終回感想

ラストまで書き上がりました。第二期の総括はエントリを改めて。

ラストOPはいきなり昴VS光牙のカットから!
いきなりのこの演出にはやられた!

そして第二期を通じて光牙と昴とが肩を並べたシーン、
仲間達との会話シーンや共に戦ったシーンの数々が
次々と映し出されていく。

……これだけシーンがあったはずなのに、
どうして印象に残っているのが少ないんだ(悩)
これ、といえるイベントがエルナ死亡、
パラスベルダ突入前の栄斗と
ケレリス関連くらいしか思い出せない。
回数よりもインパクトが重要だったのかなと振り返るところ。



声の出演

光牙  緑川光
蒼摩  小西克幸
ユナ  雪野五月
龍峰  柿原徹也
栄斗  鈴木達央
エデン 諏訪部順一

パラス     鶴ひろみ
タイタン    竹本英史
貴鬼      中原茂
フドウ     関智一
ハービンジャー 矢尾一樹
インテグラ   ゆかな
羅喜      前田愛

セレーネ    本多真梨子
パラサイト兵  松本大督

サターン    水島裕

城戸沙織    中川翔子
星矢      古谷徹


セレーネまで登場。
そして数々の雑魚敵を演じて下さった松本さんは
最後はサターン兵ではなくパラサイト兵として登場。
……結構楽しみだったりする。


途中からΩ聖衣のカットの数々、
そして再びサターンとの激突。
サターンはクロノテクターが無い方が格好いいよなと思う。
天空全てを覆う恒星群を繰り出すサターンに突っ込む光牙。


さあてどうなるか。
「永遠の時の前で、まだ抗うか!人間が!」
いきなりサターンのアップから。
土星のアップを背景に。
そういや火星と違って接近の経緯は語られなかったな。

「今この時を、お前に刻み込む!オレ達の小宇宙!オメガで!」
対する光牙の瞳の大きさの違いは……


という光牙のポーズとΩマークと共に最終話タイトル。
「闘いの果て!光牙よ、伝説となれ!」


「フッ、Ωなどどうということはない……その力、既に見切っているわ!」
見切っている、というサターンのセリフは
ここにきて聖闘士星矢らしさが増している。
……が、ここで対峙する光牙のΩ聖衣の作画が間に合ってない……
やっぱり限界だよなあ。
ただ、先週に比べて翼の展開が抑えられていて
デザインがおとなしくなったせいか、先週より全体の印象はマシになった気がする。

小惑星舞う宇宙空間でガチ殴り合いの交錯をぶちかます
サターンと光牙。
このOPさながらに、神々と正面から殴り合うという構図は結構好き。
ビームだらけだったΩのラストに来て、これはいいね。

「やはり効かぬか」
だが、次の瞬間、サターンのクロノテクターの右肩部に亀裂が入る。
「な、なにぃ!?余のクロノテクターが!?」
意図的にセリフを聖闘士星矢らしくしている印象が強い最終回である。



そして光牙が光とともにみんなの小宇宙を集めている。
ここの大集合だけでも見応えがある。
最初がフック君!、インテグラ、市、シャイナさん、ハービンジャー、スピア君、
氷河、ミケランジェロさん(名前が思い出せなかった)、邪武……

「人間達が互いを思い合う力から生じる奇跡の力……
 小宇宙が集まれば集まるほどその力が増すのだとしたら……
 まさか……オメガには限界がないというのか……!?」
「オメガを知りたいか、サターン!」
背中で語る光牙の聖衣は
黄金色の部分が増えて翼の形が纏まってかなり格好良く見える。

「知りたければ、来い!サターン!」
「なにぃ!」
惑星間へと飛び出していく光牙を追いかけるサターン。
幾度となく拳と拳が正面衝突するガチバトルですよ!

離れた一瞬の隙から
「ペガサス彗星拳!!」
サターンの全身を完全に捉えた流星が駆け抜ける。
受け流したのではなく、正面から受けた構図。
それも全身身構えて、なんとか受けきったという様子だが、
防ぎきれず、サターンの頬に一筋の傷が付く。
「人間の分際で……この余の顔に傷を付けるとは……!
 ゆるさん!!」
即座に時間逆行で(?)修復される傷。
継いで青白い星球を生み出して光牙に叩きつける。

ここで光牙の背後が映るけど、
うん、やっぱり翼の作り方が本来の聖衣っぽくなってる。
六枚羽根ながら、ハーデスの冥衣に近い印象。

星球をどうするのかと思ったら、光牙はこれを真っ正面から受け止めて
「ペガサス・ローリング・クラッシュ!」
なにいいいいいいいい!?
星を回して、手近の星に叩きつけてぶち壊したああああ!?
いや、これは見ていて思わず手を叩いた。やってくれるぜ。
聖闘士星矢の領域じゃないと言われるかも知れないけど、
ローリングクラッシュで星を砕くというのは個人的には大笑いとともに喝采したい。

そして、不敵に笑う光牙は拳を胸の前に構えて
「サターン……おまえまだ全力じゃねえだろ。
 本気でかかってこい!」
神々相手に言うセリフではない……というのは多分意図的だろう。
サターン相手ではなく、昴を相手にしているのだと思えば
この態度もこの拳もこのセリフも納得いこうというものだ。

挑発されたサターンは、真永劫輪舞ではなく……あれ?そういやどこいった?
ひょっとしてサターンの拳やら全身各所に搭載されている菱形のパーツが
真永劫輪舞が姿を変えて搭載されているもののような気がする。
とするとこの拳装着型真永劫輪舞で
ゼロ距離まで近づいて光牙のボディのアッパー気味のフックを叩き込み、
そこから小宇宙を爆発的に注ぎ込んで光牙を吹き飛ばす。
うむ、最終決戦にして生身のぶつかり合い。これだ。

吹っ飛ばされた光牙は小惑星を破壊しながら反撃に転じて
サターンの背中からユニコーンギャロップばりの蹴りをぶちかます。

「まさか……これが人間の力だというのか!?」
うん、確かにこれは人間の力だ。
「まだだ……こんなものじゃない!オメガの力は!!」
このシーンで既に光牙の翼は破壊されている。

さらには突っ込んだ光牙とサターンが……クロスカウンタアァァ!?
お互いの額に叩き込まれてマスクを破壊する生身の拳。
それもそのはず、間近ですれ違ったお互いのアームパーツが
お互いの力を受け止めきれずに粉々に弾け飛んでいる!
「余と互角に渡り合うとは……やはりオメガは恐るべき力……人間が持つべき力ではない!」
あっはっは!やられたあ!
拙作で××××(神です)戦にやろうと思ってたことを
公式で見事にやられてしまった!
もうここまでやられると嬉しくて爽快感で最高である。

見ればいつのまにか、サターンのクロノテクターも
背後の時計盤らしい装飾の翼が破壊されてきて、
露わになったサターンの左肩までがもはや神との対決ではなく、
人間という生身の対決感を煽る煽る。

「今ここで、完全に消滅させる……!」
「消せやしないさ!人間の、オメガの輝きは!!」

2つの小宇宙が星のような球体となって高まり、
周辺の小惑星を吹き飛ばしながら激突する。
そのまま小宇宙を載せた拳がぶつかり、
まずはサターンの右アームが吹っ飛び、
振るわれたサターンの左脚ミドルキックを受けて
受け止めた光牙の左アームが砕け散り、
お互いの鎧を砕きながら生身の対決がさらに続く。

「なんだこれは……!
 怒りではない……痛みでもない……!」
 憂いも……むなしさもない……」
顔面を狙って来た光牙の拳をぎりぎりで避けながら、
サターンの顔はいつしか微笑んでいる。
一瞬、灯のように燃え立つ昴の小宇宙をはさみ、
その表情から、ボディ、顔面へとワンツーを叩き込み、
ど派手に吹っ飛ばすアッパーカット。
この飛ばすシーンが、サターンの背後にたなびく長髪と相まって
実に見事な一枚だと思う。
「全身の血が湧き立つような、この昂揚は……」

この一発でついにオメガ聖衣が完全に破壊されたものの、
光牙の瞳は戦意を失っていない。
「まだだ……聖衣を失っても、みんなの力はまだ溢れてくる……
 この拳には力が溢れてるぜ!」
聖衣のように小宇宙を纏い、右拳に小宇宙を集めて輝かせながら


「余は悠久の時間を生きてきた……」
それを眩しく見つめるサターンは、光牙の拳をまともに胸で受ける。
これによってついにサターンのクロノテクターも粉々に砕け散る。
サターンのアンダースーツはギリシャ風の短衣というか……
ぶっちゃけつまるところカノンスタイル。
うむ、よい。

「だがこのような濃密な時が!
 血が燃えたぎるような瞬間が!
 かつてあっただろうか……!」
そこで頭をよぎる昴としての対決のシーン。
ハティさんは犠牲となったのだ……。
というかハイペリオンさんの立場ねえよやっぱり。

扁平にしたイトカワのような小惑星上に降り立つ両雄。
「絶望するな、サターン」
光牙の声も言葉も、最後の敵に向けて掛けられたものではあるまい。

「絶望だと……?余が絶望しているというのか……」

そうして思い出す。
光牙とともにパラサイト兵たちに囲まれたときの絶望感。
ってか最終回のパラサイト兵はこんな形での登場かよ!
よりによって上司を囲ってのシーンとは報われない。
「いくら倒してもこんなに囲まれちゃあ……ちくしょう……」
瞳震わせる昴に、光牙の声が掛けられる。
「昴……絶望するな。
 何をしても無駄とか、どうせ消えるとか……
 終わるとか、一人で冷めたことを言って諦めるな」
爽やかな笑顔でそのときの光牙と今の笑顔の光牙が重なる。

……このシーンは、ここまでの道中にあったっけなあ?????
色々書き留めまくったこのブログの過去ログを検索してもセリフに
ヒットしなかったので、最終回のこの場で作ったシーンだと思う。
どうせやるのならば、
予めこれを見越して前にシーンを描いていればよかったのになあ。もったいない。

ともあれ。

その光牙に向かって、生身で駆けていき間近で拳を叩き込むサターン。
「余をたぶらかすな!!」

「よく聞け、サターン……」
という光牙の言葉に続いて、光牙が背負う小宇宙が蒼摩の姿を取る。
「おまえだって、熱くなれる……俺たちと同じだ!」

「一瞬しか生きられぬ人間が何を言うか……!」

「そうね……あなたからしたら、私たちが生きている時間なんて、
 ほんの一瞬かもしれない」
サターンの激昂を冷ややかに抑えるように、
ゆるやかに歩いてくるユナの小宇宙。

「たとえ時が過ぎ去っても、共に戦った仲間との絆は、永遠に消えない」
次いで龍峰の小宇宙がサターンの間近まで歩いてくる。

「昴……!!うおおおおお!!」
ここで、サターンではなく昴と呼んだ光牙の拳に、
うむ、ここで来なくては。多分昴との関係は一番深いといえる栄斗の小宇宙が重なる。
「昴、おまえも分かっているはずだ!」
顔面に拳を叩き込まれたサターンの脳裏には
「この、感覚、は……」
パラスベルダ突入前に、栄斗とたき火を囲んだシーンがよぎる。
うむ、昴との関係といえばやはりこれか。
「誰の助けも借りねえ!たとえ一人になっても戦い抜いてやる!」
と叫んでいる昴。
このセリフはきっちり64話のログに記録が残っていた。
そうそう、ちゃんと踏まえてくれていたらいいのだ。
「おまえはなにもわかっていない。
 たとえ離れていても、互いを思う心が力になる。
 俺たちは、いわば血を分けた兄弟も同然」
この栄斗の回答もきっちり64話で描いてくれていた!
「兄弟……」
呆然となった昴の顔から、
今のサターンへと姿が戻る。
「これは、世の中にある昴の記憶……」
そのサターンに、横からエデンの小宇宙が声を掛ける。
「昴……お前の中にも、オメガがある」
「なにぃ?」

凍結した時貞さんを前にしたエデンと昴シーン。
時貞さんもあと一花あってもよかったのになあ……
「昴、お前の正体が何者であろうと
 共に戦う友に素性も過去も関係ない。
 志と思いがあれば十分だ。行こう」
このセリフはきっちり82話にて収録。
「エデン……」

そして今のサターンは戸惑いの叫びを上げる。
「なんだというのだ!人間の声を聞く度に、
 昴の記憶が鮮明に蘇ってくる……!
 人間共、こしゃくな真似を!お前達が昴の記憶で余をたぶらかしているというのか!」
叫ぶサターンに対して、仲間達は暖かく見守る微笑みを返す。
もはや勝負あったと思わせられるシーン。
というかホントにサターンは何故昴になったの。

「ならば完全に消してやろう! 余は……余は……!
 時の神、サターン!!」
仲間達の小宇宙を掻き分けるようにして光牙へと飛びかかり、拳を振るう一瞬、

夕日を背に、荷物を投げ捨てて、
「お前を倒して、俺は、神になる!!」
これはもちろん第二期冒頭、52話でのシーン。
その記憶に灯火が激しく燃えさかり、光牙の顔面に叩き込んだ拳から
紫の小宇宙がほとばしる。
その拳に頬を歪ませながら、光牙は不敵に笑う。
「この拳……やっと、戻ってきたな!昴!!」

吹っ飛ばされる光牙に重なる第二期前期OPテーマ

「心が燃えたぎるように熱い……この熱い拳が昴……!」
光牙の背に太陽が輝き、光牙を象徴する地球とサターンを象徴する土星を照らす。
「昴……!神だろうが人間だろうが、一度火が付いた心の小宇宙は、
 もう消すことは出来ない……!
 太陽が何度も昇ってくるようにな!」

そして
「輝け!俺の小宇宙!」
十三の星を描く光牙の構えに、
五人の仲間達の小宇宙が重なって構えを取る。
「俺たちのオメガ!!」
唱和する声とともに燃え上がる小宇宙。
「ペガサス、流星拳!!」
その流星は確かに、仲間達の持つ属性の色を全て兼ね備えていた。

「余の前に、このような力など……!」
サターンであることを思い出させるように、
時計盤とその間の時空場を展開してこれを受け止めようとする。
その時計盤の中央に躊躇わず直撃する光牙たちの小宇宙。

一帯が光に包まれて……
白い世界に、光牙とサターンの二人が
天界編序奏ラストさながらの素裸で立っている。
……やると思った。
「愚かな人間達に、地上は任せられぬ……
 お前達はこれからも醜い争いを繰り返し、
 過ちを犯し続ける……歴史が照明するように……!」

「そうかもしれない。でも俺は絶望しない。
 たとえ間違っていても、やり直すことが出来る……
 俺だけだったらここまで来られなかった。
 みんなが居たから戦えた。
 みんなが、俺に勇気と力を与えてくれたんだ……!」
「その力もここで消える……
 なぜ立ち向かう。
 余の肉体は永遠……滅びることはない。
 何度挑んでも余に勝つことは出来ぬのに……」
両者は歩み寄っていき、そこで、拳を交えずにすれ違う。
「その答えが知りたくて、お前は昴になったんだろう……
 何度でも立ち上がる。
 それが、アテナの聖闘士だ!!」
ここで、物語の順序ができていればなあ。
サターンが昴になろうとする、その最初のきっかけは人間への疑問であり、
その疑問をいだかせたイベントがあるはずなんだが、そこが描かれていない。


そうして、時計盤に突き刺さる流星拳へとシーンが戻る。
「俺は諦めない!お前との闘いも!
 人間の未来も信じる!!」

「これは……この輝きは……オメガ!」
 一瞬ながら、流星となって飛ぶ中に、スピア君とギュネイ君を確認。
あとは青銅聖闘士たちかな?
速すぎて一時停止してもなかなか確認できなかった。

この後は主に白銀聖闘士たちの姿が。
「人間たちの思い……不屈の闘志……
 一瞬の命……奇跡、希望……美しい……」
それらの光を迎え入れるように手を広げたサターンの前で時計盤が砕け散り、
到達した光牙の拳がサターンの胸を射貫く。


というところでCM。
このあとフィナーレへ。


さて、砕け散ったサターン城宮殿跡のような小惑星上にて
改めて対峙する両雄。
サターンの胸には今し方叩き込まれた割には治りかかってる傷が刻まれているが
これは時を戻したのではなく、時を進めて完治させたものの、
傷跡が残った、と考えるべきなのだろうか?
「これほどまでに我がクロノテクターを砕き……我が身を傷付けた者は初めてだ。
 見事だ」
そうはいいつつも、倒れもせずに立つサターンである。
「俺だけの力じゃない……
 これは……」

「オメガか……」
呟いたサターンが手をかざすと、目の前に、修復されたサターンのクロノテクターと
真永劫輪舞が姿を現す。
「余の肉体とクロノテクターは永遠に滅びることはない……
 それでもまだ向かってくるか」
そのクロノテクターの中央に、流れ落ち続ける砂時計のようなものが見える。
「その質問の答え……もう聞くまでもないことは、
 お前も知っているはずだ」
爽やかな笑顔で答える光牙。
「フッ……そうであったな」
応えるサターンの顔も、晴れやかに笑っている。
「人間達が互いを思い合う心から生じる奇跡の力……オメガ。
 オメガの精神を持ち続けている限り、人間には、希望がある……
 ペガサス光牙。
 お前が刻んだこの傷、永遠に残しておこう」
おお。ということは、治しきることなくわざと残したのか。
時を操る神ならではのこの演出はなかなか素晴らしい。
「お前という聖闘士と相まみえたこの掛け替えのない時を、わすれぬために」
そうしてサターンは自らの上衣を修復する。
ああ、うん、やっぱこのスタイル格好いいわ。
「お前の熱き心に免じて、今は去ろう。
 だが、お前達がオメガを失ったとき、再び地上を奪いに来るぞ!」

「そのときは、また俺たちアテナの聖闘士が、相手になるぜ」
受けて立つという表情と仕草で拳を示す光牙の姿は
なるほど主人公である。
「フッ、なおも神と拳を交える気か」
呆れたように爽やかに笑うサターンの影ならぬ光が伸びて
見覚えのある少年の姿を形作る。

「懲りないヤツだな。それでこそペガサス光牙だぜ」
次の瞬間、その少年の姿が、子馬座の星座の姿からオブジェ状態の聖衣へと変わって行く。
「エクレウス!?」
「聖衣はたとえ聖闘士が死しても、その思いと共に未来へと受け継がれていく。
 青き地球を永久に美しく……
 エクレウスよ、余の思いも受け継いでいってくれ……!」

砕いたときにはさすがに絶望したが、
時の巻き戻しとともにこれを取り戻させるとともに、
自らの思いを聖衣に託してこう別れを告げる……
なるほど、目指したかったエンディングの姿はよくわかる。
その思いをエクレウスの聖衣として残す余韻もまた美しい。

そうして、サターンは自らのクロノテクターとともに浮かび上がる。
「さらばだ。ペガサス光牙。
 ……熱き血潮の、兄弟たちよ……!」

「昴……」

そうして、最後に意味ありげな視線とともに笑って時の神は去り、
時が止まった地上は再び動き出していく。


「光牙……」
立ち尽くしていた貴鬼が言葉を紡ぐ。
「オメガの輝き、私も初めて見た……」
見上げるようにして、フドウが立ち尽くす。


「あいつら……!」
最後までアテナを守る聖闘士となったハービンジャーさんが
歓喜の表情を見せる。
「光牙……やってくれたのですね……!」
沙織も会心の表情で天を見上げる。

「パラス様……」
意識を取り戻したタイタンはパラスをしかと抱き留めている。
うん、マジヒロイン。
「タイタン……」


そうして、サターンの翻意より先に動いていた一輝は
誰かに見られるより先にパラスベルダを去る。
うん、実に一輝である。



そしてエデンは宇宙空間で意識を取り戻す。
一飛びに光牙の下へとジャンプして寄る。
「エデン!」
「去ったんだな……昴は」
「ああ……」
次々と駆け寄ってくる仲間達。
そんな彼らを、少し離れたところから星矢が見つめていた。




大型クレーンがいくつも集まって修復中のパラス城。
そういえばなぜパラスベルダがパラスの城になったのかの
経緯は結局語られなかったなあ。
多分かつてのパラスの都だったのだろうけど。
修復はグラード財団の管轄かね。
そしてそれを見守る聖闘士星矢お決まりのフード姿のタイタンとパラス。
似合ってない(笑)

「パラス様……」
「私は、とんでもないことを、この街の人々に……」
「お姉さん!」
落ち込んでいる顔のパラスに声を掛けたのはやっぱりセレーネ。

「お姉さん、大丈夫?
 お姉さん、あまりにもつらそうだったから」

間近でパラソルを展開して、その下には彼女がケレリスに注いでいたような
ティーセット。
背景にはそこら中で破損しまくったパラスベルダの街の
復興作業が見えて取れる。
うん、こりゃ一月やそこらじゃどうにもならん規模ではあるけどな。

「つらいのはこの街の人々……
 私はどう償えばいいのか……」
その言葉に何かを察したようなセレーネ。
「ちょっと待ってて!」
と言い残して、すたすたとどこかへ駆けていき、
「どうぞ!」
紅茶を注いできたカップを盆に載せてパラスへ差し出す。
「これを、私に……?」
この前を自動車が通り過ぎるのが、人の街が動き出したことを暗示していて
なにげにいい演出だと思った。

おそるおそる飲んでみたパラスの顔がほころぶ。
「おいしい……」
「でしょう!元気でた!?
 ほら、街のみんなも元気だよ!
 みんな前よりももっと素敵な街にしようって頑張ってるよ!
 だからお姉さんも頑張って!」

「そうね、私も頑張らなきゃね……」
パラスはローブの下に未だ持っていたエウロパさんお手製アテナ人形を取り出し

「あなたの人生が、愛に満ちあふれたものになりますように……
 これ、あなたにあげる。
 おいしいお茶のお礼よ」
なんか呪いが込められてそうな、というツッコミはここでは言いっこ無しか。
「わあ!お姉さん、ありがとう!
 私、大事にするね!」
嬉しそうに身を翻して駆けていくセレーネ。
それを見送るパラスとタイタンが完全に夫婦。
「人間は弱く、その命は儚い……だが、なんと逞しい」
「ええ。私も見習わなければ……
 行きましょうタイタン。
 愛をはぐくむ人々を助け、その未来を築くお手伝いをするために」
「はい、パラス様」
答える二人の横を、復興用のトラックが走りすぎていく。
あれは以前、光牙たちがケレリスに促されて乗ったトラックではあるまいか。





さて聖域では
「おい、貴鬼!!いまなんつった!!?」
呆れたようにマントを翻すハービンジャーさんに対して
「教皇になれ、ハービンジャー」
悪びれる様子もなくドきっぱりと告げる貴鬼。
それを横からフドウが繋ぐ。
「教皇とは、全聖闘士の頂点に立つ存在だ」
「闘いで疲弊している今、全聖闘士を束ねる教皇が必要だというのが、我らの見解だ」
爽やかに容赦無く突きつけるインテグラさん。
うわっほう。アテナを最後まで守った聖闘士って称号は重いわあああ。

「貴鬼!お前がやればいいだろう!」
「私はこの闘いで壊れた聖衣の修復で急がしい」
さあ、押し付け合いが始まりました。
「フドウ!」
「ハービンジャー、君こそが教皇に相応しい」
目を閉じたまま視線を逸らすな、不動明王の化身。

「んじゃあ……」
「私も同感だ。それに、お前を教皇にと指名したのはアテナだ」
インテグラさんのトドメの一撃きたーーーーーーーーー!
いや、この展開はでも確かにここまでの経緯から見て
(オメガ第二期には珍しく)しっかりと伏線が張られていて、
まったくもって異論がないのであった。
アテナの聖衣を託されて、パラスとタイタンの心を揺さぶり、
最後の闘いにあって最後までアテナの身体を守り続けていたわけで、
これだけ並べると多分、満場一致でハービンジャーさんになる。

「アテナだとお!!?」
「星矢も同意見だ。聞いたぞ。我らのために憤慨し、パラサイトと激戦を繰り広げたと」
というわけで星矢の口からタイタン戦での活躍も語られてるわけですね。
ハービンジャーさん詰んだ。

絶句しているハービンジャーさんの影から羅喜が舞うように姿を現し、
「教皇はとっても骨の折れる仕事なのだ。
 人の骨ばっかり折ってないで、これからはお仕事で自分の骨を折るのだあ!」
うわあああああああ!容赦無ええええええええ!!!
しかし笑えるこの展開。

「簡単に言うな!羅喜!」
羅喜を脅かそうとするも、羅喜はさっくり貴鬼のマントの影に隠れてしまう。

「権力ほしさに教皇の座を欲する者よりも、
 お前のように真っ直ぐな者の方が適任だ」
サガの乱を見て来た貴鬼ならばこそ、このセリフは重いなあ。
「恐れることはない」
はい、フドウがしっかりアシストして、
「困った時は、我々も手助けする」
なんとなく後でハシゴを外しそうなインテグラさんである。

「みんなで協力!オメガするのだ!」
オメガするという新しい動詞が誕生しました。


「ハービンジャー」
「わあああったよ!ああもう教皇でもなんでもやってやらあ!」
これで断れないのがハービンジャーさんなのだった。
「その代わり!テメエら全員、扱き使ってやるから!覚悟しやがれええ!!」

「はははは!」
と、横から光牙の笑いが聞こえてきて姿を現す。
聖衣箱を担いでいる。
「新教皇ハービンジャーか。どんな聖域になるか楽しみだな」
「うるせえ!何の用だ、光牙」
「挨拶さ。貴鬼、聖衣の修復ありがとな。
 俺、旅に出るよ」
「どこへ行くのだ?」

「さあな。しばらく世界を回ってくるぜ」
過去の経緯から、実は世間知らずな光牙なので、
見聞を広めるにはいい機会であるのかもしれない。
しかし、聖域からさっさと逃亡はズルい。

「光牙、君の前途に幸があることを祈っている」
これはどうやら織り込み済みであったらしい貴鬼。
「フン、どこへ行こうが構わねえが、帰ってこいよ。
 おまえもアテナの聖闘士なんだからよ」
新教皇の許可出ました。
「ああ!!」

すたすたと振り返りもせずに駆けていく光牙。



そして、慰霊地では、名前も刻まれていない墓石に
沙織が花を添えている。
「また、多くの命が失われました……」
後ろには黄金聖衣を纏った星矢が。
「それ以上に救われた命もある。
 忘れないで欲しい。
 俺たち聖闘士は貴方を守り、支えているということを……」
と、星矢が沙織の肩にそっと手を掛けようとしたところで
「沙織さん!!」
と光牙の声が邪魔をするぅぅぅ!
いやこの対決はエンディングでなくて本編でやっておこうぜ。

「光牙、行くのか!」
「ああ、行ってくる!」
と、本当に星矢のお邪魔虫をしただけの挨拶で旅立っていく光牙。
ううむ、沙織さんへの思いとか、あれこれな経緯は
解決してしまったということ?
本編で刻の門のあたりで解決してしまったということなのかな。
なんかちょっと納得がいかない。

ともあれ、お邪魔虫光牙がいなくなったところで、
「さびしくなりますね……」
「だからいっただろ、俺が居るって。沙織さん」
「ありがとう、星矢……」
と、星矢が肩に掛けた手の上に自らの手を載せて、
そっと星矢を見上げる沙織。
うむ、まあ、これはそれなりのエンディングというべきか。
やっと二人が向かい合ったわけで、
こうなると星矢は逆の意味で教皇には向かないわな。



さて光牙はというと、
行く手に蒼摩ユナ龍峰栄斗の四人が私服姿で待っていた。
「お前を見送りに来たんだよ」
「旅に出るなら出るってちゃんと言いなさいよ」

「なんか苦手なんだよ、こういうの」
と頭を掻くのは割と本気でそうなのだろう。

「光牙、君は本当に水くさいんだから」
龍峰は光牙への呼び捨てを継続。うん、いいね。
「それで、いつ帰ってくるんだ?」
と眼鏡栄斗。……これも久々に見る気がする。
「さあな……」
という光牙の答えに海鳥のものらしき鳴き声が重なる。
「みんな俺が世界を守ったっていうけど、ピンと来ないんだよな……
 だっておれ、この世界のことまだ知らないし……
 聖闘士として戦ってきたことに悔いはない。
 でも俺自身が何も無いって気がついたんだ。
 故郷も、親兄弟も、やりたいことも夢も、何も無い……
 だから何かを見つけたいんだ」
ああ。
これは本作にエンディングに相応しいセリフだと思う。
そう、ずっとつきまとっていた「何故光牙なのか」という疑問。
光牙が主人公であるという以外に、何か特別なものがあるわけではない。
誰かを感化させることも、誰かを感動させることも難しい。
それは、光牙という人間が世界から切り離されていて、
ひどく空虚な育ち方をしてしまったことに由来するということで
……おおい、これってつまり光牙の物語は「俺たちの旅はこれからだ!」ってことじゃんか。
そして、どうにもこうにも意図的に、アリアとの旅が無かったことにされている気がする。
あの旅は、光牙にとっては事実上初の人生経験の嵐だったはずなのだ。
あの旅が無ければ、光牙ははたして聖闘士として戦えただろうかという気もする。
……と言えるほど人間に希望を抱くイベントが多かったかというと、
果たして疑問なのであるが。
この点で、光牙は昴=サターンにとてもよく似ていたのだ。

さてそんな光牙を遮るようにパーティーのお姉さんが
「あるわ」
「!?」
「何も無いなんてことはない。あなたにはある!」
と拳を突き出す。
その拳の上に仲間達が拳を重ねていき、
「ああ、そうだな」
合わさる拳にオメガの輝きが宿り、

そして、それを軽々と乗り越えるようにジャンプして、数十段の石段を一跳びで飛び降りる。

「見送りありがとうな。じゃあ、行ってくる!」
と、未練の欠片も無い仕草で手を一振りして掛けだしていく。

「光牙……」
「へっ、あいつやらしいや」
お姉さんと親友が笑顔で見送る。
この二人がいなければ、光牙は一人では立てなかっただろうなあ……


と、最後にやはりこの人。
聖域の出口近い門柱にもたれかかっているのはもちろん
「見送りに来てくれたのか、エデン」
「一応、挨拶くらいはしておこうと思ってな。
 僕は旅に出る。
 自分のすべきことを探すために」
アリアや家族を失った後の慰霊の時間をエウロパさんに思いっきり邪魔されたっきりだったからねえ……。
闘い続けることで自分を保っていたというところは間違い無くあったと思う。
その彼が昴に気を掛けていた理由は、……正直、あまりよくわからないが。

ともあれ、その言葉を聞いた光牙は目を丸くして、
それから高笑い。
「……?何故笑う?」
「おれと全く同じだからさ」
いい笑顔でエデンの肩をひっつかんで
「行こうぜ!エデン!」
「……一緒に行くとは一言も言っていないが」
困惑気味の貴公子である。
そりゃそうだ。自分自身と向かい合うはずの旅のつもりだったのに。

「旅は道連れってな。
 一人で旅するより、仲間と一緒の方が楽しそうだろ?」
誰が教えたのかねえ。シャイナさんかな?
ともあれそれを聞いたエデンも笑顔になる。
彼の中で彼の過去を消化するための時間には
喪失を同じくする光牙というのはある意味では正しいのかもしれない。
「それもそうだな……」
同意の言葉とともに、オリオン座の聖衣ボックスを担ぎ上げる。
「いこう、エデン」
「ああ。光牙」
ここでも光牙、と呼ぶのが継続。

そして掛けだしていく二人の先には、
遙かな道、世界、そして星空と、サターン去りし宇宙。




おわり


……引き続き、第二期総括に続く。
posted by 夢織時代 at 02:14| Comment(33) | TrackBack(0) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月24日

聖闘士星矢Ω第96話感想

聖闘士星矢Ω第96話感想

声の出演

光牙  緑川光
蒼摩  小西克幸
ユナ  雪野五月
龍峰  柿原徹也
栄斗  鈴木達央
エデン 諏訪部順一

貴鬼      中原茂
紫龍      成田剣
フドウ     関智一
ハービンジャー 矢尾一樹
瞬       神谷浩史
氷河      宮野真守
一輝      杉田智和

ヒドイネタバレきたーーーーーーーー!
冒頭で展開をばらしてしまうのはこの構成の
最大の問題点だよなあ(笑汗
ともあれ、この面子だと回想シーンじゃなくてやっぱり生きてただろうと確信。

市    小野坂昌也
檄    梁田清之
タイタン 竹本英史
サターン 水島裕
城戸沙織 中川翔子
星矢   古谷徹

脚本 成田良美

おや、ここで成田さんか。




「サターンよ!宇宙の最果てへと還るがいい!」
冒頭から黄金の短剣を突き立てる星矢。
このセリフななかなか興味深い。
消えて無くなれ、ではないところがポイント。
星矢はサターンがどこから来たのかを把握しているのでは?
それも、刻の狭間ではなく、宇宙の最果てというのが難しい。
刻の神というからには時の始まりから居たという見方もできるけど。

「フッ、これが神を殺せるという黄金の短剣か」
胸に突き立てられながら余裕の喋りなサターンさん。
「我がクロノテクターを砕くその威力……
 なるほど、並の神ならば十分に命を絶てよう」
突き立てられた胸部から次々とクロノテクターにヒビが入っているというのに
「だが、余は刻の神、サターン!不滅の神なり!!」

うああああ!?黄金の短剣すら石化して崩壊した!?
思わず星矢が飛び退るとともに、ヒビが入ったはずのクロノテクターが巻戻るかのように
修復されていく。
これは、実際に刻を巻き戻している?

それはともかくとしてサターンの三下全開な威厳ゼロの笑顔がヒドイ。
エウロパさんも真っ青ですよ。
どうしてもサターンの格が低く感じられてしまうが
どうも意図的にやっている気がする。
アベルやルシファーの超然たる威厳と比べて、とにかく俗っぽいというか。

「一時とは言え、我が身を傷付けた報い、うけるがよい!」
あ、やはり巻き戻し能力は確定っぽい。
一時、ということは傷付けた事実をも巻き戻したのだろう。
それはさておき、すごく楽しそうな顔で……つまりは子供っぽい笑顔で
(いくらなんでも作画がひどすぎやせんか?)
真永劫輪舞を振りかざすと、上空の宇宙空間に光が走り、次の瞬間に星矢を貫いた。

だが、星矢は貫かれながらも倒れずにその場に踏みとどまる。
見上げれば土星の上に輝く13の星からなる本来の守護星座。

「天馬ペガサスは……血溜まりの中から生まれ、天へ駆けあがったという……」
その言葉が、背後にいる次世代のペガサスの聖闘士に掛けられたものであることは明白だ。
「血塗られた宿命を背負いながら、過酷の戦いの中でこそ翼を広げて立ち上がる……
 それが、ペガサスの聖闘士だ。
 ……光牙、お前ならば飛べる」
ここまではっきりと、星矢から託される戦いは、火星での戦い以来だろうか。
それが遺言めいていることに気づいてか、光牙は瞳を見開く。
「若き聖闘士よ……君たちに、アテナを託す……!」
星矢の叫びとともに、サターンが突き立てた光の槍が輝きを放ち、
爆発し、次の瞬間、星矢はその場に倒れる。


というところでタイトル。
「最後の闘い!ゆけ、Ωの聖闘士!」




「……!星矢の小宇宙が、消えた……」
パラス城で沙織を抱きかかえているハービンジャーさんが
実に聖闘士星矢らしい表現でサターン城を見上げる。
同じくパラスを抱きかかえているタイタンも。
氷河、瞬も気づいているが、こちらは星矢の小宇宙が消えたことなど
何度となく感じているせいか、これで終わりと絶望しているのではなく、
呼びかけるように星矢の名を呟く。



そして、星矢の身体から離れた射手座の黄金聖衣が
オブジェ状態となって、その矢をサターンに向ける。
「なおも闘志を失わぬとは。
 さすがは幾多の神を倒してきた伝説の聖闘士……」
と言ってから真永劫輪舞を振りかざし、思い切り叩きつけて
射手座の黄金聖衣を完全に粉々に破壊した。
このときに半ば膝を突くくらい、肉体的には思い切り動いてるあたりが
激情というか、単純というか、威厳が無いというか……
こういうところでわざわざやっちゃう辺りが
タナトスよりも格が低いと思ってしまうところ。
「だが、その伝説も、今終わった」



「終わっていない」
そのサターンの声を否定するのはもちろん光牙。
その拳が静かに震えている。
「まだ終わっていない」
その言葉に、仲間達がはっと光牙を見る。
この布陣で光牙に一番近いところにいるのが蒼摩とユナというあたりは
第一期の仲良し三人組を思い出して評価したい。
「星矢が守ってきた世界も、
 星矢が守ってきたアテナの命も、
 星矢の伝説も、まだ終わっていない!」
うむ、これぞペガサスの後継者というべきセリフで、
聖闘士星矢の続編としてこのあたりは実に遺憾なく喋ってくれていると思う。

「異な事を。
 命が尽きた時こそ、その人間の終わりであろう」
「星矢の思いは俺たちが受け継ぐ!
 受け継ぐ者がいる限り、聖闘士・星矢の伝説は生き続ける!!」
ここの「聖闘士・星矢の伝説」のイントネーションは注目点か。
伝説の聖闘士としての星矢を一言で物語る、なかなか感慨深い。

「結末は同じだ。
 小宇宙を失ったアテナの命の灯火は間も無く消える。
 そしてお前達も消えれば全てが終わる。
 もはや時間の問題だ」
サターンが時間の問題、というところが無敵ではないことを意味している。
サターンは時間を自在に操れるわけではない、ということを物語っているからだ。

「終わらせねえ!終わらせてたまるかよ!」
まず光牙の後をついで吼える蒼摩に、やっと本来の姿になったかという印象。
蒼摩はこのポジションなんだよな。
「伝説の聖闘士たちが戦い、切り開いてくれた未来!ここで終わらせるわけにはいかないわ!」
で、ユナが後を引き継ぐと。
「この地上の未来、そしてアテナという掛け替えの無いものを託してくれた……」
そして龍峰に話が繋がる。
ここで託して、という言葉には紫龍が連想される。

「聖闘士として、その信頼に全力で応える!」
忍者ではなく、聖闘士としての生き方を選んだということも含めての栄斗のセリフか。

「あくまで抗うというのか」

「お前が人々の時間を奪うというのなら、僕達がそれを阻む!」
エデンにはもう少しマルスの子としての演出があればとちょっと思う。
第一期のことは出来るだけ忘れようとしているのはわかるけど、
ちょっともったいない。

「サターン!お前を倒して!アテナとこの地上を守る!!」
最後に光牙が一同を締めくくって宣戦布告。


「往生際の悪い者たちよ。
 ならば、余自らの手でお前達の時を終わらせてくれよう!」
周囲の宇宙空間から星の光を掻き集めてその身に取り込み、
「時間だけではなく、数多の星を支配する……!
 これが、神の力だ!!」
サターンのクロノテクターの赤い部分が青紫に変色する。
星の光を取り込んだというイメージかな?
「お前達にはアテナの祈りもなく、もはや守護星座の加護もない!」
げ!?今のは守護星座の光を取り込んだということ!?
いや、それは洒落にならんぞ。

「余に勝つ術はない」
「それでも俺たちは突き進む!みんな!行くぞ!」
というわけでリーダーらしい光牙でした。
「燃えろ!」
「羽ばたけ!」
「湧き上がれ!」
「吼えろ!」
「轟け!」
「輝け!」
という、誰が誰だか、書かなくても分かるようになったこの掛け声は好き。
『俺たちの小宇宙!』


「フッ、無駄なことを」
とつぶやいて浮き上がるサターンさん。
宙に浮かんで、星の光を集めたような無数の青い光の球体を
次々と繰り出して叩きつけていく。
宙に浮かんでこれに追随する光牙たちだが、サターンの迎撃能力はかなり高い。
というか数の暴力。

「いっきにいくぜ!!ライオネット・バーストフレイムボンバー!」
あれ?これって新しい技?
一旦燃え上がった炎を纏って突っ込む
ライオネットボンバーの上位技みたいな位置づけ。
前回にグレートティーチャーが活躍した後だけにこの技の感慨もひとしお。

「アクィラ・フライトルネード!」
フライ、か??ちょっと聞き取りきれなかった。
ユナのも上位技っぽい。手を突いて両脚を回転させるスピニングバードキックのような姿勢から
トルネードを巻き起こす。

「廬山千龍覇!」
……………………おい。
………………………………おいこら。
やりたいことはわかるし、それしかないのもわかるが、
その名前はなんとかならなかったのか…………。

そして、栄斗の小宇宙にはまさかのロックンロールスタースタイルの回想が重なる!
そこから手の内に集めた小宇宙が咆吼と共に放たれる!
「ウルフズロック・デッドハウリング!!!」
いやったああああああああああああああああああああああああああ!!
もはや回収はされないかと諦めかけていた、
那智から栄斗への技継承をここでやってくれたあああああああああああああ!!
私は嬉しい!心底嬉しいぞ!!!

獅子、鷲、龍、狼の姿をかたどった四つの必殺技の威力が
螺旋のように一つに合わさってサターンへと殺到する。


「無駄だ」
サターンの手のひらから現れた星一つがこの螺旋を正面から受け止める

だが、
「無駄じゃねえよ!」
蒼摩が先陣を切る時の役割は大体こうだと思うが、それはそれで、彼のポジションとしてはよし。
「欲しかったのは、一瞬の時!」
時、というところはユナの意趣返しだろう。
「僕達が切り開いた道を、仲間達が進む!」
「光牙!エデン!」
龍峰が告げた言葉を栄斗が継いで、上空の二人へと小宇宙が託される。
この陣容を見ても、やはりエデンはちょっと別格なのね。


「フッ、やはりな。
 こうくると思っていた」
それを見たサターンは口元で笑う。
こうくると、何故わかったのか。
それは、彼がこの陣容での攻撃を、間近で見続けてきたからではないのか。
……と言いたいが、六人全員攻撃を昴が見たケースはあんまりなかったかな?
というわけで完璧にこの二人を撃墜してしまう。

「お前達聖闘士の戦い方はいつも同じだな。
 その身を刃にして道を切り開き、盾となって仲間を進ませる。
 バカの1つ覚えだ」
このあたりの対応は、サターンが昴として過ごしてきた日々が反映されていて、
一応、第二期という物語を受けたものになっているので
少し溜飲が下がった。
「そして、究極の小宇宙オメガ!
 その正体も威力も分かった今、恐れるに足らぬ!
 ただ、オメガを凌駕する力で打ち砕けばよい!」
一輝理論きたーーーーーーー!!
うむ、これぞ正しく聖闘士星矢である。
相手が強ければその上を行けばいいわけだ。
というわけで炸裂した小宇宙の星々が蒼摩たちを吹き飛ばす。


「お前達に残されているのは絶望と死のみ」
星の光を掌の上で弄ぶあたりの仕草はいいんだけどなあ。
「大人しく運命を受け入れていれば苦しまずに済んだものを。
 後悔しても遅い」

「後悔なんてするわけねえだろ!
 俺たちは、仲間と共に全力で戦ってきた!」
この蒼摩が立ち上がるときのセリフに、サターンが驚くというか
主張を論破されて図星を突かれた表情が
やっぱりあんまり威厳がない。
「後悔するようなやわな生き方してねえんだ!」
うむ、こういう反論で真っ先に先陣を切るというのが蒼摩の立ち位置で
今回はほんと、第一期を思い出す。

「何があろうと、私たちは決して屈しない!」
「仲間がいる限り、絶望など無い!」
「たとえ今命が尽きようとも、一片の悔いもない!」
ユナ、龍峰、栄斗もまた立ち上がる。

それらを聞いたサターンの顔にふっと灯火のようなカットが入るが、
これはサターンが昴の記憶を参照していることの暗示だろうか?
「ならば仲間とやらを消してやろう」
って、ここで「いいこと思いついた」ってサターンの顔が神様のそれじゃない……

おそらくは地上へと星の光を叩きつけようとするサターンの動きを察して、
「させるかよ!
 バカだろうと、最後の瞬間まであがいてやるぜ!」
「たとえ敵わなくても、貴方の力を削っていく!仲間のために!」
蒼摩とユナがサターンの星弾を身体で受け止めてたたき落とされる。


「この身で仲間を守れるのなら本望だ……!」
「俺たちが倒れても、意志は仲間が継ぐ!光牙、エデン、後は頼む……!」

光牙が仲間たちの名を絶叫する声が、遠く遠く地上にまで届く。

……え?
えーと、貴鬼、フドウ、紫龍の三人が、瓦礫の中からひょっこり姿を現したんですが……
生きてるとは思ったんですが、
インテグラさんが助けていたに違いないとか考えて
だからハイペリオンを倒しきれなかったとかあれこれ考えてたのになあ。
あのー、もうちょっと演出とかー、伏線とかー。

「若き聖闘士たちの小宇宙が消えていく……」
ともあれ、貴鬼たちは状況を察して天空の城を見上げる。
「希望が消えていく……このままでは、人類の歴史が終わってしまう……!」
悲痛なフドウの叫びは、人類をルードヴィグに託されたという思いがあるのだろう。
貴鬼とフドウの嘆きを聴きながら、息子が立っている戦場を見守る紫龍は
「まだだ!」
と一喝する。

「まだ終わっていない!」
時を同じくして、瞬もまた叫ぶ。
「希望は残っている!」
そして氷河も。

「オリオン……!ペガサス!」
天空からなお感じる小宇宙を察して、ハービンジャーが励ますように声を上げる。



サターン城では、聖衣を砕かれた仲間達が力尽きてその場に倒れ伏している。
「虚しいものよ。命を燃やして生きたところで、
 行き着く先は無。
 時が経てば忘却の彼方へと消え去るのみだ」
そこで、再びサターンに灯火のようなカットがよぎる。
「……なんだ?」

「胸が痛むか、サターン……!」
エデンが告げるところを見ると、これはやはり、昴の影響であろう。
「おまえは心打たれたのだ!
 聖闘士の生き様に!」

「フッ、まだ戯れごとをいうか。
 人間の寿命は短い。
 悠久の時を生きる余に比べれば、瞬きほどの間に生まれては消える儚き灯火よ。
 そんなもので、余の心が動くわけが無かろう」

「ならばなぜお前は、昴が見て来た聖闘士の戦い方を覚えている!」
エデン渾身の一言がサターンへと繰り出される。
うむ、このセリフで第二期の物語が大分底上げされたと思う。
思わず呆然となったサターンは、己が信じられぬように自らの手を見つめる。
その手を振るって戦った記憶を呼び起こしているのか。

「それは、お前の中に聖闘士として戦った記憶が刻まれているからだ!
 昴は消えていない!
 お前の中に生きている!!」
エデンの叫びに対して、
「黙れ………………!」
即座に黙らせることもできずにただ、サターンは呆然と呟く。

「昴……思い出せ!聖闘士として共に戦った日々を!
 共に小宇宙を燃やした時を!
 お前は言った……この世界を守る為に戦うと!」
第二期を通じての昴のハイライトが重なる。
……ハイペリオンさん……

「それが、人間となって人間を見た、お前の答えではないか!」
エデンのそれらの言葉を無視出来ず、サターンの顔は呆然としたままわなわなと震えているが
「だまれえええええ!」
否定できないことを無理やり押さえつけるように絶叫して
再び浮かび上がり星々の力を集めていく。
「余は時を司る唯一無二の神!
 仲間など不要だ!!!」
眼下の闘技場全てを壊しかねないほどの星々がエデンを黙らせるべく降り注ぐが
光牙とエデンはこれを凌いで逆に空中に躍り出て、
二人で互いをカバーしながら次々と星々を迎撃していく。

「ペガサス流星拳!」
「オリオンズ・エクスターミネーション!!」
二人の技の威力が合わさって星々を砕いてサターンに威力が迫るが
寸前でサターンが星々を集めて生成した障壁にまたも威力が阻まれる。
とはいえ、かなり守勢に回っている印象を受ける。

「無駄だ。お前達の抵抗もその命も、全てが無駄だ!!」
紫色の衝撃が走りエデンは闘技場にたたき落とされる。

その姿を上空から冷ややかに見下ろしながら、
「オリオン……神の子でありながら人間に与した愚か者よ。
 消えろ……!」
相変わらずエデンが謎の神の子扱いの割に、
ルードヴィグの主張とかその辺が忘却されてるのがなんだかなあ。

エデンへのトドメとばかりに殺到する星々を、光牙がカットして阻む。
「エデンはお前の正体を疑いながら、それでもお前を信じて一緒に戦ってきた!
 そんな仲間に消えろなんて言うんじゃねえ!」
「なんだろうと、最後は消え失せるのみだ!」
光牙の言葉を無理やり否定しようとする意識がありありと見える激昂した表情で
力任せに星々を投げつけて来るサターンは、
威厳こそ無いが、なるほど確かに昴が滲み出ているという演出に
見えなくもない。

二人揃ってこの星々に対して小宇宙を燃やして立ち向かう。
「ペガサス……おまえと出会えたことを感謝する」
隣に立つエデンからの意外な言葉に、小宇宙を燃やしながら光牙は驚く。
「共に過ごした時間も、交わした言葉も決して多くない……
 だが、同じ時代に生き、共に戦えたことを誇りに思う」
うむ、第一期ラストでの共闘を思い出し、
そしてこの最終決戦での息の合い方といい、この二人はなんだかんだと
確かに意気投合しているところがある。
元々いけ好かないという印象だったところからアリアの死を共に経験して乗り越えて、
今に至っているというところまで振り返るとなかなか感慨深い。

「エデン……」
「神は孤独だ……。孤独故に独りよがりになる。
 あいつにも教えてやってくれ。
 かけがえのない、友情と言うものを……!」
神の子という扱いはともかくとして、
神として生きようとした父の姿を振り返るとするとこの言葉はとてつもなく重い。
ルードヴィグはあるいは、盟友ミケーネと信じ合えていたら
アモール達の陥穽にかかることはなかったかもしれないのだ。

「オリオンズ・ファイナルサンダーボルト!!」
叩きつける雷撃は一瞬で筒状に展開されて、光牙の眼前にサターンへの直通回廊として形成される。
「行け!光牙!」
「無駄なことを!」
星矢に繰り出したのと同じ光の槍がエデンを貫く。
星矢にも匹敵するとサターンに評価させたと言えなくもない。
だがその隙に光牙は回廊を駆け抜けてサターンの間近の上空に迫ることが出来た。

「みんなの友情をこの一撃に込める……!」
その光牙を斜めから見上げるサターンの視線に抗するようにして
「ペガサス彗星拳!!!」
ついに炸裂したああああああああああ!
……と思ったが、その拳はサターンの胸前で当たる前に止まっている。

「友情とやらを感じた時もあったやもしれぬ。
 だが友情も命と同じ。
 時が経てば消え失せる、儚い幻よ……」
サターンの小宇宙が全てを振り払うように強大さを増していく。

「我が最大の奥義でお前を葬り、人類の歴史を終わらせよう。
 クロノ・コンクルージョン・エターナル!!」
炸裂する威力は光牙のみならず、その背後にある地球に、
瞬や氷河たちすらも飲み込んでいく。

その威力が晴れたとき、サターンの眼前の城は大きく崩れて
星辰の深淵へと落ちていく光牙は、纏う聖衣を砕かれている。

「終わった…………何もかも」
喜びの表情もなく、勝利感のない呟きをサターンは漏らす。


というところでCM。



砕けた小惑星帯のような破片の各所に倒れ伏している光牙たち。

「終わった……人間達の時間は、もう二度と動くことはない。
 アテナも、パラスも、全ての聖闘士の時間も終わった……」
その言葉どおり、アテナやパラス、タイタンまでも石化し、
シャイナさん市、檄たちと合流した蛮と那智も石化している。

「青き地球よ、地上を穢す人間達は絶えた。
 これからは一層、青く、美しく輝くであろう」
彼方へと飛んでいく光牙、そして一瞬サターンによぎる灯火。

「この胸の痛みが、時が経てばやがて収まる。
 ……しばし眠ろう。
 永遠の静寂の中で……」
うむ、やっとこ威厳が出て来たというか。
神に徹しきれない無常感が出て来てこの辺りの演出は好きだ。


そして、彼方へと飛び行こうとする光牙は
「動けない……指先1つ……
 目を開けることすら……もう、全ての感覚がない……
 でも、俺の小宇宙はまだ燃え尽きていない……
 まだ終わっていない……」

そして、時が止まった地上にアテナの小宇宙が響く。
「光牙……!
 聖闘士達よ……!
 あなた方の微かな小宇宙、確かに感じます。
 しかし、その小宇宙では、身体を動かすことはおろか、意識を保つことすら精一杯……
 いずれは、その心すら、時間の静寂に飲み込まれてしまう……」
石化した沙織の瞳から涙がこぼれ落ち、
勝利の女神ニケがそれに応えるようにして浮かび上がる。
沙織の身体から意識が抜け出て、小宇宙だけの姿でその杖を手にして浮かび上がる。

「聖闘士達よ……!今一度、力を貸して下さい!
 あなたがたの、かすかな小宇宙を私に預けて下さい!」
石化した聖闘士たちの身体から、小宇宙が次々と抜け出て飛び立っていく。
おお、パラスベルダ周辺で戦っていたコンパス座のフック君や
カジキ座のスピア君、遠景の他の聖闘士もダリ君は確実。あとは誰かな。
ともあれ、第一期冒頭の聖闘士ファイトで出て来た彼らが
ちゃんとこの終盤で戦っていたところを描いてくれたのはとても嬉しい。

ハービンジャーはともかく、
タイタンとパラスまでも呼びかけに応えるのはなかなか感慨深いシーン。
そして紫龍たち三人も、

おお!白銀聖闘士も猟犬座のミゲル君に牛飼い座のバイエル君、
キリン座のバルチウスにペルセウス座のミルファク、ケルベロス座のドーレまで。
彼らの足元にパラサイト兵が倒れているところがまた嬉しい。

そして、姉の身体に付き添っていたインテグラさん。
うむ、彼女が紫龍たちを助けてると思ったんだがなあ。
なんで残ったのか結局語られなかったのはちと不満。

さらにはエマさんに邪武、シャイナさんのところに集まっていた檄蛮那智市、羅喜までも


「さあ、その小宇宙を、光牙へ!」
集まった小宇宙がアテナの声に応じて天空へと舞い上がる。

「みんなの小宇宙を感じる……
 みんなの思い、終わらせるわけにはいかない……
 絶対に!」


「光牙ああああ!」
「待ってるざんすーーー!」
小宇宙だけの姿で真っ先に駆けつけてくれたのは檄先生、
そして市先輩!
そういえば第一期でパライストラにて
最初に光牙の前に現れた前世代の聖闘士はこの二人だった。
さらにはシャイナさんに、おそらくは那智たちと思われる光も。


「アテナよ!全ての聖闘士の小宇宙を、光牙に集中させるというのか!」
自らも応じながら、そのあまりな策に驚愕と確認を求めるように
フドウがアテナに問う。
「これぞオメガの真髄……小宇宙を燃やす時だ」
紫龍は元々オメガについてある程度認識していたゆえにこの言葉もわからなくはない。
ただ、やっぱりついぞ、星矢たちが到達できなかった理由がわからない。
到達できていた、と見るべきではないか。
例えば、原作のサガ戦、あるいはアスガルド編のジークフリート戦のように。
「今こそ我々でビッグバンを起こすのだ!」
貴鬼の言葉は、オメガ=マクロ小宇宙が宇宙創造の力だったという設定を受けたものだろう。

「光牙、俺たちの本気、受け取りやがれええ!」
きれいなハービンジャーさんの叫びがえらく頼もしい。
その背後に飛び交っているのはおそらくは今代の鋼鉄聖闘士たち。

「待っていろ!光牙!」
「僕達の小宇宙よ!光牙へ!」
氷河と瞬の小宇宙も合わさり、
それらが光牙へと、一点に集中していく。

「みんなの思い……終わらせるわけにはいかない。
 絶対に!」
小宇宙を受け取った光牙の瞳が開く。覚醒する。


「光牙!私たちの小宇宙を、受け取って下さい!
 あなたは光! 貴方は全ての人々の希望!」
沙織が祈りのような叫びを上げると共に、

もう一人、この男が平然と地上の瓦礫の中から姿を現す。
…………っていうか石化してねえええええ!?
パラスやアテナまで石化してるというのに、一輝はただ一人石化していなかった。
恐るべきというかなんというかまあ一輝だし!
「これは……アイガイオン」
と、立ち上がった一輝の足元に、アイガイオンの冠だけが落ちている。
「そうか、貴様が時空の狭間から俺をこの世に戻したというのか」
おおおおおおおおおお!?
これはシャカのオマージュとシュラのオマージュを掛け合わせた
胸熱の展開。
四天王にとってサターンとは何だったのかと思わずにはいられない。
結局、アイガイオンにとってすら、興味を抱いた人間の中でも最たる一輝への友誼が
主君サターンへの忠誠を上回ったということなのだろう。


「せめてもの餞、見せてやる。オメガの輝きを……!
 光牙よ!戦えええええええええええええ!!」

他の全ての小宇宙を圧倒する強大さで不死鳥が地球から舞い昇り、光牙へと向かって飛んでいく。
えーと、アイガイオン戦を経てまたパワーアップしたんですか一輝兄さん。
それでこそ一輝だけど。

そして共に戦ってきた仲間達の小宇宙もまた呼応する。
「光牙、僕達の小宇宙も、おまえにやる……!」

「みんな……!!」

そして最後はこの男。
「まだだ……。光牙、飛べ……!」
星矢もまた、光牙へむかって飛んでいく。
「蘇れ!ペガサス!!」
星矢が告げるこの言葉は、世代を超えて受け継がれる魂を喚起する。


眠りにつこうとしていたサターンの瞳を、灼きそうなまでの輝きが貫いて目を覚まさせる。
地球上の一点が光輝いている。
「これは……ビッグバン……!?
 余が全ての時間を止めたこの宇宙で何故!!」
光の中心に経つ光牙は、元の青銅聖衣と黄金聖衣とが合わさったかのようで、
両肩と胸部中央、腰部周りと膝、アームが宝石のごとき青、
他は黄金聖衣を通り超えて神聖衣のような輝きの黄金色。
さらにオメガ聖衣特有の翼が左右十二対展開されている。

「ペガサス!
 なんだ!その聖衣は、何故……!
 オメガの聖衣は余の力で粉砕したはず!!」

「みんなが俺に力をくれた……この聖衣は、みんなの小宇宙で出来た、
 オメガの結晶だ……!
 たとえ神だろうと、砕くことは出来ない……!」
小宇宙を燃え上がらせ、いや、違う。
光牙に向かって、幾千もの銀河が集中していく。

「ペガサスの下に無数の小宇宙が集まり、銀河を形成している……!
 これはまるで、新たな宇宙の誕生……!?」
「サターン!」
驚愕するサターンは、光牙の呼びかけに動揺のうめきをあげる。

「お前に比べたら人間は儚い……
 限られた時間しか生きる事が出来ない……
 だが、短いからこそ、精一杯力を合わせて今を生きているんだ……!」
ここで光牙が小宇宙を燃やす体勢で見るとこの最終聖衣はなかなか格好良く見える。

「仲間と共に戦った時間は消えやしない!
 俺たちの小宇宙、コスモは、大宇宙となって輝く!」


「フッ、時の神である余に、永遠を語るのか。
 余にとっては、瞬きほどの時間しか生きる事の出来ぬ、人間ごときがああ!!」
無視することもできず、サターンは玉座を捨てて浮かび上がり、
光牙に相対するように身構えて小宇宙を燃え上がらせんとする。
それは神の仕草ではなく、彼が人間とともに戦ったときの記憶に他なるまい。

「今この時を、お前に刻み込む!
 オレ達の小宇宙!オメガで!!」
光牙の小宇宙の輝きが、ギリシャ文字の最終文字Ωの文様を描いて輝く。


というところで、つづく。
うむ、演出過多な気もするが、なんというか最終回前のハイテンションで
これはこれであり、かも。



次回予告。
OPでのサターン戦ガチバトルを、纏う聖衣とクロノテクターを変えて
実現するかのような直接対決のよう。
というか光牙の聖衣はもう一段階さらに変形しているような……あれ?ひょっとして星矢?
「闘いの果て!光牙よ、伝説となれ!」
しかも最終決戦はクロノテクターを捨てたサターンとか。
これは胸熱のガチバトルかもしれん。




さて。
生きてるとは確信していたけど、
一輝の生存は納得かつ、なかなかのよい展開。
あのアイガイオンすらもサターンではなく人間に与したと思うとなかなか感慨深い。

一方で紫龍貴鬼フドウの生存については
もう少し何か一言でもいいから伏線や理由を張れなかったものか。
さすがにあまりにもあっさり生存しすぎだろそれは。
原作でも確かにアテナエクスクラメーションを受けて全員死んでなかったけどさ。

今回なにげにセリフが多かった蒼摩は、
光牙の一の友としての面目躍如で結構嬉しい。
エデンと光牙の関係をイイ感じで総括しているのも評価点。
しかし神の子の設定はなんとかして欲しかったな。彼は人間だろうに。

ところどころに昴の意識カットが入ったところを見ると、
サターンがあまりに「人間じみている」のはおそらくは意図的なんだろう。
あの昴が神になったからといってそうそう変わるものか、というところか。
しかし、威厳がなさ過ぎる表情はちょっといただけなかった。

百龍覇ならぬ千龍覇はもう少しなんとかならなかったかと思うが、
とりあえずデッドハウリングの伏線消化をしてくれたので私的には大満足である。
ただ、一同の小宇宙が集約される際に、鋼鉄聖闘士三人衆の姿が見あたらなかったような……シャイナさんたちのところにいたっけな?
それでも青銅聖闘士、白銀聖闘士たちの姿が揃って出て来たのは
最終回前の演出としてはもう満点に近い。


さて、泣いても笑ってもあと一回。
とりあえず今回でかなりイイ感じにまとまりそうだという印象を受けた。
posted by 夢織時代 at 02:11| Comment(38) | TrackBack(0) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月17日

聖闘士星矢Ω第95話感想

聖闘士星矢Ω第95話感想

珍しく一日で書き終えた。

声の出演

光牙  緑川光
蒼摩  小西克幸
ユナ  雪野五月
龍峰  柿原徹也
栄斗  鈴木達央
エデン 諏訪部順一

瞬       神谷浩史
氷河      宮野真守
ハービンジャー 矢尾一樹
タイタン    竹本英史
ミラー     うえだゆうじ
エウロパ    二叉一成
サターン    水島 裕

星矢      古谷徹

パラスと沙織さんは今回セリフ無し。


脚本 村山功


明かりが消えていく摩天楼。
全ての人間が止まった天安門広場、ビッグベン前、エアーズロック、
次々と明かりが消えていく黄昏時の東京都庁……

おお!なんというかこれは、
劇場版聖闘士星矢の定番のような世界崩壊の予感!
やばい、こういうのはわくわくしてしまうぞ。

時が止まって明かりが消えるのはなぜか、というと
発電機構あたりの管理ができなくなったためだということにしておこう。

そしてナレーションは我らがエウロパさん。ホント便利なキャラ。
「世界の、刻は失われました。
 偉大なるサターン様のおちからによって。
 それなのに、ここにまだ刃向かう者が居るとは」
というところで視点はパラス城最上階にて
エウロパ&ミラーVS氷河&瞬の構図に。

エウロパ「しぶとい聖闘士ども……」
ミラー「お前達から奪う者は、もはや時や聖衣だけじゃあ気が済まないんだよぉ、
 命も付けてもらわないとねえ」
エウロパ「もちろん、パラスとアテナ、二人の女神の命も」
この二人、本当に二人で一人のような気がしてならない。
セリフも基本的に一繋がりで、
ミラーはエウロパの一部ではないかと思うことが多々ある。


パラスを支えてるタイタンとアテナを支えてるハービンジャーだが
さすがにタイタンはこの言葉に反応する。
「貴様ら……っ!」
「言って、くれるじゃねえか……」
ハービンジャーさんのセリフは息苦しさを感じさせ、
この二人は既に戦える状態にないのは明白なので

氷河「そんなことは俺たちが許さない」
瞬「世界の失われた時は、僕達が取り戻す!
 そして、必ずサターンを倒す!」
神聖闘士二人に出張って貰うしかないという状況。


そして、バーンパレスみたいな形で中空に浮くサターン城に
既に到着して駆けている星矢たち一行。
天空に向かって全て開けていて、屋根というものがない。
中央の通りを真っ直ぐに駆けていく。

「感じる……巨大な小宇宙を……
 行くぞ!」
星矢の掛け声の下、最後の距離を詰める。
周囲はギリシャ建築でよくある闘技場っぽい作りだが、
アモールの双魚宮にあったのと同じくらい、高さは低め。

サターンの玉座の背後に、はっきりと巨大な土星が浮かんでいる。
「フッ……やっときたか」
待ちかねていたぞというように、
刻の神は時に飽いたように呟く。
やはり、どうにもサターンの動きには何かひっかかる。
彼が主体的に人間を滅ぼそうとするよりは、
何かを為そうとするか、何かを潰そうとするか、
別の目的を持って動いているような……

そして、刻の神が待った時が訪れる。
大広間に雁首を揃えた戦士達。
「昴……」
かつて倒すべきと追いかけていた男、光牙が、サターンのかつての名を呼ぶ。
その呼び名をあざけるように、あるいは満足するように微笑んで、

ここでタイトル。
「髪を超えろ!星矢の小宇宙!」
……何度も神を超えてきた男ですし。




対峙する一同の脳裏に、あるいはその小宇宙に、
サターンの面影に、昴の顔が重なるが、
「惑わされるな……! ヤツはもう、昴ではない、サターンだ!」
星矢の掛け声を肯定するかのように、サターンはほくそ笑む。
大人になった姿ではあるものの、
その笑みには威厳とか誇りではなく、
どこか、子供じみた気配が感じられてならない。
時が止まった世界で、ようやく楽しいものが来たとでもいうように。

その威圧感、あるいはその違和感に耐えきれず、
光牙たち六人は一斉に昴に向かって飛び込んでいく。
六色の虹のごとき軌跡を描いて。
「待て!早まるな!」
星矢の制止は一瞬遅かった。

その姿を見とがめたサターンは一瞬瞑目し、
「忌むべき力……オメガ……!」
忌むべきというのは、神々にとっては人間が手にしてはならないということなのか、
それとも、マクロ小宇宙という存在そのものが、
今のサターンにとっては見たくもないものなのか。

そう、考えてみれば、サターンを「時の狭間」に幽閉したのは何者なのか。
それは、マクロ小宇宙を発動させた、クロノス、あるいはゼウスたちではなかったのか?



まず光牙が空中からサターンへジャンプ大パンチを叩き込もうとするが、
その直前で拳が止められる。
威力はサターンの横を吹き抜けて玉座の背もたれを粉々に破壊したのに、
まるでサターンは微動だにしない。
次の一瞬には、サターンの小宇宙が電撃のように光牙を捉えて苛む。
次にエデンが飛び込んで拳を繰り出すが同じこと。
さらに四人が同時にかかってもまたも同じ。
空中でサターンの小宇宙に苛まれたまま、身動き一つままならない。

「その程度の力で、神に刃を向けるとは。
 余が直々に消し去ってくれよう」
そう言うと、サターンは悠然と立ち上がり小宇宙を燃え上がらせる。
「させるか!!」
星矢が空中からではなく、玉座前の闘技場を一瞬で駆け抜けて
真っ正面から最後は矢のような姿となってサターンに拳を叩きこうもとする。

「星矢!」
光牙は辛うじてこれに目を向ける余裕があった。

だが、星矢の拳もまたサターンの眼前で止まる。
星矢にとってはある意味ではアベル戦以来慣れた光景。
「黄金聖闘士といえど、この程度」
いや、そこは黄金聖闘士で纏めるよりも星矢を別格にすべきところなんだが、
やはりサターンの聖闘士界隈の調査はまるっきり穴だらけであることがわかる。
つーか、調査する気あったのか、この人。じゃなかったこの神。

ともあれ、星矢を錐揉み状態で吹っ飛ばした後、
光牙たち六人も全て闘技場の石畳に車田落ちさせられる。


エデン「これが……サターンの力……」
ユナ「指一本……触れることさえできないなんて……」
龍峰「とてつもなく、大きい小宇宙……」
蒼摩「星矢まで、一撃で……」


「弱い……余りにも弱すぎる」
不満たらたらのサターン様。
この戦いを楽しみにしていた感がありありである。
「これが、宇宙を創造したと言われるオメガの力なのか。
刻の神にとって宇宙創造というのを何を以て指しているのかは
なお不明。
宇宙創造に対して時を止めようとする彼の狙いは
そもそも時の開始を忌むべきものとしている?

白目を剥いていた光牙だが、
「まだだ……まだ、戦える……」
意識を取り戻して立ち上がる。

「ほう?やはり立ち上がったか」
やはり、という言葉に昴の片鱗が見える。
「俺と共に戦い……おまえは、わかっているはずだ。
 俺たちは絶対に諦めねえ!!」
絶叫とともに再び、今度は星矢のように地上戦から攻撃を仕掛ける。
「そう、人間は幾度でも立ち上がる……」
「わかっているなら……!
 目をさましやがれ!昴!」
再び光牙の拳はサターンの眼前で小宇宙に阻まれる。

「そして、同じ過ちを幾度も繰り返す……!」
だが、そのサターンの顔は期待通りの展開に愉悦さえ見える。
止まったはずの光牙が、小宇宙を燃え上がらせて
徐々にサターンに肉薄していく。
その光牙の姿が、サターンの刻衣の土星円盤を意匠化した盤面に反射して映っている演出は好き。

すると、傍らに立ててあった鎌型真永劫輪舞が
サターンの元に飛来して光牙を遮り叩き伏せる。

「聖剣が……増大するオメガの力に反応したのか」
サターンの意志ではなく、聖剣の意志であるらしい。

「トドメを差せと言うのだな」
この発言はあまりに妙だ。
まるで、聖剣が光牙のことをよく知っていて、
これが危険だと告げるかのように。
聖剣がサターンに対して積極的に主張している。
これは、サターンが四天王に聖剣を預けた理由だろうか。
聖剣は少なくとも、交戦した光牙たちのことをよく知っているのでは?

「忌むべきオメガの力に、
 再び立ち上がってこられぬように、トドメを差せと」
ついに真永劫輪舞を手にするサターンの前で光牙がなんとか立ち上がろうとするが
「この聖剣の力で」
刈り取るように、大きく聖剣を振りかぶる。




というところで地上のパラス城最上階に視線が戻る。

「人間ごときが、覚醒したサターン様に敵うわけがない」
おや、ミラーさんはまるで状況を見てきたかのように。
……真永劫輪舞と繋がってるのでは?

氷河「それはどうかな?」
「ああ!?頭に来るよ!お前らは!!」
ミラーさんマジチンピラ。沸点低い。

氷河の背後にこれ見よがしに回るが、氷河はしっかり視線でミラーを捉えてる。
ミラー「ま、サターン様に倒される仲間の死を悼む必要は無いけどねえ」
背後を取ったことで自尊心を満足したのか、ちょっと落ち着くミラーさん。
悠然と後ろを振り返る氷河が軽く拳を振るうところ、
ミラーさんは躱して再び背後に。

「だって、お前が先に死ぬから」
これを二度ほど繰り返した後、ミラーさんが反撃に転じる。
氷河のボディをフック気味の左拳で捉えて軽く氷河の身体が浮く。

「速さだけは……、一人前のようだな、ミラー!」
だがその交錯で、氷河はきっちりと自分もミラーのボディに拳を叩き込んでいた。
速さだけは、という言葉に、耐久力不足らしい気配がミラーさんの歪む表情から伺える。
「おまえもねえ……!キグナス氷河!」

仕切り直しとばかりに両者が一旦背後に飛び退る。


一方、展開されるアンドロメダチェーンが幾重にも飛び交う空間を
「あなたたち、本気で、刻の神サターン様を、倒せると、考えてません?」
喋りながらことごとくかわすエウロパさん。
これってかつて邪武を吹っ飛ばしたアンドロメダ星雲の展開だろうが、
全て躱す辺り、エウロパさんの方がミラーより上手な感じ。

「まあ彼女たちのように弱い神なら、かのうかもしれませんが」
見慣れたチャクラムを手にして攻勢に転じるエウロパさん。
おや、ここに来てもこの武器のままか。
「彼女たちの命を絶てば、私も神殺しの、仲間入りぃ」


「俺たちの力は互角か……!」
ミラーさんと交錯しながら、相手の力量を図る氷河。

「このままでは、決着が付かない……!」
無数に繰り出されるチャクラムをチェーンで止める瞬は
相性こそ悪くないはずだが、押し切れない感じ。


「なにをぼやっとしているんです?
 ディストラクティブ・スラッシュ!!」
チャクラムを二重ばかり環状展開して瞬に連続攻撃……ではなく増幅させた小宇宙を叩き込むエウロパさん。

「アルティメット・リジェクション!!」
ミラーさんは小宇宙を込めた左掌を氷河の胸部に叩き込む。

瞬と氷河の二人とも、立て続けに床に転がる。

「一瞬の油断が命取り。
 伝説の聖闘士たちもこの程度とはね」
「まったく、拍子抜けだよ……」

追い込まれた感のあるタイタンとハービンジャーさん。





再びサターン城。
いままさに振り下ろさんとする真永劫輪舞。
「消えるがよい、オメガの力とともに!」
ユナ「光牙!」
エデン「ペガサス!」
仲間達全員が身動きが取れず、終わったかと思ったその瞬間。
「アトミック・スターアロー!!」
闘技場の入り口付近で立ち上がっていた星矢が矢をつがえて放った!

振り下ろされた真永劫輪舞と射手座の矢が激突して、
光牙は衝撃波で吹っ飛ばされるが結果としては助かった。


「サターンよ、お前の相手はこの俺だ」
光牙から注意を逸らさせるためか、悠然とあるきながら挑発する星矢。

「再び立ち上がったか。
 サジタリアスの星矢」
こちらもあまり驚いていないサターン様。
やはりどこか、待ち望んでいるような気配を感じる。

「待てよ……、アイツは、俺がブッ倒すんだ!」
倒れていても戦意を失っていない光牙。

「お前では無理だ
 お前達全員でも……」
「何!」
「お前の心が拳を鈍らせている……」
「心だと!?」
「お前はサターンの中に、昴を見ている」
星矢の指摘がどうしようもなく図星だったらしく光牙は顔を歪める。
「ヤツはサターン!アテナの敵だ!
 それ以外の、何者でもねえさ!
 このオメガの小宇宙で、ヤツを倒してやるぜ!」
己を騙すかのように叫ぶが、無理がミエミエである。

「だから無理なのだ。
 オメガの力そのものが、昴を救おうとした心から生まれたもの」
だろうなあ。理屈から考えると光牙のオメガでは
昴=サターンである敵に対しては事実上役に立たないことになる。
ハイペリオン戦では無理やり感があった
昴のためにオメガ発動という展開は、
ここで絶望感を出すためにどうしても必要な手だったようだ。
……でももう少しあそこは何とかして欲しかったけどさ。


「究極の中の究極の小宇宙、オメガ……」
星矢は光牙に絶望的な事実を突きつけつつ、
己はサターンとの間を詰めていく。
「そのオメガを覚醒させるほど、昴への思いは深かった。
 簡単には捨てきれない。
 そうだろうが!光牙!」
…………うん、第二期を通じてそれが納得出来る展開だったら
今回も納得できたんだがなあ。
まあ、そこは棚上げにしておこう。
過去のいきさつをとりあえず棚上げにしてしまえば、
この展開は昴のサターン覚醒以上に絶望感全開で
ラスト前の追い込まれっぷりとしては見事な展開なのだ。
自らが手にしたはずの最大の武器が
積み重ねたものゆえにまったく役に立たなくなる、
という構図は実にえげつなくて素晴らしい。

「俺はもう躊躇わない……
 俺はもう、何も迷わない……」
ここで星矢の脳裏をよぎるのは、もちろん、
パラスを殺せなかった悔恨のシーン。
「今度こそ、沙織さんを、世界を、救ってみせる……!」
星矢の気迫と覚悟に圧倒される光牙たちは星矢の後を追うことが出来ない。


「かよわき人間が、か?」
悠然と会話を聞いていたサターン。
「誰であろうと、神である余を倒すことなど出来ぬ」
この言葉は、真紅の少年伝説の
『いや、神そのものなのだ!誰も私に指一本触れることなど出来ぬ!』
というアベルのセリフを彷彿とさせる。
……んだけど、どうしてもサターンはアベルに比べて格落ち感が否めない。
まるっきり、アベルに及ばないという気がする。
それも今のセリフが、幾多の神々と対決してきた星矢を相手に言ってるんだから、物知らずにも程があるというものだ。
神殺しを認識していたエウロパさんに比べて、
昴として活動していたサターンの方が、まるっきり情報を集めていないというこの現実。

「そうかな?」
神が相手を慣れている星矢は悠然と語る。



というところでCM。


聞き慣れた小宇宙が高まる音と共に、
星矢が繰り出した拳がサターンに迫る。
星矢の小宇宙の高まりとともに、サターンが展開していた障壁のような小宇宙を破りさらに近づいていく。

龍峰「小宇宙を打ち破った!」

眼前に迫った星矢の拳に対して、真永劫輪舞の柄を横にして待ち受けるサターン。
「これが幾多の神々に刃向かいし聖闘士、星矢の力か」
あれ?知ってた?
というか知っててあの言動はないわー。

「だが」
真永劫輪舞を軽く振るい、星矢を弾き飛ばす。
「所詮は人間」
これもアベルやポセイドン、ハーデスに比べると、
天に唾する反射がない分、格落ちする感じがする。
エリスと同格くらい?

今の一撃を食らったせいか、星矢の纏う射手座の聖衣のマスクが粉々に砕け落ちる。
「まだだ……サターン!」
再び飛びかかる星矢を、今度は速やかに迎撃した一撃で
星矢の片翼が破壊される。

「星矢!」
「くるんじゃない……!
 ヤツの相手は、俺だと、言っただろうが!!」
次の激突では星矢の右肩のパーツまでも破壊されて星矢が転がるが、それで諦める星矢ではない。

「こんなところで、ぶっ倒れて……たまるか……!」
流星拳を叩き込むが、真永劫輪舞が繰り出した小宇宙に飲み込まれて吹き飛ばされ、今度は残りの左翼も破壊されて転がる。


それでも立ち上がり、サターンに向かって構え、
後輩達にはその背を見せる。
「星矢!!」




パラス城に話が戻る。
「さてと。神殺し♪神殺し♪」
楽しそうな口調でチャクラムを二つ取り出したエウロパさんのターゲットはもちろん二人の女神。
身動きすらままならぬタイタンとハービンジャーさんだが
女神を守る為に立ち上がり、二神を背にして立ちはだかる。

悠然と近づこうとしたエウロパさんだが、
「これは……」
気がつけば、己の足元が幾重もの円を巻くものに囲まれている。
これはもちろん、
「ネビュラストリーム……」
立ち上がった瞬がその名を告げる。
「おやおや。私はあなたの小宇宙の渦の中♪
 動けない、というわけですか」
下半身を取り巻く気流を気にしないとばかりに
両腕を軽く持ち上げてチャクラムを構える。
「もう、やめてくれ……これ以上、無駄な血は流したくはない」
この期に及んでも、ストームを使うことに躊躇のある瞬であるが。

「おいおいエウロパ、しっかりしろよぉ。
 じゃ、アテナとパラスはボクが戴くかあ」
と気楽に構えていたミラーさんだけど……
「足が……凍結している」
うむ、期待通りの展開である。

「絶対零度、マイナス273度の凍気が、
 お前の動きを封じた!」
シベリア仕込みの足封じ技だ!
……ではないのがほんのすこーしだけ残念。
「なにぃ!?まさかこいつを狙って、
 お前はあえて攻撃を食らったというのか!?」
「自慢のスピードも、これでは出まい!」
おおお!これぞ聖闘士星矢という対決っぷり。
スピードだけは、という先のセリフを踏まえて
見事に相手の長所を封じた氷河の戦闘巧者ぷりが光る。

「だが、アルティメット・リジェクションを食らって、
 何故無事でいられる!?
 確かにてごたえはあった!」
足が動かないため、腰から上だけで半ば振り返ろうとするミラーさん。
「おまえが技を放ったとき、
 既に、その拳は凍っていた!」
「何!?」
おお!ミラーさんの両拳に凍気が走ったかと思うと、一瞬で粉雪のごとく、粉々に砕け散った。
「クロノテクターが!?」
もうなんというか、この辺りのやり取りが、古き良き正しい聖闘士星矢ですよ!!
お前はあのとき既に、というこの戦闘のお約束ぶり。
間違い無くこの戦いは聖闘士星矢の戦いである!!
いやっほおおおお!


「おまえは聖衣を砕くことに喜びを見出していたようだが、
 どうだ?自分のテクターが砕けた気分は?」
そう、聖衣破壊をされたことに直接怒るのではなく、
クールにその怒りを発動させるのがキグナス氷河という男。
まさにこれこそ氷河だと言える素晴らしい意趣返しっぷりですよ。
なんというか、もうこのあたりの氷河のセリフまわしとか、
文句の付け所がない。

そして、羽ばたく白鳥。
「ダイヤモンドダストーーー!!」
既に両脚を凍らされており、両腕のテクターすらも破壊されていたミラーには為す術もなく。
「うおおおおお!?聖闘士如きに、ボクが……負けるなんてえええ!!?」
吹っ飛ばされ、全身を次々と凍結され、
「さっき、お前が言ったセリフ、そっくり返そう。
 サターンの側近がこの程度とはな。拍子抜けだぜ……!」
かっけえええええええええ!!
挑発に激怒することなく、きっちりと意趣返しするこのあたりも素晴らしいわ!

テクターを粉々に破壊されて車田落ちし、敗北確定のミラーさん。
とはいえ、氷河にもそれなりにダメージはあったようでs
その場に膝を突く。


「あらま。ミラーさん、もうお終いですか」
片割れが倒されたというのに、エウロパさんは
飄々と余裕の表情のまま。
「仕方有りませんねえ……。
 私一人で、終わらせますか」
なんというか、素敵な笑顔ですねー(棒読み)
ほんとアンタラスボスや……
「やめるんだ。エウロパ」

「うふふふ、いや、お噂どおり。
 ネビュラストリーム……、これほどまでとはねえ」
エウロパさん、ここまで情報収集力ナンバー1だっただけに
このあたりもきっちり知っていた様子。
「だが私は、引くわけにはいかないのですよ」
一瞬だけ、真面目な顔をして、両手のチャクラムを構える。


「もうすぐ、サターン様の世が実現するのです!
 こんなところでえ!!」
少なくとも、エウロパの忠誠心自体は本物であるらしい。
だからこそ、エウロパが何をしたかったのかが未だにわからない。
ともあれ、ストリームを振り切って瞬に肉薄するあたりは
さすがの一言。
だが、それをみた瞬は表情を本気にした。
「ネビュラ・ストーーーーーーーム!!」

サターン城まで吹き飛ばさんばかりの威力が
ほとんどゼロ距離でエウロパさんに炸裂。
クロノテクターをこれまた粉々に破壊されてその場に倒れる。

撃ちきった瞬も膝を突くが、

「な、何という小宇宙……
 こ、これが……ネビュラストー……ム」
大ダメージを受け、瞳孔開きかけの表情で、
自らの分析を確認するあたり、さすがというべきか。

「なんてね」
何ぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!?
クロノテクターを破壊されたばかりか
アンダースーツまでボロボロにされた
聖闘士星矢としてはもう完璧にやられている状態でありながら、
しゅたっと逃げる気満々でちょっと離れた場に立つエウロパさん、マジパナい。

「そんな……」
さすがにストームを放ったことで疲労困憊の瞬がその場にくずおれる。
「おや、力を使い果たしたようですねえ?」
裸同然、左頬が腫れて顔が歪んだままながら
ここまでもとことんエウロパさんである。
「ネビュラストームなど、想定内ですよ。
 アンドロメダ瞬……」


「さて……神殺しを……」
この状態でまだタイタンとハービンジャーさんを倒せると思っているあたりがすごい。
が、その場でぐらりと体勢が揺らいで膝を突く。
「おっと、思ったよりダメージが……私としたことが」

「でも、意識のないアテナとパラスの命を奪うことくらい……」
が、そうは問屋が卸さない。
彼の眼前に立ちはだかるは

「タイタン!?」
「よくも……パラス様を!」
怒れる鬼神きたーーーーーーーーーーーーーーー!
瀕死とは思えぬほどの恐るべき小宇宙を激怒とともに燃えさからせるタイタンが
「お、おまえ……、どこにこんな小宇宙が!?」
エウロパさんの想定を遙かに凌駕している。
「言ったはずだ!命に代えても、パラス様をお守りすると!!」

「全ての小宇宙を滾らせ、この命尽きようとも、
 お前だけは倒す!」


「ま、待て!タイタン!」
いつもの余裕もさすがに無いのか。
両手を挙げてぶんぶんと振り制止しようとするが、
「よくもパラス様をたぶらかしてくれたな……エウロパ!!」
聞く耳持つはずもない。
……パラスをたぶらかしたかどうか、というツッコミはあるが。

「そうだ……!いいこと思いついた!
 パラス……、いや、パラス様に世界の半分を分け与えよう!」
見苦しい命乞いきたああああああああああ!!(大爆笑)
しかもその内容が世界の半分とかエウロパさん、
最後の最後まで笑わせてくれるぜ!
「そう……私からサターン様に進言しよう……
 た、タイタン……」
「貴様の戯れごと、聞き飽きたわ……!!
 ギガンティック・プラネット・エンド!!」
一片の容赦も躊躇もない超必殺技がきたあああああああ!!
エウロパさんの眼前で、絶望そのもののような
タイタンの小宇宙が巨大惑星となって叩きつけられる。

「こんなところで……!!
 私が……!この私が……!!
 はうあああああああああああ!!!」
もはや跡形も残らず、エウロパさんはプラネットに飲み込まれて消えた。
……消えた、よね?よね?



全力以上を使い果たしたタイタンはその場にがっくりと膝を突く。
「お、おい……」
ハービンジャーさんが思わず後ろから声を掛けるが
タイタンさんは達成感のある満足げな顔でかすかに微笑む。
「力を使い果たした……
 あとは、頼むぞ、星矢……
 オメガの聖闘士たちよ……!」
そうして、かつて主君と仰いだ神に挑む、
自らが認めた男の戦いを見つめるかのように、
サターン城を見上げる。




その男は、今、サターンを前に、幾たび目かわからぬほどながら、
またも立ち上がっていた。

ユナ「もうやめて……もう……」

「仲間だからこそ、戦わなければならないんだ……
 沙織さんだって……人々のために、
 愛する者と戦った……
 愛しているからこそ、大切なものだからこそ、
 この手で終わらせなければならない時があるんだ……」

光牙「大切なもの、だからこそ……」

「道を誤った時には、倒さなければ…… 
 大切なものだからこそ、止めてやらねば……
 倒した後に、大きな悲しみを背負うことにはなる……
 けどな……、それが、聖闘士の定め、
 聖闘士の戦いだ……!!
この言葉には、かなり大きな意味があるように思う。
というのは、この言葉に該当するような戦いを、
星矢が戦った記憶が「我々には」無いからだ。
だが、星矢がこうしなければならなかった戦いが、
かつてあったということになる。
星矢がそうしてまで戦った相手とは、
考えられる一人は、沙織に忠誠を誓いながら遠ざかることになった邪武。
そしてもう一人は、星矢の影としていたはずながら、シャイナと違って姿を見せず、いや、シャイナも名前すら言及することが無くなってしまった、あの師ではないのか?



光牙「聖闘士の、戦い……」

そうして、星矢は自らの纏う聖衣に静かに手をやる。
「アイオロス……、貴方から受け継いだ、サジタリアスの聖衣……
 こんなぼろぼろにしちまって、すまない……」

だが、今彼が纏う聖衣は、詫びるまでもないとばかりにか、
星矢の小宇宙に呼応して黄金の輝きを放って燃えさかる。

「サジタリアスの聖衣よ……!
 一撃でいい、
 あと一撃を放つまで、力を貸してくれ!!」
愚直にして、正道。
全身全霊を込めた拳を振りかぶりながら星矢が駆ける。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

それを、サターンは望むかのように待ち受ける。
「来る……!
 それが聖闘士の定めというのならば、
 消えるがいい!!」
振るわれた真永劫輪舞が、星矢の纏う聖衣をさらに砕いて吹き飛ばさんとするが、

「死ぬがいい!儚きものよ!!」
振りかぶったサターンへ、
聖衣のほとんどを破壊されながら、星矢はなおも突撃する。

光牙「星矢!!」

激突するまばゆい光。
何が起こったのか……
光が晴れたとき、真永劫輪舞は振り切られておらず……

「何ぃ……!!?」
星矢が手にした、黄金の短剣によって、止められていた!!

龍峰「神をも命を絶つという、黄金の短剣……!」

真永劫輪舞の鎌先が、スレスレのところで星矢の身体に届く前に止まっている。

「この時を、待っていたぜ……!」
エデン「はじめから、これを狙っていた……!?」
光牙「何ぃ……!?」


真永劫輪舞の攻撃から最後まで星矢の命を守り抜いた
サジタリアスの聖衣のブレストパーツがついに砕け散り、
星矢はあの見慣れたシャツとジーンズの姿で
幾度目かわからない神々と対峙する。
「ありがとうよ……サジタリアスの聖衣……
 おかげで放てる……この一撃が!!」
黄金の短剣とともに、真永劫輪舞を押し込んでいく星矢。

「サターンよ……!
 宇宙の最果てへと、還るがいい!!!」
星矢の小宇宙が黄金の短剣とともに輝き、
驚愕に呆然となるサターンの身体に突き刺さる……!!



という、とんでもないところで、つづく。



次回予告
が、これで終わるサターンではないわな……
地上では邪武たちまで時間が停止する。
立ち上っていく流星は……八つ?

「最後の闘い!ゆけ、Ωの聖闘士!」
サターン城ごと粉々になる宇宙空間での戦いになりそうな……





さて。
最後までラスボスかと思われたエウロパさんも
タイタンの手によるというある意味見事な終わりであった。
ほんと、最後の最後までこの人が全てやらかしていたような
気がしないでもないんだけどなあ。

ミラーVS氷河の対決の聖闘士星矢らしさは文句無し。
これには予想外に大満足だった。

星矢VSサターンの対決は、次回予告を見ると
クロノテクターは破壊できず、真永劫輪舞くらいは破壊できたのかな?

一方で、真永劫輪舞が意識を見せたのはΩ第二期を通じての
なかなか興味深い現象。
四天王に預けられていた理由にも繋がると思うのだけど、
解説役のエウロパさんが死んでしまったので
みんなで勝手に妄想するしかないかもしれない。

あと、やはり星矢のセリフがものすごく気に掛かる。
邪武との決別か、魔鈴さんとの対決か。
後者じゃないかなあ……。
Ωでの魔鈴さんの「いなかったことになっている」状態が異様過ぎるので、
NDでどんな決着が付くのか、関係者には明らかになっていたんじゃないかと思う。


posted by 夢織時代 at 02:03| Comment(27) | TrackBack(0) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月10日

聖闘士星矢Ω第94話感想

聖闘士星矢Ω第94話感想

一応、まとめまで書き上がった。しかし……めちゃくちゃ嬉しい反面、
評価にすごく悩む回でもあった。

声の出演

光牙   緑川光
サターン 水島裕

と、こっちは少ない。

シャイナ  小山茉美
市     小野坂昌也
檄     梁田清之
那智    島田敏
蛮     稲田徹
翔     中原茂
潮     大塚芳忠
大地    中村大樹
羅喜    前田愛
邪武    草尾毅
エマ    藤井ゆきよ

こっちが本命。もうこの陣容だけで私に感涙せよと言っている。

エーギル   真殿光昭
ミラー    うえだゆうじ
エウロパ   二叉一成
サターン兵長 松本大督
サターン兵  根本幸多
       井野優
       前田邦彦
       阿座上洋平

松本氏ら、
長くここまでパラサイト兵たちを支えてこられた方々も
サターン兵へと変身。

脚本  伊藤イツキ
    小山真

今回も二人がかり。さあ、期待しますぞ!


やばい、提供だけで小宇宙が燃え上がりそうだ。


上空のサターン城へ飛翔している光牙たち。
光牙のモノローグが
(聖闘士は希望の闘士、最後まで戦い抜くぞ!)


さて、佳境に来ているらしい前線基地では。
壁がぶち抜かれた横を那智が最前線で立っており、
その横の壁の名残の陰に蛮が控えている。
城門跡らしいところを挟んで反対側の壁の陰には
エマさんが座っていて、うむ、前回のご指摘に従い確認すると
なるほど確かに、右肩と腰はケリー先輩の鋼鉄聖衣パーツを流用、
左レッグパーツと左アームパーツはオレンジ色の、多分別の鋼鉄聖闘士のパーツを流用。
隣で座っている別の鋼鉄聖闘士も、レッグパーツは別の色だ。
この友軍のパーツを流用できるシステムは
なかなかよいドラマと演出を産んでくれたと思う。


疲れ果てたように座しながら、エマさんの瞳は
上空へと飛んでいく七つの光を追っている。
「あの輝きは、人類に残された最後の希望……
 負けられない。私たちも……!」

というところでタイトル。

「希望の闘士!聖闘士の絆!」




武器を持って迫ってきた三体のパラサイト兵をそれぞれ一撃ずつで倒すシャイナさん。
だが、仮面の右三分の一は破壊されており、
全身には打撲傷が無数に刻まれている。

「シャイナの姉御、大丈夫ざんすかぁ?」
と手を伸ばしたのは、こちらも聖衣に汚れこそあれまだ元気そうな市さん。

「はっ、大きなお世話だよ」
弱気になっていた自分に気づいたのか、すぐに立ち上がって答える。「私たちでこの地上を守らなきゃ、あいつらに顔向け出来ないからね」

横には檄の手当てをしている羅喜。
「みんな、行ってしまったのだ……」
「そうだ、な……」
檄先生は弟子達の突入に何を思う。

「光牙……みんな……どうか……」
市さんとともに祈るように天を見上げるシャイナさんである。



場面転換して。

「ふっははははは!無理無理!もう何をやっても無駄なんだよ!」
とミラーさんの高笑い。
「君たちだって気づいているんだろう?
 この城を取り巻く現状を」
と、氷河と瞬、そしてその後ろで沙織とパラスを守っているハービンジャー、タイタンに対峙しながら、
 エウロパさんともども余裕の表情。

エウロパさんは爪に火を灯し……じゃなかった、
指先に炎を灯し、その炎に城外の様子を映し出す。
ざっざっざと歩くサターン兵たちの姿が。
「城の周りには、新たにサターン様の優秀なしもべたちが集結してきています。
 これにて、War is Over。戦いは、もう終わりです」
と、慇懃無礼に一礼。このあたりはかわっていない。






さて、那智と蛮、エマたちに鋼鉄聖闘士たちが守る城門跡前に
サターン兵たちが大集結。
いやだから彼らは人間なのか土星人あたりなのか、なんなのだろう。
兵達は盾を持っている者も多く、スピアを手にして、
背中にはトンボの羽根のように展開される六方向の飾りが。

突撃してくるサターン兵たちにスチールボルトアローで応戦する鋼鉄聖闘士たち。
これに対して、弓兵も控えているサターン兵。
充実してるのう。


「サターン直属の兵たちだと!?
 まさか、この期に及んでこんな連中が現れるとは……!」
と毒づく蛮。
あれ?ということはこの状況を蛮はどこからか
情報を得ているということになる。
というよりも、先ほどのエウロパさんのセリフを聞いているとしか思えないセリフは、
おそらく、瞬が鋼鉄聖衣を通じて連絡できる通信機を所有しているのではなかろうか。

「パラサイト兵たちとはレベルが違うみたいだな……!」
応戦した感触を告げる那智の顔にも余裕はない。



指揮する兵長。
「ゆけえ!我らが神サターン様がお姿を現された以上、
 いかなる抵抗も無意味!
 アテナとパラス!二人の女神を抹殺すれば、この戦いは終わるのだ!!」
という掛け声の下で突っ込んで行く兵達。
あ、ここって城門前というか、光牙がぶち破った刻の門の真ん前なんだ。
ということは、前線基地は既に突破されており、
アテナを守るために、今度は敵居城まで退却してきたということになる。
むう、ややこしい構図。

エマさんの左右にいる同僚が倒され、
エマさんのアームパーツも限界が近い。
「もう駄目だあ……」
と諦めて尻餅をついている別の同僚を尻目に、
エマさんは倒されたばかりの同僚のアームパーツを奪うように装着する。
そしてそのまま、壁を乗り越えてきたサターン兵を、奪ったばかりのパーツからのスチールボルトアローで撃墜。
強いぜ、エマさん。
一撃で胴体を撃ち抜かれて、尻餅ついてた鋼鉄聖闘士の上に落ちてくるサターン兵。
呆然と受け止める童顔の同僚に対して
「戦いなさい!」
と叱咤激励するエマさんがめちゃ格好いいです。
「エマ……」
「この地上のために!そして、貴方の愛する人たちのために!
 私は最後まで、自分に出来ることを果たしてみせる!!」
言ってる間に次々とサターン兵を打ち倒していくエマさん。
「わかったよ……ううりゃああああ!」
感化された鋼鉄聖闘士も立ち直って射撃に付く。



「見たか、今の」
「ああ、泣き虫エマが立派になって」
と那智と蛮のティーチャーズが顔を見合わせて笑う。
鋼鉄聖闘士養成所では当然この二人が指導していたわけで、
これだけでいろんな状況を説明してくれるよいセリフ。
だけでなく、二人とエマとの過去まで概ね推測がつくという。


さて、射撃の応酬が続いていたが、
不意にサターン兵が攻撃をやめて中央から陣を分けていく。

「どうしたんだ……?連中、引いていくぞ……!?」
いぶかる那智。


「いつまで無駄なあがきを。
 神々の戦いにもはやお前達に出る幕はないのだ」
サターン兵が別れた戦場の中央に、
禍々しくも燃え上がる小宇宙が立ち上る。

「なんだ、あの巨大な小宇宙は……?」
蛮が見据えるその前で、姿が露わになっていく。
「ま、まさか……そんな!?」
その姿に覚えがある那智が驚愕する。


「超爆殺……ファントム・バースト!!」
人影が放った小宇宙の衝撃によって、ティーチャーズ二人が一撃で吹っ飛ばされる。
「教官!!」
驚いたエマが声をあげる。ああ、教官、って呼ぶあたりがいいわわ。

そして現れたのは、次回予告だけで巷の噂の的になった……

「おまえは……」
「まさか……」
体勢を立て直して立ち上がる蛮と那智だが、
目の前にいる姿が変わるわけではない。
「エーギル!!」
上半身のクロノテクターは全て失われてアンダースーツだけとなり、
辛うじて右腕のガントレットだけを残した姿で、
そのガントレットすらヒビだらけである。
だが、その姿がなおさら、意地と誇りで駆けつけた感が出ていて、
なんかえらく好感度高いぞ。

「いかにも。我が名はエーギル!」
ガントレットを大きく振り、その顔を露わにするようにして名乗り挙げる。
「二級パラサイトにしてガントレット使い。
 ファントムアームのエーギル!!」

「そんな、馬鹿な!!」
生きているはずがないとばかりに叫ぶ蛮である。
「教官!一体何者なんですか……!?」

「あの男は……」
絶句する蛮を引き継いで
「かつて天秤座の玄武をも破った、二級パラサイト……
 だが、光牙達が倒したはずなのに……」
那智が説明する。
玄武に聖剣を突き立てたシーンと、光牙に倒されたシーンが
回想として入る。
このときにガントレットも宝玉らしい部分は破壊されており、
 吹っ飛ばされているところが描かれている。

「じゃあ、なぜここに……」

「私が青銅聖闘士如きの攻撃で命を落とすはずがなかろう」
確かに、玄武に倒されたのではなく、光牙に倒されているので、
このセリフは間違ってない。
というか、その光牙に対する意識でこの男は生き延びてきた感がある。
そして、そのガントレットの手の中には、小さな、小さな破片が。
それは、彼が預かっておきながら破損させてしまった、
天地崩滅斬の欠片!
って、先週頂いたレスが思いっきり的中ですな。


「だが、私がこの戦場に来るのを待たずに、
 ハイペリオン様は逝ってしまわれたのだな……」
寂しそうな顔でうなだれるエーギルさん。
主君から預かったものを返さんがために、この男は
満身創痍の身体でここまで帰ってきたというのか。

いやもうほんと、第二期を通じて、ハイペリオン様ほど
見事に高められた男もそうそうおるまいよ。
エーギルさんには心から慕われていたのだと思うと、
部下に対する面倒見の良さとか、あれこれと思い出されてならない。
……そのハイペリオン様を葬ったサターンの罪は重いぞ。

「さすれば……この手であの御方の望みどおり、
 我らが神、サターン様の世を作る!」
決心するように天地崩滅斬の欠片を握り締めて
聖闘士たちに突きつけるエーギルさん。
ってことはこの人は元々、パラスのためではなく、
サターン直属であることを認識して活動していたと。
うむ、二級以上は最初から知っていたということかな?
やはり、三級から二級には最初からあがれなかったのかなあ。
誰とは言わないが某氏が可哀相に。


そして輝きの中で再生されるエーギルさんのクロノテクター。
いやさ、見ればガントレットは、
ハイペリオンのデストラクションテクターと同色で
同様の輝きを放っている!
「見よ!我が武器はハイペリオン様の残された聖剣の力により至高のものとなった!」

「その名も、ファントムアーム・オブ・ハイペリオン!!」
どんだけハイペリオン様は慕われていたんですか。
その高らかに告げられた名前とともに、
来ました、ファントムアームの重力荷重が
周辺全域を恐るべき規模で覆い尽くす。

「みんな!耐えるんだ!!!」
「あらん限りの小宇宙を振り絞れえ!!」
蛮と那智の号令以下、なんとかこらえようとするが
一同、身動きが取れなくなる。
一人、また一人と膝を突き、付いてしまえばもうその重みで立ち上がれなくなる。

「ハイペリオン様……、奴等の絶望の叫びこそ、
 貴方様へのレクイエム……!」
今回だけ聞いてるとホントに素晴らしいのだ。
これで、ハイペリオン様の最期があんなだと知っていなければ!!!

「あれは……!?」
エマさんが見つめる先に、ファントムアームオブハイペリオンに
何らかの力が集まっているような……

「まだまだ、希望を捨てるな……!
 希望は、最後まで諦めぬ者の所にやってくるのだ!」
那智と蛮のティーチャーズはさすがにまだ膝を突かずに堪えている。
いや、戦闘意欲を失わずに、エーギルを見据える。

「希望だと?そんなもの、この私が全て叩き潰してくれる」


「天地崩滅・グレート・デストラクション!!」
上を向いていたファントムアームオブハイペリオンを那智たちへと向けて、
重力場を展開しながらさらに止めのように天地崩滅斬さながらの小宇宙を叩きつけんとする。
強すぎだろをい。

絶体絶命のピンチ、というところで、
那智たちの前に、不意に赤い影が降り立ち、
アームに込められていたエネルギー吸収装置を全開にする!!
きたああああああああああああああああああ!!!
「コスモキャンセラー!!」
恐るべきにさらに恐るべき。
あの天地崩滅斬の欠片の威力が、全てそのアームパーツに吸い込まれた!!

「なんだと!?」
驚愕するエーギルさんへ向かって、
上空から飛来した二つの影!
青い影の蹴りと、黄色い影の拳が繰り出され、エーギルさんはこれをファントムアームオブハイペリオンで受け止める。

この交錯でさしものエーギルさんも集中がとぎれ、
重力場が解かれて那智たちは動けるようになる。


不本意な表情で、闖入者を見据えるエーギルさん。
「来てくれたのか!」
喜びを満面に浮かべた蛮ティーチャー。

「おまえたち、何者だ……!」
三人揃ってエーギルさんの前に立ちはだかるその姿はもちろん、

「フッ、名乗るほどの者じゃないが……
 スカイクロスの翔!!」
「マリンクロスの潮!!」
「ランドクロスの大地!!」

『我ら、オリジナル鋼鉄聖闘士!!!!』
いいやっほおおおおおおおおおおおおお!!
ここに来てこの三人がそろい踏み!
次回予告でわかっていてもなお、嬉しくて仕方がない。

「オリジナル鋼鉄聖闘士……?」
と言う反応からみて、エマさんは初代のことを知らない様子。

「フッ、間に合ってよかったぜ」
ニヒルに瞳だけで振りかえる翔だが、その左腕からは
黒煙が昇っている。
「スチールクロスが……!」
驚くエマだが、
「フッ、受け止めた小宇宙が巨大すぎたか」
これくらいは想定の範囲内だという様子の翔。

「よう、まさかくたばるんじゃないだろうな。
 ここが勝負の分かれ目だぞ」
と一同を叱咤する潮。

「ここで倒れたら、わざわざ俺たちが戦場に来た意味が無くなっちまうからな」
と、意味深なことを言う大地。
ん?麻森博士の命令が明かされるか?

「さあ。最後の悪あがきといこうぜ!」
号令を掛ける翔とともにポーズをつけるこのシーンが、
敵城たる刻の門の前に立ちはだかり、アテナとパラスを守る構図になっているのが、色々な意味で感慨深いシーン。



「フン、人間は滅ぶべき下らん生き物だと、
 ハイペリオン様は常々仰っていた……
 ろくな力も持たぬくせに、どこまでも諦めが悪い」
見渡すと、他の鋼鉄聖闘士たちも立ち上がってきている。
「おまえたちのその生意気な目を見ていると、虫酸が走るわ!!」
ということは、二級以上は人間じゃなかったと。


「私たちを……!人間を舐めないで!!」
エーギルさんの言葉を聞きとがめたエマが、
翔たちより前にまで進み出て、エーギルさん相手に盛大な啖呵を切る。
おお、とばかりに驚いてエマさんを見つめる一同。

「フッ、勇ましい嬢ちゃんだな」
翔が満足げに笑みを見せる。
「しかし、ここは俺たちに任せな」
再び進み出た三人が、しゅたっと跳び上がる。


「たかが鋼鉄聖闘士ごときに何が出来る」
ファントムアームオブハイペリオンを構えるエーギルさんだが、
空中を幾重にもフェイントを掛けて迫る三人を捉えきれず、
まず潮のドリルキックを受け止めきれずによろめき、
直後に足元の石畳を破って地中から現れた大地の拳を食らって吹き飛ばされ、
その動きにピタリとタイミングを合わせた翔が上空から飛来し、
全体重を載せた拳をエーギルさんの顔面に叩き込んで撃ち落とす。
素晴らしい連携になんかもう、色々と感涙を禁じ得ない。

「すごい!あれがオリジナル鋼鉄聖闘士の力!」
エマさん、大喜び。

「さあいくぞ!」
と肩を組み、円陣から声を合わせた三人が、
「スチールハリケーン!」
三位一体となって嵐を巻き起こす。

「な、何……!?うああああああああああああ!!」
地面に転がっていたエーギルさんはこれを避けきれず
竜巻に巻き込まれて盛大に吹き飛ばされる。

「見たか!スチールハリケーンの力!」
「おれたちの渦は、一度飲み込んだら離しゃしないぜ!」
「宇宙の彼方までふっとばしてやらあ!」


「鋼鉄聖闘士の分際で……うあああああああ!!」
体勢を整えようとするエーギルさんだが、それすらままならない。

「勝ったわ!二級パラサイトに!」
地上で見上げるエマさんがガッツポーズ。
一同から歓声が上がる。


「俺たちの勝利だ!!」
と翔が叫ぶが、それは、あかん。
直後に、手を取り合っていた三人の手が引き離されて
竜巻が空中分解する。

「そんな!?スチールハリケーンが!?」
驚愕するエマさん。
鋼鉄聖闘士三人は盛大な車田落ちを喫するも、
エーギルさんもまた尻餅をついて身体を起こすところで
なぜスチールハリケーンが破られた?

「くそっ、がらくたどもが……!」



というところでCM。
見どころありすぎてなかなか感想が進まない。




気を取り直して立ち上がるエーギルさん。
「はっはっはっは。
 このエーギルを倒す最大のチャンスを逸したようだな」


「どうして、スチールハリケーンが……」
呆然となるエマさんだが、
「あのときと一緒だ……」
暗い表情でつぶやく蛮は事態の原因を知っている模様。


「彼らとは、過去にも戦いを共にしたことがあるが……
 幾たびか、戦線から途中で姿を消したことがあった」
思い出すように語る那智。
って、それはつまり、前テレビシリーズのことかああああ!?

そして、星矢たちが聖域へ乗り込むジェット機の前で、
何故かスタッフとともに沙織たちを見送っている
鋼鉄聖闘士三人の姿が描かれている。
そう、何故彼らはあのとき、一緒に聖域へと突入しなかったのか。
直前にレダとの一戦があったとはいえ、
これは当時からどうも突っ込まれていたっぽい。
裏事情はあれとかこれとかそういうことなのだけど……

「彼らのオリジナルスチールクロスは、おれたちのそれより
 大きな力を発揮することが出来る。
 だが、その代償も大きい」
沙織たちのジェット機を見送った直後に、
その場で倒れ伏してしまう三人の姿が、数十年の時を経て今語られる。
ええええええええええええええええええええええええええ!!!??
その場にいる麻森博士が驚いていない所を見ると、
これは予想された事態であるらしい。

那智の説明を引き継いで蛮が続ける。
「身体に係る負担が大きすぎるんだ」
「おそらく、今のスチールハリケーンは、彼らの身体を限界まで追い込んでしまったに違いない……」


いやー……まさか、まさか、
活躍してくれるとは予告でわかっていたけど、
よもや、前テレビシリーズに入ったツッコミへの
最終回答をこんなところで明かされるとは予想だにしなかった。
鋼鉄聖闘士ファンとして、なんというかもう、
言葉に出来ない感動を覚えている。
聖闘士星矢の続編であろうとした第二期の
まさしく総決算の一つではなかろうか。
これが小山さん脚本であるということも含めて、
世代を超えた物語であるという思いがつのる。

ということは、麻森博士が渋ったのは
既に彼らの身体が限界に近いということだったのか。


倒れて身動きすらままならない鋼鉄聖闘士たちに近寄ってくるエーギルさん。
「フッ、苦しいか。
 儚き人間の分際で神々の戦いに首を突っ込むからだ。」
その言葉に怒りが燃え上がった翔が、
拳を握り締め、再び立ち上がる。
「だが……、まだ、終わりじゃない!!」
大地と潮もそれに続く。

「まだ戦うつもりか」
わずかに気圧されたエーギルさんだが、
「愚かしい。小宇宙もろくに使えぬ貴様らに、一体何が出来るというのだ!」

立ち上がったとはいえ、三人の呼吸は荒く
もはや立っているだけでもやっとであろうに。

「確かに俺たちには、小宇宙は使えない……
 だが、人間の力はそれだけじゃない……!
 知恵、勇気、努力……そして友情!
 それこそが希望の力!
 希望がある限り、人間は負けねえんだよ!!」
覚悟を秘めた瞳とともに翔が吼える。
素晴らしい。
もう、完璧なまでにジャンプマンガの主人公である。
友情と努力を以て勝利せよ!!


「翔さん……!」
エマさん、翔に惚れてません?
ニヒルなところがケリー先輩と似てるような気もしないではない。

「フッ、くだらん。
 ならば、全てを失って死ぬがいい!」

「させない!
 あなたに、この人たちは殺させない!」
それが人間の力であると、今し方告げられた言葉を体現するかのように、
エマが翔たちの前に進み出て、エーギルに正対して大きく手を広げ、立ちはだかる。

「お前、何を……」
驚く翔だが
「貴様、ボロボロのスチール一人でこの私に逆らうつもりか」


「一人じゃないぜえ!」
さきほどサターン兵からエマに救われた鋼鉄聖闘士が立ち上がり
声を張り上げる。
続いて、同じく養成所のころから共に戦ってきたのであろう
現代の鋼鉄聖闘士たちが次々と立ち上がる。

「フッ、なんのつもりだ」

生き残っていた現代鋼鉄聖闘士たちが揃って駆け寄ってくる。
「や、やめろ、何をしている!逃げるんだ!」
その意図を察したらしい翔が慌てて叫ぶ。
「そうだ!おまえらの敵う相手じゃない!」
その、潮が言った言葉は、
かつて、彼ら自身が、最も言われたくなかった言葉ではあるまいか。
「ここで死ぬのは俺たちだけで十分だ!」
大地の言葉が、ただの憐憫や同情などではなく決死の覚悟を思わせるが、

「いいえ!逃げません!」
これを真っ直ぐに拒絶するエマさん。
今週の主人公ですな。
ケリー先輩の墓前に報告したくなるよ…………


「私たち人間は、一人では弱い……
 でも、みんながひとつになれば、大きな力を生み出せる。
 貴方たちが今、その力で教えてくれたんです……!」
エマさんの言葉に絶句する翔。
というかこれってつまり、オメガというかΩ第二期のテーマなのね。
エーギルさんはエマさんに気圧されたというか
思わぬ事態に戸惑っているようだが

「ハッ、ガキが、生意気言ってくれるぜ」
「言い面構えじゃねえか」
潮と大地が賞賛する言葉には、あるいはかつての自分たちを見ていたのかもしれない。

「いいだろう。ならばお前達、俺たちととことん付き合って貰うぜ!」
立ち並ぶ後輩達をまとめ上げるように呼びかける翔。
エーギルさんに背を向けているのだけど、
「貴様ら……」
ここで攻撃しないあたり、エーギルさんってば
ハイペリオン様と同様に紳士でいらっしゃる。


「おいおい、俺たちを忘れて貰っちゃ困るな」
「教え子だけにいい格好させるわけにはいかんからな」
と、ティーチャーズもこの輪に加わる。

「いくぞ!」
という翔の号令の下、一斉に攻撃に転じる一同。
うむ、エーギルさん一人だけに、
他のサターン兵はちょっとは援護してあげようよ、
と思わないでもない。

が、まあエーギルさんとしては
これに部下の手を借りるわけにはいかんのだろう。
「はっ!儚き人間共がいくら束になろうとも同じこと……!」
高く跳び上がり、ファントムアームオブハイペリオンから
ハイペリオン様ばりの小宇宙の球を放つ。
「天地崩滅・レッド・デストラクション!!」
そこから展開される半球状の空間で
その場にいた聖闘士全員を捕捉して重力環境に捉えるのだから
この人、実際たいしたものだと思う。
……ハイペリオン様よりもアイガイオンさんに
属性が近すぎるので、
なんか過去に四天王間で異動とかあったのかなとか
あれこれ考えると面白い。

「フン、所詮は儚き弱者の夢。
 私の、そしてハイペリオン様の力の前に、
 地上の全ては滅びるのだ!!」
静止させようとするサターンの目標よりも
行動がど派手になってます、エーギルさん。
天地崩滅斬使いとしての自信から、
そもそもハイペリオン様がそういう傾向にあったので
今の彼にとってはサターンの意志よりも
ハイペリオン様の跡を継いで地上を破壊するという
意識が全開なのだろう。

……ほんと部下に慕われているハイペリオン様だこと。

「いいえ!」
ラスボスみたいな発言のエーギルさんを押しとどめるエマさんマジ今回のヒロインというかヒーロー。
「知恵、努力、勇気、友情……
 そして!希望がある限り私たちは……
 人間は……!負けない!!!」
エマの叫びに触発されるように、
一人、また一人と、鋼鉄聖闘士たちの身体から
黄金色の……「小宇宙が」立ち上る。
え?
ちょ、これって……

「まさか、これは、オメガの片鱗……!?」
ってエーギルさんの解説きたーーーーーーーーーーーー!?
なんだってえーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?
エーギルさんがオメガを把握していたことも驚きだけど、
それ以上に、この場この時この状況で
オメガを見せつけたのが超絶驚きなんだけど


正直なこといえば、先にやられてすっげえ悔しい(苦笑)
鋼鉄聖闘士がオメガの片鱗を!って
拙作の終盤でやろうとしていたのになあ。


星矢たちさえ到達できなかった境地に
新時代の聖闘士達が至るのは
ユズリハの心なり、
あるいは、次の世代の聖闘士は前の世代よりも強くなければならないといった
第二期を通じてのテーマによるものだろう。
前世代において繰り返されたエクスクラメーションと、
今世代においてついに到達したオメガによって
世代全体が引き上げられているということになるのかな。

「小宇宙さえまともに使えぬスチールが、まさかオメガを……!?」
驚愕するエーギルさんの目の前で、
エマが、蛮が、那智が、
光牙たちがそうであったように
黄金色の輝きを共に放って咆吼している。

そのオメガの片鱗たる叫びが、ファントムアームオブハイペリオンによる
巨大重力場を粉々に打ち砕き、
「はあああああ!」
オメガの小宇宙を纏ったエマさんの拳が、
エーギルさんのボディ部分を正面から撃ち抜いた。

「き……さ、ま……!」
「これが、人間の力よ!」
驚愕に身動きできないエーギルさんの隙を突くように、
クロノテクターに拳を当てたゼロ距離で
「スチールボルトアロー!スチールボルトアロー!
 スチールボルトアロー!」
と容赦無く連発するエマさん、あんた主人公や・・
十数発は叩き込んだだろうか。
連続コンボ状態でこのままではやられるという表情のエーギルさんだったが、
この酷使に鋼鉄聖衣のアームがついに耐えきれずに
火花を散らして動きを止めてしまう。

覚悟を決めていたところで逆転の目が出て来たエーギルさんの
ほっとした顔といったらまあ。
「攻撃の途中で力尽きたか……」


「ふははははははは!!
 何が希望だ!何が人間の力だ!」
一瞬で気を取り直して元の名調子を取り戻し、
エマさんの眼前で顔芸を炸裂させてのたまうエーギルさん、
顔近いです。

そのままガントレットでエマさんの腰を掴んで軽々と持ち上げてしまう。
「人間の分際で私を脅かした罰だ。
 希望と共に、貴様ら全員握りつぶしてくれる……!
 まずはお前からだ!」


今まさにエマの身体が握りつぶされようとしたその時、
高らかに、馬のいななきが響き渡った!_
きたああああああああああああああああああああああ!!
またも驚愕するエーギルさん。
そして、何者かの攻撃で、ガントレットから力が抜けて
エマさんの身体が解放されて転がる。
見れば、チェストパーツにはなおヒビ一つない。
ケリー先輩の鋼鉄聖衣が最後までエマさんを守ったと思うと
なかなか胸が熱くなる。


「誰だ!」
太陽を見上げたその場所に、一人の男が立っている。

「あーあ、
 人間のくせにとか、脅かしたとか、細かいことをごちゃごちゃと。
 肝の小っせえ野郎だ」
テンガロンハット(今度は間違えずに)に、
似合いすぎのコートをまとったその背中。
「なんだと!?
 貴様、何者だ!」」
「俺か?
 俺の名は……」
ばさりと、風に帽子を舞い上がらせ、
コートを脱ぎ捨てたその下からは!!

「ユニコーン、邪武!!」
いいやっほおおおおおおおおおおおおおおおお!!
次回予告でわかっていても胸が熱くなる登場シーンである。

「邪武!!」
見上げていた翔達や那智、蛮からも喜びの声が上がる。


「おせえぞ、今頃来やがって!」
蛮が待ちかねたぞという笑顔で当然抱いているツッコミをするが、
「悪いな。世界中のパラサイトを倒すために
 少々時間がかかっちまってよ」
な。
なんだってえええええええええええ!
というかそういう纏め方で来たか!!
なるほど、確かに世界中で人々の時間を止めていたパラサイトが
暴れ回っていたのに
聖闘士の大半がパラスベルダ攻略に取られていたら
そりゃ誰かが潰して回らないといかんわ。

「ユ、ユニコーン……」
「ま、まさか……」
「世界各地で我らの部隊を壊滅させていたという、
 あのパラサイト狩りのユニコーンか……!」
サターン兵たちが邪武を前に絶句してるううう!?
そして物凄い異名がついているうううううううう!?
でもって、やはりサターン兵たちも
基本的にはパラサイト兵の同僚で、最精鋭部隊が
サターン兵として温存されていたということなのかな。
パラサイト兵を見下すのではなく、
パラサイト狩りの邪武を恐怖の的として捉えているあたりから。
それにしても、まさか全部が全部一般兵だけだったわけではあるまいに。
少なく見積もっても数人、ことによったら十数人の三級はぶちのめしていたことが推測される。

「あとこの地上に残っているのは、この街に残っている奴等のみ」
なにそれすごい。
この辺りの把握は麻森博士とか、鋼鉄聖闘士ネットワークを使って
把握した上で各個撃破したものと伺える。

「サターン直属だかなんだか知らないが、
 かかってきな!」
最精鋭部隊のサターン兵が、完全に腰が引けて物陰に隠れているぜ。
その彼らを庇うように邪武の前に立ちはだかるあたり、
エーギルさんの部下思いはハイペリオン様譲りらしい。

「ユニコーンだろうとなんだろうと、所詮はスチール!
 食らえ、グレートデストラクション!!」
先ほど全面展開した重力場形成の範囲集中版が
邪武を中心にして展開される。

「みたか!ファントムアームオブハイペリオンの力!
 お前達がいくらあがこうと、希望はここで潰えるのだ!」
このままエーギルさんが押し切るか、と思われたが、

「へっ、全然分かってねえな」
重力場の中で、邪武は不敵に笑ってみせる。

「何っ!?」
「おまえらが何をしようが無くならねえんだよ……」
そう告げる邪武の背にオメガのマクロ小宇宙さながらの
宇宙空間が広がり、そこにこの場に集う仲間達の小宇宙が
次々と現れていく。
「知恵も、勇気も、努力も、友情も……そして希望も!
 まして俺たちは希望の闘士、聖闘士!!
 俺たちがいる限り、希望は生まれ続ける!!
 駆け抜けろ!俺の小宇宙!!!
集結したマクロ小宇宙の前にはさしもの天地崩滅斬といえども
その力を抑えきれず、重力場が三度破壊される。

「……!」
額に戴く一角獣の角が輝き、
「天よ聞け!地を駆ける一角獣の嘶きを!!」

天空高く、ペガサスにも劣らぬほどに高く高く跳躍した後
「ユニコーン・ギャロップ!!」
一角獣の角のような一筋の光となって落下する邪武の蹴りが、
先ほどエマさんがスチールボルトアローを連発して脆弱化した
エーギルさんのクロノテクターの腹部に
流星拳ならぬ流星脚として幾重にも叩き込まれる。


「馬鹿な……鋼鉄聖闘士ごときに、なぜ……」
呆然となるエーギルさんを駆け抜けて、
その背後に立った邪武は
「俺が来た時には、お前はもう負けていた」
「なに?」
「お前のクロノテクターは既に破壊されていたんだよ。
 諦めず、希望を持ち続けていたあいつらのちからでな」

がっくりと力尽きたエーギルさんが膝を突き、
ファントムアームオブハイペリオンが砕け散り、
まるでハイペリオン様の最後の名残のような、
牡牛座の角と思われるパーツもまた砕け落ちて、
エーギルさんはその場に倒れ伏す。
「き、ぼう……」
最後の力で呟いたのは、主君の名ではなく、
自らを倒した力の名だった。



「や、やばいぞ……」
「逃げろ!」
「体勢を立て直すぞ!」
エーギルさんの敗北を見たサターン兵たちは我先に逃亡し始める。
あらら。
って、これ放置しておいていいのかな?
多分このあと追いかけて全滅させるんだろうけど。
ひとまず、アテナを守るという当面の目的は達したからかな。

そして、いそいそとエマさんがやってきて
「あの、邪武さん、ありがとうございます!」
と一礼。できた子です。
それに対する邪武の返答は、
「礼は、仲間に言ってやんな。
 力を貸してくれた、掛け替えのない仲間にな」
かっけええええええええええ!!


そうして、アテナの小宇宙が感じられるのだろう、
パラス城の屋上を見上げる邪武だが
「沙織お嬢さん……」
様々な思いを込めた呟きを漏らす。
その彼を気遣うように、翔達三人と那智、蛮という
かつての仲間達が集まる。
「邪武、アテナの下へ行きたいか?」
これを気兼ねなく問えるのは蛮の人徳だろう。

だが、邪武はゆっくりと首を横に振る。
「傍に行かなくても小宇宙を感じる」
その言葉が、決して軽々しく出たものではなく、
今も彼は、お嬢様の傍に馳せ参じたくてたまらないのであろう。
己を抑えるように、その身体は細かく震えている。
「どんな状況に陥っているとしても、今も沙織お嬢さんは戦っている……」

その邪武を気遣うように、翔がその肩に手を置く。
「よく言った。
 星矢は……あいつらは、翼を広げ、次の戦地へ向かって飛び進んでいる」
サターン城へと向かう七つの光を見上げながら。

「しかし、俺たちの戦う場所は、ここだ」
邪武を励ますかのように、
あるいは己に翼がない悔しさを振り払うように、那智が告げる。

「拳が砕けようと、足が折れようと……」
大地の言葉は比喩でも何でもあるまい。
「すべての小宇宙を燃やして、アテナとこの地上を守るんだ!」
潮が同意する言葉には、実は大きな謎があり、
そして、同人SS書きとしてはこの言葉にニヤリとしてしまう。
かつて、潮は小宇宙を燃やしたことがある、と。

その言葉に、一同笑顔で頷く。

「いくぜ!地上に残っている雑魚どもを片付けるぞ!!」
邪武の号令以下、一同は最後の仕事とばかりに駆けだしていく。
「おお!!!」




と、これで終わるかと思いきや。
土星を背景に宙に浮かぶサターン城の玉座に神は座す。
「なるほど。
 人間共は最後まで抵抗を試みるか……」
かつて師と仰いでいた蛮たちの戦いを、彼はどんな思いで見ていたのか。


「しかし、神の意志の前には無力……!」
 どれほど望まぬ未来でも、それは、受け入れねばならんのだ」
なんだろう、何か言葉に違和感を覚える。
まるで、確かめるように。
自らの意志が砕けることを予感させるように。

「愚かなり、人間たちよ」
裏返せば、その神の意志を砕けば、人間が愚かではないと
認めざるを得ないことを、彼は果たして気づいているのか。
あるいは、それを望むように待っているのか。
己の狙いどおりに運ばなかった地上を捨て置き、
来るべき者を待つサターンの行動は、
やはり一貫性を著しく欠いている。



というところで、つづく。



次回予告
あれ?星矢が一人でサターンと戦うの?
「神を越えろ!星矢の小宇宙!」
あああ、展開が目に見えてしまう。
一方でミラーとエウロパが二人の女神に迫る。
……どうなるかなあ。未だにこの二人が真のラスボスではないかと思っているんだけど。




さて、きっとこれまた賛否両論激しそうな回だった。
結局玄武の戦果が色々な意味で台無しにされてしまったため、
玄武好きとしてはいささか、忸怩たるものが残る。
いかにエーギルさんを倒したのが光牙と言っても、
ハイペリオンさんがA!で倒れなかったことが
ここまで色々と効いてきている上に、その破片でパワーアップというのは流石に悲しい。
これについては何らかのフォローが欲しかった。

が、そのことがあってなお、今回はよくぞよくぞよくぞやってくれた!!
ともうひたすら絶賛したくなるネタが目白押しだった。

まずはエーギルさんが復活したおかげで、暴落していたハイペリオンさんの株がまた上がって、
第二期を通じた悪役である彼の復権に伴い、
第二期全体の印象がよくなったという効果すらある。
ほんと、部下思いで部下にも慕われていたハイペリオンさんが
サターンに倒されたという悲しい事実は
エーギルさんが知らなくてよかった、と言うべきだろう。


そして……
語るべきことが多すぎるのでもう一日続く!!!



***********************
追記が遅くなって済みません。
年度末でプライベートが無茶苦茶忙しいので
今週はお返事がどこまでできるかどうか……


※サターン兵とパラサイト兵について。
一応、パラサイト兵の中でもサターン直属の部隊が
サターン兵ということになるみたい。
ということは、最初からサターン配下にあるということを
理解してるグループが最初から控えていたということになる。
しかし、それならばなおさらに、
パラサイト兵たちのパラスへの忠誠はどういうことなのだろう。
元々彼らはどういう趣旨で集められた存在なのかが
やはり未だに分からない。
そして、地上の人間のほとんどを静止させているのに
自分の部下達だけは動かしていたサターンの意図としては
やはり地上を征圧したかったのか、という低レベルな印象を受ける。

一方で、おそらくエーギルさんは言動から見て
純粋な人間(地球人類)では無いようだ。
ハイペリオン様への絶対無比の忠誠からみても、
ハイペリオン様と同種族なのではないか、といった推測ができる。
ちょっと別格扱いだった二級パラサイトは人間ではなく、
パラサイト兵から昇格したのであろう三級パラサイトとは
そもそも扱いが違っていたのかも知れない。
……でもサターン兵はサターン直属であることを知っていたしなあ……。

駄目だ。二日考えたけど納得のいく説明が思いつかなかった。



※地上の状況について
サターン復活の状況などが既に鋼鉄聖闘士たちにまで伝達されているので、
上述したように、瞬か氷河あたりから連絡が行っているものと推測する。
あるいは栄斗あたりがこっそり連絡したのかもしれない。
このあたりは色々連絡手段があった、と考えておくに留めておくのがよさそう。
でもって、パラスとアテナが和解したことで
二人纏めて守らなければならない状況になっている。
……が、そもそもサターンは何故にアテナとパラスを放って城へ行ったのだろう。
そのくせ自分の直属の配下を城外から攻め込ませて全体の抹殺を図り、
アテナとパラスには後からエウロパとミラーを差し向けている。
……何がしたいのかさっぱりわからない。
やっぱりサターンは操り人形のような気がしてならない。
しかし多少の自我が残っているため、アテナを殺さず、
昴として憧れていた光牙を待ち受けるべく待っているとか。

ともあれ、地上ほぼ全てが時間停止を食らっている状況で、
アテナとパラスを守るためにパラス城を守るという対戦構図は面白い。
しかもその最前線がかつて全力を注いで突破した刻の門、という構図は正直って大好きだ。
これは多分、嘆きの壁の前に紫龍が立ちはだかったネタのオマージュではないかと思う。



※今回最大のネタ・鋼鉄聖闘士の謎解決
……実は物足りなかったりする。
もちろん、二十年近く経って、あの頃の大人の事情で登場し、
大人の事情で退場した彼らの扱いについて
メタではなくそれ相応の解説を入れて謎解きをしたこと、
これについてはもう心の底から大絶賛したい。
よくぞよくぞやってくれたと思う。
皆さんが既に書いているように、小山氏にとっては
父親が書かれた脚本についての拭いきれない思いを
果たそうという強烈な意志があったのだろう。
こんなの地上で誰も期待していなかったのではないかとか、
誰得と言われようが、私が得をする。
鋼鉄聖闘士という存在を忘れることなく、
私たちの青春時代の名残に、ああいう形でも決着を付けてくれた小山氏に
感謝してもしきれない。

でもってその理由もそれなりに納得はしている。
確かにこの第二期で鋼鉄聖闘士がずっと出張っている割には、
オリジナル鋼鉄聖闘士とはコンセプトが根本的に異なっているのだ。
大地、潮、翔の三人には完全カスタマイズ版であるのに
第二期では汎用の量産品になっているあたりに
オリジナル版にはどうしようもない弱点があったことが
当然の推論として行き着くことになる。

当時の資料によればマイクロブラックホールを内蔵しているという
オリジナル鋼鉄聖闘士の聖衣には
それを操る者にそりゃ相応の負担がかかるというのも納得である。

で、そこまではいいんだけど。
麻森博士がその弱点を持っていて、限界がわかっているこの三人を
あえて戦場に派遣した理由が結局語られなかったのが
不満なのである。
鋼鉄聖闘士は青銅聖闘士のサポート役ということで
青銅聖闘士に出来ないことをやるというところに誇りがあったと思っている。
なのでやはり情報収集とか、サターン城の在処の判別とか
あるいは地味なところでも、パラサイト狩りの邪武への情報供与とか、
なにか、彼らをあえて派遣する理由があって欲しかったなと思う。

まあでもこれは欲張りすぎる。
スチールハリケーンで二級パラサイトのエーギルさんを
あと一歩の所まで追い込んだだけでも
かつての扱いを思えば、十二分過ぎるだろう。


※那智、蛮の扱いについて
グレートティーチャーズとしてはかなりの存在感を示してくれたのだけど
どうしても肉弾戦らしいところが見えずに
スチールボルトアローに終始していたのは
やはり、彼らが引退した理由と関わるのだろうかと思う。
小宇宙を燃やさなければ聖衣を着ていられないが、
彼らはここまでの戦いで、十分に小宇宙を燃やすことができなくなっており、
青銅聖衣をまとって戦うことができなくなってきているが故に
引退という扱いになり、鋼鉄聖衣を代わりに纏うことになったのではないか、
という推論に至った。

……と思ったんだけど、邪武がきっちり戦ってるよなあ。
何を以て引退だったのかはよくわからなくなってしまった。

それから、やはり蛮には昴を殴りに行ってほしかった。
何故サターンが鋼鉄聖闘士の練習所に行ったのかは
未だによく分かっていないところなのだけど
(あの説明で納得しきれない)
昴という人格を形成するにあたり、
蛮と那智は極めて重要な役目を負っていたはずなのである。
その昴が結局サターンに飲み込まれると言う物語において、
この二人をサターンの演出において差し置くというのは
あまりに勿体ないことではないか。

それが出来る状況ではないのはわかっているので、
蛮が、昴が覚醒したサターンという事実を知った上で、
星矢か光牙に、己の役目を託すような、わずかの演出が欲しかった、
というのは贅沢だろうか。……贅沢だな。



※邪武の扱いについて
天界編序奏のどうしようもないあの展開は
とりあえず無かったことにしてよいようだ。
むしろ、あれの尻ぬぐいをするほどの義理はあるまい。
沙織さんへの思いを捨てきれずに抱きながら
星矢との差を思い知って、身を引きながらもお嬢様のために戦う、
あの身体を震わせるシーンの演出、よくぞやってくれたと思う。

パラサイト狩りの邪武、という異名についてはもう最高だぜ!
ここまで登場してこなかった理由を解説すると共に、
パラスベルダへの一極集中で地上の愛と正義を守る前線活動はどうしたという
ツッコミをも解消してしまった。
もう完璧。
ただ、沙織が幽閉されていた第一期において西部劇生活をしていたことについては
多少の発想の飛躍が必要ではないかと思う。
パラサイト狩り、という今回の方針は一朝一夕のものではなく、
実のところ彼は、マーシアンに対しても同じように活動していて、
当時の聖域の意志に反すると分かっていながら、
真のアテナである沙織さんならばこうしろと言うはずだ、
という信念の下に、マーシアンを倒して回っていたのではないだろうか。
当然、居場所がバレるグラード財団に戻るわけにはいかず、
聖域に戻るわけにも行かない彼としては隠れ家が必要であり、
蒼摩と会ったのはその隠れ家ではないか、
という推論が成り立つ。



※エマさんについて
今回の主人公。
ケリー先輩についての思い出語りの一つも無かった代わりに、
ケリー先輩の聖衣を纏っている、というこの演出がもう素晴らしい。
従って、彼女が出しゃばりすぎだということではなく、
蒼摩、ケリー先輩、そして今代の鋼鉄聖闘士たちという流れを受けて、
受け継いできたものを開花させようとする
第二期のメインテーマにも合致していたのだろう。



※オメガの片鱗覚醒について
……これ、どう評価したものか。
いや、ほんとに物凄く悩むんですよ。

間違い無くやり過ぎではある。
何故星矢たちが到達できなかったのか、という謎が解けないままで
ここでオメガの片鱗をやっちゃうのか、と思うと、
さすがにこれまでの物語とか、アテナエクスクラメーションでの片鱗とか
もう色々と台無し感が拭えない。
ただ、光牙たちが到達したことで、
オメガというものが人の手に委ねられた、
と解釈することはできなくはない。
誰かが手にした技術は、一人ではなく、人間全てで共有されるというところか。

そんでもって、誰かを思う力、というオメガの基本設定からは
確かにずれていないのだ。

鋼鉄聖闘士が小宇宙の究極であるオメガに到達したのはおかしい、
ということはないと思う。
本来、小宇宙とは誰もが持っているはずのものだった。
それを現代に至るまでに失われてしまったが
本来ならば誰もが「取り戻せる」はずのものなのだ。
むしろ、何故あれほどに修行して、聖闘士と肩を並べて戦っていた
オリジナル鋼鉄聖闘士たちが小宇宙に目覚めていないのか、
が不思議なくらいなのである。
これについては私も未だにわからないのでそのままにしているが、
一応後々でネタにしようとは思ってる。

今代の鋼鉄聖闘士が小宇宙に目覚めたことについては
別に不思議でも何でもない。
今代の鋼鉄聖闘士は元々青銅聖闘士予備軍であり、
小宇宙に目覚めて青銅聖闘士になることを想定して修行しており
元々そう言う素養がある人間を集めているはずなので、
最も小宇宙をわかったティーチャーズを筆頭に、
マクロ小宇宙を形成するにあたって彼らが小宇宙を燃やしたとしても
それはそれで納得がいくのである。

むしろ、オメガの片鱗を見せながら、
エーギルさんを倒せなかった展開の方が、ちょっとやだなと思った。
もっとも、ここは邪武のセリフでフォローされているけど。
エーギルさんだけでなく、スルトか時貞もこの場にいれば
オメガでエーギルさんを倒し、
邪武がスルトを倒してくれれば
それでよかったのかもしれないが、一話で終わらないな、これでは。



というわけで、煮え切らないまとめで申し訳無いけど、
オメガの片鱗については五分五分の評価。
そもそも自分でオリジナル鋼鉄聖闘士三人が
××××戦に炸裂させるシーンでオメガを初観測してイルピトアに説明させる
なんて展開を夢想していたくらいなので、人のことを言えた義理ではないのであった。






posted by 夢織時代 at 02:06| Comment(38) | TrackBack(0) | 聖闘士星矢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。